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無笑 ~正月から自称ヤクザが怒鳴り込んでくる程度にはどこにでもある日常編~  作者: 鴉野 兄貴


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非公開設定解除記念。『図書室の主』

 アカ学校を無事卒業して入学した鴉野。

 その高校には『主』というべき男がいた。


 いついっても図書室にいる。

 そして司書をやっている。

 異常にあらゆる書物に詳しい。


 図書室に入り浸って一日三冊は読んでいた当時の鴉野は結構早いうちから彼に目をつけられていて、そのうちいろいろな本を読む、あるいは彼と意見を交わすことが多かった。


 読む本にラノベが多くなったのは彼の功績かもしれない。よくしらんが。


 我が高校の図書室には朝日ソノラマや平井和正が妙に充実していた。

 富士見ファンタジアもガンガンはいっていたし。


 どう考えても学びの場ではないラインナップに本棚一つは費やされていたといえる。

 そして新刊の入荷がとても速いのでいろいろと金のない鴉野にはありがたかった。


 飯を食ったら即図書室。


 放課後休日も図書室。

 剣道が終わったら家で図書室で借りた本を読む。


 シドニィ・シェルダンの作品を三冊ほどまとめて徹夜して読んで試験を落としたりした。


 そんな鴉野。

 彼から言わせれば。


『まだまだよ』


 充分おかしいレベルである。

 充分すぎるほどおかしい。

 そもそも我らは学生ではなかったのか?!


 今考えたら当時の鴉野は充分すぎるほど本狂いと言っていい。


 大事なことだから何度でも言う。


 彼とはクラスどころか学年も違うし、クラブも違う。

 接点といえば図書室しかない。


 彼の影響もあって、図書室の先生との交流は鴉野卒業後数年は続いた。

 今は退職されているはずだが。


 彼が卒業後、彼とは会っていない。もう名前も覚えていない。



 さて。図書室の主といっても図書委員の一人にすぎない。

 つまり、ほかの図書委員はどこにいったという話になる。


 その辺の事情も加えて語りたい。鴉野も無事三年生になった。


 図書委員。

 我が高校では司書などの雑務。


 次期購入する書物などを決めるなどの地味でアレな仕事が待っている不人気職である。


 我がクラスでもその図書委員を選ばねばならぬ日が来た。


『図書委員をやりたい人』

『はい』


 鴉野が手を挙げ、鴉野はあっさり図書委員に就任した。

 当たり前である。

 受験で忙しい時期に委員などやりたがるバカはいない。


 無事図書委員に就任した鴉野に呼び出しがかかった。


「カラスノ君。ちょっといいかな」


 女子二人に呼び出された鴉野。

 普通の健全な男子は艶事を考えるがこのころの鴉野は女嫌いの変わり者で通っており、髪はボサボサ、制服はフケだらけのどうしようもないブサメンである。

 つまり、その手の目はない。


 これはいちゃもんをつけられてトイレに連れ込まれて彼氏軍団に襲撃されるのか。


 そんな思いを抱く鴉野に彼女らは言う。


「なぜ図書委員に立候補したのか」

「好きだから?」


「好きだからって邪魔しないでよ?!」


 意味不明。

 唖然呆然とする鴉野に訴える女子二名。


 曰く、図書委員に誰かが、特に鴉野が立候補するなんてかけらも思っていなかったらしい。


 図書室に一歩でも入っていたら鴉野と主がいるのに気付いたと思うが。


 仲良し二人で図書委員になり、残りの青春を充実して過ごす計画だったそうで。


「なら立候補すりゃいいじゃないか」

「委員に立候補したら目立ちたがりって思われるじゃない?!」


「カラスノ君じゃあるまいに?!」


 等と、彼女らは小説だけに何度も|ノベル(述べる)が意味不明のことを論じており。

 まぁ思春期の娘さんたちなのでヒステリーを患っている可能性はある。


「とにかく、辞退してよね!」

「私たちのどちらかがカラスノ君と図書委員にならなければいけないじゃない」


  いや。仲良くしたいなら別に図書委員になる必要はないんじゃね? 仕事増えるよ?


 なお、女子の間では『誰も立候補しない』『○○さん××さんやってよ』の流れで就任というシナリオが組まれていたらしいがそんなの知らん。知るわけない。


 文句を言うなら先に俺にも話通しておけ。


 バカでも図書室に出入りしていたら鴉野と主のコンビは見ていたはずであり。


 そう思わないでもないが、鴉野は当時女嫌いであり、そうでなければフケだらけの厨二ファッションをしていないわけであり。


 そもそも図書室にこもっていたり、剣道ばっかりなんてことはないはずである。


 そんな鴉野。

 なぜか靴は毎週洗っていた。

 当時の鴉野の衛生観念がわからない。



「すいません。先生。いろいろあって辞退します」

「? 別にいいけど」


 特にこだわりがないのは普通に一般生徒として図書室に出入りしていたからである。


 そして言っちゃ悪いが、その後も通してあの二人を図書室で見た記憶がない。


 その後鴉野は普通に図書室で一年過ごすこととなる。

 図書室の司書室にも結構出入りしていた。司書の先生と仲良かったし。


 主は鴉野に対してこういった。


「俺の後継者になってくれると思ったのに」


 こうして鴉野。高校の図書室の主にはなり損ねた。

 そしてなろうで駄文を今でも書いている。


 先輩。

 あなたの後輩は元気にやっています。


 あと、本より女が好きになりました。


 先輩。本の紹介はもう良いのでそろそろ彼女紹介してください。

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