表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無笑 ~正月から自称ヤクザが怒鳴り込んでくる程度にはどこにでもある日常編~  作者: 鴉野 兄貴


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

163/285

8時からイベントです。(わかる) 7時45分必着。(え 打ち合わせ無し?!)

 タイトルの通りである。


 知り合いの青年。もとい仮想人格君が電車で大笑いしているが致し方ありませぬとしか言いようがない。


「なんすかそれ」

「俺がききたいわ」


 不審人物に眉をひそめる満員電車内。鴉野は迷惑関係なくスマートフォンをいじる。


「15分で地雷設置。もとい設営とかうちあわせ可能なんですか」

「そんなミラクルマジック、海兵隊でも銃持ってコックするレベルじゃ」


 意味不明。しかし米国海兵隊のコックが戦闘訓練を受けているのは事実である。


「サー! 20分で可能です!」


「5分でやれ!」

「イエッ サー!」


 うん。無理だ。日本軍が負けるのは予想できたんだ。この場合は鴉野の命運である。


「『一時間前に着くのが常識だろ。罰金だ』とか言われたらどうしよう」


「そんな安風俗の嬢じゃあるまいに」


 しかし早めに出るべきだろう。


「ちなみに、今は『年収500万以上の男』を参加条件にしたお見合いパーティに間違って参加表明した帰りな」


「そっちのレポしろよ?!」

「その話は日を改めて。サスケっていう美味しい寿司屋にも行ったが」


「三宮ならヤマダサイクルセンターでしょう」


 あそこ、俺よりお客さんのほうが組み立て技術上だったりする。どんなすごいところなんだよ?!

「まぁそれはとにかく、来週行くのがもう嫌だ」


「このレポは何か月もたってから書かれています。読者様たちに念のため」


 そして。一週間が経過した。


「あの。年収500万以上男性限定参加可能のセレブパーティ」「忘れろ」


 ちなみに、まともにボーナスが出る会社なら月収30万で360万。ボーナスが年三回出る会社ならば一回90万が三回で270万。合計630万だ。ワープアとの違いはボーナスの差でもある。


「なにそのドラゴ○ボールもびっくりの戦闘能力倍増?!」

「だから就職先も結婚相手も皆公務員がいいとか言い出すんだよ。適正とか考えず」


 そんなことを考え乍ら鴉野は歩く。スマートフォンは便利である。雨で操作狂わなければリアルタイムで位置情報を示す。


「あ。たぶん外国人パーティなら、この先のあのビルです」


「アリガトウ?!」


 パキスタン系の外人さんと日本人のカップルを現地に導いたのは、集合時間になっても担当者がいなかったからである。繰り返す。集合時間に担当者がいない。

 45分前に鴉野は来たが、誰もいなかった。設営は完全に店側でやり、人集めをパーティ側のNGOの人間が行うらしい。


 金のやり取りは先に店側と行っているらしく、我々は時間が来たら交代。15分ほどチラシを配るだけの仕事です。って先輩方みんな呑んでるぅ~~~~?!

 てか、説明役って五分前に来たんだよ?! どうなってるの?


『出かけていた』


 いやまて。打ち合わせの時の話である。


「君が鴉野君?! 今日はよろしく」


 美女に握手されてびっくりする鴉野。日本人だが帰国子女らしい。同僚の外人さんは抱き着かれていた。こういう子なのか。



「アルコール呑んでいいのか」


 そんな質問ができないヘタレな鴉野は呑み放題なのにソフトドリンク。というか、どうなのそれって。


「のめよ!」

「あはは。腹を下すので呑めないのです」


「そんなの飲めないうちにはいらない!」


 ヨッパライの相手をしながら鴉野はため息。


『外国人にはコンビニのスティック羊羹が受ける』


 同じボランティア仲間の外人たちにあげたら超まずそうに一口だけ食っていた。どうやらお口に合わなかった模様。正直すまんかった。次は桜餅でも持っていく(懲りていない)。

 しかしアレだな。こういう盛り上げ役は鴉野には良い仕事かもしれない。いろいろ固まってよそと話さない人たちと外人さんの話の発端を作っていたら連絡先をもらったのだが、皆家族であった。


「じゃ、次は家族で宴会するから鴉野君もきてよ!!」


 『宴会』の内容が知り合いのサプライズ誕生日会であり、そのための会費一部負担に使われたと鴉野が知ったのは後日の話である。


 外国人パーティは魔窟である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ