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無笑 ~正月から自称ヤクザが怒鳴り込んでくる程度にはどこにでもある日常編~  作者: 鴉野 兄貴


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だまされて喜ぶバカこそ幸せものである

 自転車屋の自転車を借りる際、かごに煙草の吸殻などのごみを入れる。

LEDライトを盗む。自転車を汚す。壊す。借りた自転車が古いからと新しいのを出せといい、わざと空気を抜くなどをしていちゃもんをつける。


 そんな人間は自転車業界には一定数いると思う。



『おい。この自転車、ヘッド悪いぞ』


 ガンガンとサドル(座席)を叩く男に店員が告げる。


『頭が悪いのは私のせいではありません』


 会話が通じていないようにも聞こえるし、大いにバカにしているようにも聞こえる。


『変えろ』

『帰るのですか。お疲れ様です』


 サドルは変えることはできるが、家には帰れる。


『だからヘッド変えろ』

『頭は変えれませんよ』


 サドルを変更できないというよりお前の頭は変更不可という意味でも取れる。



『資料取ってこい!』

 嫌味な上司に新入社員が走ってそれを持ってくる。

『肥料持ってきました!』

 オフィスに漂うその独自の臭い。

『畑違いだ!!』

 上司部下ともども何をコントやっているのだ。

 そしてその肥料はどこから持ってきた。肥料メーカーなのか。



 コミュニケーション不全はギャグのネタである。

 しかし世の中にはそんな状態を有難がる愚か者が少なからずいる。

 今回の鴉野のように。


 参加費男2000円女1000円外国人ゼロ円。飲食費別途80人規模パーティなり。

 今度は神戸が舞台である。

 神戸って鴉野、専門外なんだよなぁ。


『くそ。また道に迷った』


 右も左もわからないとはこのことである。

 鴉野。いい加減学習しようよ。


「遅れて申し訳ない。連絡した鴉野です」

「あ、はいはい」


 ボランティアスタッフである女の子たちに声をかけて入場。


 できなかった。


 なぜか? 狭すぎた。

 四十名でアスパラガスになる狭いバーに次々と列を作る日本人と一部外国人。


『この間みたいに大きなクラブ貸し切りじゃないんだ』


 鴉野はこの時点で軽く後悔していたが、それはそれと割り切るのが早かった。今の鴉野は普通の一本歯下駄(さすがに千人下駄で歩くのは困難を極める。普通に遅刻する)。そして剣道の袴姿であるが、この狭さでは日本人の恰好にアレコレ言う奴はいない。だって狭いもん! マジで!!!


 飲食費は別途だがクッキーチャウダーがつく。一瞬でなくなるが。


「かんぱーい!」


 首尾よく金髪美女とモジモジしていた男の人を巻き込んで乾杯に成功する鴉野。

「おごるよ~!」

 こういうのは得意な鴉野である。


「鴉野君って英語喋れるの?」

「まったく無理」


 実はTEDをよく聞く関係で何を言っているのかとかの単語は拾える。意味のない情報なので言わないが。


「インドから来ました!」

「いえ~~!!」


 入れ替わり立ち代わり。狭いので皆出たり入ったりである。


 20人くらいしかいない外国籍の人の内、常駐は中国人韓国人含むカラードたちである。彼らは鴉野が話した印象として賢い。めっちゃ賢い。シカゴ大学行く高校生並みに賢い。外国人研修生枠で来たのだろうか。

 だとしたら外国人研修生を奴隷待遇でこき使うバカな経営者は猛省すべきである。

 お前らのこき使う人々は日本政府が日本を支持する人になってほしいと呼び寄せた各国のエリートなんだぞと言っておきたい。言わないが。

『こういうところでガス抜きするんだ』

 鴉野はそんなことをぼーっと考えている。


 そんな間に金髪美女はどこかに行った。捨てメルアドを残して。

 積極的にメルアドを教えるあたり、仕込みなんだろうなあと今では思う。

 白人は金持ちボンボンとお嬢ちゃんな印象だが、カラードは賢い人が多い感じ。普通だったら鴉野が声もかけられないエリートなんだろうなという方もいる。

 服装は、その。まぁあまりお金持ってなさそうだけど。失礼。


 コミュニケーション不全は楽しいとは限らない。


 ギャグとしては成立するが、それをあえて楽しめというのは、ある種の洗脳かもしれない。


 続く次回。

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