ファンタジーの扉 プロローグ 閨(ねや)の世界へ小旅行
ファンタジーバー。入ってみたらSMバー。
あると思います! ないよ!?
こんにちは。鴉野 兄貴と申します。
いろいろあって女装してメイド服着て縛ってもらって吊るされて帰ってきました。
w恥ずかしながら帰ってきました。帰って来るなと英霊も申しており。
前回は夢の世界で出会う人々の話をした。
今回は鴉野が遭遇し帰還に成功した異世界について語ろうと思う。
きっかけはいつもの社長さん。
「大阪帰ってきたからみんな呑もうよ」
って、唐突だな。行ってみたら本当に身内しかいない。
「○○かぁ。あそこは学生時代世話になったなぁ」
鴉野と大阪府のとある地方都市の話になり。
「なんかあの辺めっちゃ変わってますよ。ビルガンガン建て替えありますし」
「へぇ」
「美熟女バーとかあるらしいっす」
「「「ないわ?!!」」」
一斉にツッコむ一同。
大阪を離れても忘れられないボケと突っ込むタイミング。
『と、言うわけで探しに来た』
位置だけ確認。しかし入るの怖いし。
なんかぼったくられたらどうしよう。
ゴミ箱に放り込まれてぼこぼこになって朝を迎えたり。
というか鴉野は家呑み派だ。
キャバクラとか行ったことない。
ショットバーも一回か二回しか入ったことがない。
居酒屋だってまず行かない。
バーも入ったことないのに。
いきなり熟女バー。
あ。美熟女だった。
「『美』が重要なんだよ」
社長さんたちの発言である。
「しかしそろそろ行かねばならん」
覚悟を決めた鴉野は例によって道に迷っていた。
「あれ? 地元だと思ってたんだが」
鴉野にはよくある。ないよ?!
『ファンタジーバー』
鴉野の求める店、美熟女バーは隣の通りなのだが。
鴉野の視界に入ったその店の看板は抗いがたい魅力を放っていた。
というか、TRPG出身者にとって美熟女よりはガチムチフルプレートとメイスとタワーシールドである。
「あれか。ガチムチのおっさんがデカい剣背負ってシェーカー持って接客とか。
あるいはビキニアーマーの女戦士や裸より恥ずかしい恰好の女魔法使いが」
早速入ろうとして鴉野はケータイをとりだしてグーグル先生で前評判を検索する小細工に出た。
曰く。『SMバー』。
曰く。『釣られてみる?』と聞かれる。
曰く。『そういう感じ』。
当然逃げ出す鴉野。
ヘタレすぎるがこの顛末を知り合いの仮名Aさんに話す。
「ファンタジーバーと思ったらSMバーでした」
「おそろしい」
簡単なやり取りを経て鴉野。
「じゃ、行ってきてレポしてきます」
どういう心変わりだ。委細は話せない。
こうして導入前の部分に戻る。
薄暗いビルを上がっていくとなんか鉄の扉が閉まっていて、閉店中なのかな。
「すいません。あいていますか」
ノックする鴉野。
「はいどうぞ」
鴉野はその扉を開けた。
そこはまさにファンタジーの世界であった。
ところで、なろうファンタジーの世界は帰還が不可能なものが多い。
鴉野は無事に帰ってこれるのだろうか。
いや、帰ってきているからこんな記事を書いて居るのだが。
ファンタジーの扉は意外と近くにある。
それを見つけたからと言って転生チートに憧れ、道を踏み外すような愚行は謹んでもらいたい。
そういうのは鴉野に任せておけ。
美女もカネも俺のモノ。




