与論島に行ってきました 呑んべは化けるというかすでに普通に何より質が悪い(鴉野のこと)
鴉野は今回妖怪に会いに来たわけではない。
与論島が好きな顔見知りがとある集会にて『是非お祭りに来て』と誘ってくれたからであるが。
『何県だよ』
GoogleMapさんを覗いて頭を抱える鴉野は与論島を知らなかった。そんな装備で大丈夫か。大丈夫だ問題ない。一升瓶と着替えのパンツがありゃ世界中どこにだって行って見せる。
勿論休暇を取るためいろいろあったしうだうだ手続きをするのを面倒がって飛行機の座席取るのに苦労等あったがここでは割愛させていただく。
『鴉野さんの記事は良いのに写真のセンスが壊滅的過ぎてやばい』『鴉野君の写真クソ過ぎてひどい』
ということでカットとか考えなくていい360度カメラ、『Ricoh Theta S』を購入した。最新モデルが出るのを知っているのに買ったのはお祭りに間に合わないからである。コレで撮ると全天球で写真が撮れる。VR眼鏡を使えば驚きの臨場感を体験できる。
なお、Thetaで撮った画像を携帯経由でFacebookなどに送付すると携帯電話代が偉いことになるので注意してほしい。そんな愚かな真似をする人間はいないと思うがゆめゆめ注意されたし。会社会議のドサクサと弁当を作りながら荷作りも手伝う母は人が好い。
前日は寝るに眠れずふらふらしながら出発の電車に乗った。一本歯下駄など履いているから本当にフラフラなのだがいつも履いているので問題ない。
安心してください。穿いてますよ。
鴉野はZENRAどころか冬物のダウンジャケットを出して完全武装。
十四日早朝の大阪は無茶苦茶寒かった。
トイレに行ったらパンツのゴムを持つ手が滑った。
ビシャアア! 大惨事セカイ対戦状態。
鴉野の旅行は大抵外に行くのを辞めろとばかりに行きに不幸が連発する。この間友人のLIVEに行ったら道中に急に腹を下してえらい目にあった。この程度は想像の範疇に収まる。そして往復六〇〇〇〇円ちょいはワーキングプアの鴉野には安くはないのである。
「石鹸ないけど後でなんとかしよう」
宿につくなり洗濯をするわけで宿の人もさぞ迷惑をしただろう。取敢えず愚かにして不幸気質の鴉野でも一つだけわかったことがある。
国内線の持ち物検査は一升瓶が入ったバックは事前説明すれば通過するし、一本歯下駄を履いて通過してもみなスルーしてくれる。誰得知識。
島について気付いたことがある。
近くに流しのタクシーがたくさん止まっていたりしない。宿の人に出迎えに来てもらわねばマジで動くことができないと。
「いや、本当にどうするの」
今回仮想人格君がいないのは『あそこって冝●愛子さんが無理って言ってそのまま帰ったとこでしょ。僕は残念ながら霊的な場所は相性悪いのです。おひとりで楽しんできてください』と辞退したからであり、一〇年越しの長距離長期間旅行に行かぬかと誘った母が『え。だっていきたいやまに登るためには一週間は欲しいし』と言い出したからである。つまり鴉野はぼっち状態で呆然とせざるを得なかった。
「すみません助けてください」
たまたま与論観光協会の方が通りかかったので事情を話して宿の人に迎えに来てもらった。ほんとうにありがとうございます。
宿では与論島限定の割引チケットを頂く。お金と混ぜて使えるらしくおつりは出ないそうだ。ついでにレンタル自転車も借りて準備万端で外に出る鴉野。
パンツしか着替えがないので海パンとアカペラバンドINSPi(※インスピと読む)のシャツ姿。直線距離10キロ圏の島内はチャリ探索向けだ。いざ。
島の駅くるまどうさんの横を通って与論民俗村に到達。ここでは島だけで作られる焼酎の試飲が可能。勿論与論専用割引チケットも使える。
与論島にはハブがいないらしく結構安全に作業できるそうで、面白い道具の数々を見ることができる。岩から飛び出す花々もなかなかの見ものだがやっぱり世論の伝統的な屋敷とか工芸品などを見ておきたい。焼酎だけではなくお茶やお菓子、漬物の試食もできる鴉野はパイプウニなる生き物をこの場所で初めて知った。そのとげを使って作った首飾りはトーテムポール風。
「最近はめっきり姿をみなくなって」
絶滅したっぽい。
他にも米や麦より砂糖を作る関係でスズメも絶滅したらしい。かくも環境の変化は恐ろしい。それはそうとガイドのおっちゃんやお姉さんが可愛かった。
前後するかもしれないが記憶があいまいなので続き。遺跡公園を目指していたら赤碕鍾乳洞に到着した。
サンゴ礁の島ゆえ隆起した珊瑚が水で溶けてできた大自然の彫刻なこの洞窟は日本大学探検部が発見したものらしい。三つまたに内部がわかれていて結構見ごたえがある。360度カメラを動かして写真をぱちぱち。これは臨場感ありまくる。小説のモチーフに最適ではないだろうか。
外に出る事が出来る所があって隠れ家感満載。
実際人が住んでいた時代もあるとの事。
与論では火葬場ができるまで死んだ方の骨を毎年一回丁寧に洗ってまたお墓に帰すということをやっていたそうだ。それより以前の祖先たちはこの洞窟に葬っていたとかなんとか案内のお父さんが話している。
あとでネットにて調べた限りでは丁寧に毎年洗っているご遺体の骨と焼いてある骨では色が違うらしい。
なるほど精霊たちの住まう島である。
余談だが鴉野の一本歯下駄については危険だからと係のお父さんが長靴を貸してくれました。ありがとうございましたお父さんおかげさまで助かりました。
そのあと浜をなんとなく目指す。お天気はイマイチだが明日のお祭り大丈夫か。まいったと思っているとチョイチョイと島のお母さんが手招き。
なつこおばあちゃんのお店という店に招かれる。お茶とお菓子、最近の百合が浜では取りにくくなったという星の砂を頂く。せっかくだからと小さな珊瑚を使ったアンクレットとブレスレットを購入。40年以上この手の物を作り続けたらしい。すごい。
「おばあちゃんじゃなくて始めたときはお姐さん」
ツッコむ鴉野。にっこりなつこおばあちゃん。
下駄の話をしたり放送大学の話をしたりと時を潰す二人。彼女の有無については鴉野、「お母ちゃんがなってくださいよ」と無茶ぶりの限りだ。
小説の主人公モチーフになっていた中学生が今二十歳。その間彼女いないわけで相応に来るものがあるがもうあきらめた。今更鴉野などに嫁ぐ相手はいない。
次来るときはお連れさん連れているよと仰るお母ちゃんに「なわけない」と (ヾノ・∀・`)ナイナイ する鴉野。お母さんの予言が次の日には見事に的中している与論島すごい。詳細は後に。
それより風よけに可愛い子供の黒猫三匹が常にいるのが気になった。ほんとうに丸くてかわいかった。
この日の海岸は暴風が酷くとてもじゃないが泳げる状態じゃない。もし遭難しても誰も助けてくれないので360度写真を撮る。何故360カメラかと問われたら『鴉野さんは記事の割に写真の腕がウ●コすぎる』と各方面から突っ込まれたからである。ウンコは出すものだ。突っ込まない。シーマンズクラブのほうまでチャリを転がし、暗くなってからビビりつつ宿に帰ってただいまである。この後与論献奉に移るが。
与論献奉。
活動報告で某氏から忠告された与論島名物である。
自己紹介しながら一気飲み連発という危険なものだが本来は毒などないよと客をもてなすものだったらしい。それはさておき同じ器で皆呑む呑む。今の与論献奉は一応一杯だけが基本強制なしなのだが鴉野たち呑んべにとっての一杯とは『いっぱい』である。
『そういえばお土産に地酒を』
鴉野は知り合いに持っていくために、また与論の浜にて島の霊や精霊などに捧げるために大阪の酒をもってきており。
『開けよう!』『飲み比べじゃあ!』
皆視線キラキラ。
これだから酔っぱらいはタチが悪い。
勿論その中には鴉野も含む。
ε≡≡ヘ( ´Д`)ノで自室に酒を取りに行く鴉野。
(((o(*゜▽゜*)o)))な酔っぱらい軍団。
『アルコール度20度なんざ水じゃ!』
『その通り!』
ずいぶんキテている様子がこの時THETAで撮影した動画に残っているが流石に公開できない。THETAは画像加工で顔を隠したりできないし。
「私日本酒は苦手なのですよ。普通のワインとかはいけますが」「ブランデーあるぜ!」
「あ、親戚のイタリア人が呑んだ限りではおいしかったみたいですよ」
イタリア人多すぎ! 鴉野の台詞に一同大笑い。
鴉野の一族は若作りなので人によっては美形にみえるらしく女たちは時々いろんな旦那を連れて帰ってくる。その中にイタリア人がいてもおかしくない。
イタリア人でも何でもいいがどの世界でも酔っぱらいほどタチの悪い連中で本人たちにとっては気のいい奴らはいないわけで、与論産地酒と鴉野が持ち込んだ酒の飲み比べが続く。
『これは甘い。のにだんだんキレのいい辛みが』
『うん。与論の酒は旨みが違う。この甘さと酔い口!』
気が付いたら鴉野、畳の上で寝ていた。
時計を見たら朝五時だった。
『気をつけて下さいよ鴉野さん』
お前霊的なものは苦手って言ってなかったか仮想人格。
「嘘に決まっているでしょうが。ようじょとは酒を飲み交わしたりできないのですよ」
な、なるほど。
カラカラの喉を水で潤し、歯磨きを貰って鴉野はまた旅立つ。今夜はお祭り。天気は曇り空。果たして月はどっちに出るのか。続く。
あ。お土産の酒は半分は残しました。
【以下ギャラリー】
赤崎鍾乳洞 360度写真
民俗村に再現された古民家
なつこおばあちゃんが作ったアクセサリーたち




