人間は魔族に勝てるのか 国民皆兵は市民の権利。らしい。そして投擲ガトリング攻撃について
自衛隊関係の法案であれる昨今いかがお過ごしですか。
会社の先輩が人生に絶望してアメリカの州兵になりたいとか言い出した。
夢を叶えたり趣味に生きるには時間がいっぱい使える会社だから良いが一生最低賃金ほぼ確定だしなぁ。
「俺は叶えましたからどうでもいいし、辞めても問題ない」
どうせ最低賃金なら待遇の良いところに逃げる。
「鬼畜か。鴉野」
そういっていたら以前言っていた上司が心身ともにボロボロで辞めた。さらにそれを後追ってまた辞めた。
「いや、すまん。あとよろしく」
「やめないでお願いします。許して下さい」
鴉野は呟いた。
「マジ冷やし中華」
けだし意味不明。
「陸軍サマサマ海軍クソッタレ!」
『空母零戦隊』を読んでいないとわからないネタである。そして作中描写と関係ない。
国民皆兵。
要するにみんな兵隊になるってことだが限度ってもんがある。
兵隊さんを養う食料がいるのだ。どこから調達してくるんだよ。
旧帝国は兵隊がいないから徴兵する。
徴兵されて技術者とかいないから余計遅れを取るのエンドレスだった気がする。
そもそも田舎とか大変すぎるだろ。男手なしで農業はキツイ。
魔族の場合は朝でも昼でもスケルトンさんとゾンビさんが耕作をはじめとする雑役をしていくれているのでかなり食糧事情は宜しい。
さりげなくゾンビさんがアンモニアも提供してくれる。肥料にもなるんだ……。万能だな。
スケルトンさんも地味に炭酸カルシウムを提供して酸性土壌の改善に。まてまて。そんなもの食わすな。
すべて冗談である。
人間の場合、『金色の髪』の加護で何をやっても農業生産が成功するチートが働いていたがこんなことファンタジーの世界ではまずできない。
潜入した『子供たち』曰く豊富な食料が確保されていて『ごはんいっぱい食べさせてもらえた』と報告がある。
ガンガン食料要らずエネルギー要らずの不死者軍団が耕作しているのに、それでも魔族軍は物資や食糧不足に悩んでいた描写がある。由紀子苦労しすぎ。
特に投石用の石がどんどん減って行ってやばいという状態だったらしい。
土嚢をガンガン積んで爆発攻撃に耐えたり、塹壕戦を挑んだりとマジで苦労している。
最終的には時間固定魔法という泥縄に頼って敵将の一人を討っている。
多大な軍団を動かすためには胃袋の確保が重要である。というか。中国の春愁戦国時代については以前述べたのでおさらい。
「思想、民族、宗教。人間の生み出した知の産物。鉄の鍬。青銅の鍬。木の鍬。人間の技術革新が大きな都市を維持するための食料生産を可能にする。
また、下剋上によって既存貴族が次々と倒れる中、積極的な開墾を行った働き者がどんどん報われる。過分に生産されたその食料を売る為に各国をめぐる商人が活動するようになる。やがて膨大な食料と鉄を自在に操り、数十万の大軍を動員するシステムを持つ大国が産まれていくのだが。
同時に『正義とは何か』『人間の本質は善か悪か』を人間が定義しようと苦戦していた時代なんだ。
そして、彼是しょうもないことを議論している暇に敵国は情け容赦なく攻めてくる。
思想はのんびり駄弁って出来たもんじゃないんだよ。死にそうだから国や仲間を守るために必死で考えて血と引き換えに生み出された武器なんだ」
長い。自分で書いておいて長い!?
貴族制度を簡単に述べるとあんまり人間が豊かじゃなかった時代だと、地方の豪族が富を独占してそれを用いて公共事業を行ったほうが効率が良い。
戦争なども貴族が行う。勿論必要あれば領民を徴用したり兵隊にする。
異論反論いろいろあるが、だいたいこれで納得してほしい。
詳しく説明するとクソ長くなる。書くのがメンド……いやいや。
これが銀行が生まれて貧乏人の小銭が集積し、それをファンドとして運用して公共事業を行う世の中になっていくと貴族の存在意義が薄れていく。
貴族は打倒されて国民が皆の手で国を守ろうとするようになる。貴族から取り戻した権利が国民皆兵である。
しかしである。
「自衛隊って今更徴兵いるの?」
『賛成の方起立』と言われて『子供たちを戦場に送るな』なプラカードを手にカメラ目線で全員賛成を取られるアホな野党の説明は信じないとしても、政府の説明も納得いかないし。
正直、ハイテク化が進んだ昨今、ニートなんか徴兵しても邪魔でしかないと思うんだが。
「鴉野さん。甘いですな」
某知り合いから指摘が来た。
「今でも地上戦は行われています。たとえばウクライナとか」
だね。
「そもそもですね。もっとも安くて強いのは今も昔も歩兵なんですよ」
へえ?
鴉野の脳みその中では『お爺ちゃんの地球防衛軍』のニコ動映像が流れているがそういう話ではないらしい。
「現代の歩兵。特に砲兵はですね。数キロ先から精密な射撃を行って戦車でもゴミ屑にできるんです」
は、はぁ……。
「ファンタジー世界に自衛隊が派遣される話で砲兵がいまいちなのは強すぎて洒落にならんからです」
「それがばーっと数いて、一斉に撃つんです。あっという間に敵陣地が更地に」
な、なんかスゲーな。
結構認識を改めなければならないらしい。
ミサイルとか戦車とかクッソ高いので歩兵のコストパフォーマンスには負けるそうな。EDFのストーム1みたいな怪物でなくても数そろえば強い。ましてそれが現代の統率力凄まじい兵隊ならなおさらである。
さて。四天王の世界の魔族はてんでバラバラに戦う。
個体差および種族差が激しいからである。
使える武器のサイズも防具のサイズも違うから自前が多い。
『土のノーム』は穴掘り第四軍団と言われた自軍を由紀子から聞いた『体育の授業』を取り入れて鋼の統率力を持つ軍団に変えてしまった。ついでに塹壕戦や現代要塞などなどの概念も導入した。
人聞き程度でパッパと未来の戦術を予測して導入するノームさんマジパナイ。装備も量産品を作るという魔族では普通やらないことをやっている。
魔族の貧弱な種族たちは体構造が人間に似ている個体が多い。代表は言うまでもなくニンフ族である。なんせ全員か弱い美女揃い。
対して人間は魔族への対抗手段は『勇者』と各国軍隊のみ。
しかし魔族の圧倒的な戦闘力に狩られるだけだった民衆が槍をそろえて一斉に振り下ろし振り下ろしと前進する。
パイク戦術。投石。クロスボウといった武器が多い。
もっともクロスボウは狙いやすいが飛距離に難がある。
集団戦を行う上でほぼ同じ装備で統率のとれた攻撃ができる人間はここだけは利がある。まして銃器が開発されたら魔族の敗北は。
……ってちょっと待ったとなる。
どこぞのアニメ化された素晴らしい作品にある意味ケチをつけるような記事を読んだが、雑多ですごい能力者が在野にごろごろいるような魔族が対策をとらないはずがないので結局拮抗するはずである。
人間の持つ投石の能力を以前述べた。
投石器を用いれば最大400メートル届き、人体くらいならぶち抜くらしい。
じゃ、人間より怪力な魔族が使えばもっと強いじゃん。となる。
じゃ、まして槍を投げたらどうなるか。オリンピック選手が槍投げすると100メートルは届く。これは空気抵抗が大きいのでいうほど届かないからだ。
投石器があるように槍投器というものもある。
前者が手拭いで代用できるように後者は靴べらみたいな代物だ。
驚くなかれ130メートル。理屈の上では150メートル届くらしい。
男子ハンマー投げの室伏選手がなんとなく槍投げしたら勝っちゃったギャグみたいだが室伏だから仕方ない。
室伏が槍投器持ったらどうなるか。なにそれこわいになる。
魔族も人間のパイク束ねて持って、槍投器で散弾やガトリングみたいに使えばいいじゃん。届かなくても破壊力抜群そうだぞ。オーガとかトロルとか怪力だし。
ちなみに槍投器を用いた槍は洒落にならない威力がある。石器時代の石槍で現代ライフル並みの破壊力がある。当然、鉄の鎧など紙切れである。
というか、投槍で敵の大楯を重く使えないようにするのは現実世界の古代においては基本的な戦術の範囲である。精度に至っては女子供が用いても20メートル前後の距離からほぼ正確な狙撃を可能とする。これ、カラシニコフやないか?!
モノが大きいのでたくさん持てず、空気抵抗があるのでさほど飛ばないがそれだって致命的な武器である。
なろう主人公でも使い方次第で死にそうだ。
身体能力の高い魔族が投石、槍投で後れを取るということは普通に考えられないと思うが、トロルは猫背である。明らかに肩関節柔軟とは思えない。
意外と投擲能力低いのかもしれない。
オーガも見た目に反して肩関節が柔軟じゃないのかもしれない。
魔族の剣は正面から貫く剣だが、単純に人間より肩関節の可動域に難があるのかもしれない。
投擲において重要なのは力よりタメである。ロシアンフックの動きは投擲の動きらしい。魔族の格闘家はロシアンフックが苦手なのかもしれない。
なるほどストレートよりフックは痛い。
まっすぐ筋肉使うはずのストレートよりフックは痛いのである。
単純な筋力より投擲時の運動エネルギーを発揮するために人間の腕は進化していると推察できる。みんながそろって石を投げ合う際、案外人間は数で圧倒していることもあって魔族に勝てるのかもしれない。
魔族軍主力である餓鬼族も犬頭鬼も小柄である。人間と比較した場合筋力はあるが肩関節の柔軟さに負ける。
当然頭上に身長の倍以上ある長槍を振り上げるのは苦手であるし、そもそも長槍を好まない。
となるとパイク戦も投石でも投槍でも撃ち負ける可能性が出てきた。
意外と数で攻めたら人間は強い?!
久はのんびり魔族を交えて野球している描写が外伝にあるが、魔族の肩関節の欠陥を早期に見抜いていたと思える。
なんせ普通に人間の子供と魔族たちが一緒に野球をやっているのだ。前任水魔将の野球を見る限り相当へたくそみたいだし。
『身体能力は高いが肩関節に難がある』
魔族の主戦力の欠陥を上げるとこうなった。
当たり前だが元が人間の死骸だとしてもゾンビやスケルトンに投石や投槍を期待するのは無理だと思う。
しかし、油断すると上位巨人族(彼らは人間と体構造はほぼ同じで、体格が大きすぎて身体が崩壊する問題は神と同然なのでクリアしている)の投擲ガトリング攻撃が来る。
ガイアさんは『皆殺しの斧』ではなく、槍を束ねて持ってガンガン投槍器で投げておくべきである。射程はさておき、明らかにガトリング砲より強い。
長々と述べたが、集団戦では意外なことに人間のスペックが高いことが判明した。少なくとも四天王世界の魔族のほとんどは肩関節の柔軟さで人間に一歩譲る。
この上、現実のスイスのような要塞国家に銀行制度、各国大使館、それらの軍隊(平時は国家)に金を貸すシステム、傭兵(労働者)たちが口座引き落とし可能にする為替などを導入し、各国総動員で平和維持のためと称して攻撃してこられたら確かに討ち負けるかもしれない。
なんせ、戦争をすればするほどすべての金はスイスに集まる。宣戦布告もスイスでやる。
戦争をする場合スイスで借りて、スイス傭兵がその報酬を受け取りまた銀行に預ける。
マジエンドレスである。
こうやって集まった各国代表が生存の必要性から互いの国を監視するシステムが国連の礎であり、現在の平和維持の源となっている。
あの世界では久が国王をやっていた両大陸間の都市国家はそのスイスにあたる。
四天王の物語が終わったあと、残された人々は魔族も人間も衝突はあれど手を取りあって概ね平和な世の中を築くが、こういった久たちの遺したものが活かされたことは言うまでもない。
勝つか負けるかも大事。
どちらかが勝ったら一度手を取りあい、お互い繁栄することは死者に手向ける義務なのだ。
決して、次なる戦いの火種を作ってはいけない。




