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無笑 ~正月から自称ヤクザが怒鳴り込んでくる程度にはどこにでもある日常編~  作者: 鴉野 兄貴


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トイレの戸締りはしっかりしようというお話

 鴉野の自宅は入ってすぐに階段があり、昇った先にトイレの扉がある。

稀によく、飯前に大惨事になる。


 主に部屋の戸締りにはグチグチ煩い母。彼女の食事を作るといつも尿意を催す癖のある彼女がなぜかトイレの戸だけは締めないという事実によって。


 我が夫となるものはさらにおぞましいものを見るであろう。


 母だから問題ない。母だから大問題である。


「ごはんだよ~~! 降りてこないと食べちゃうからね~~! ごはん食べられなくても知らないよ~~?! ^^」

「食えるかぁああっ?!」


 鴉野家の内部事情はこれくらいにして前回の続きである。



「あのね。うちの勤めていたところの子がクラブでひどい目にあってね」


 鴉野は母の説教を聞いていたが、あの状況では女を口説くことができるはずがなく、母であるゆっこさんの話は大いに妄想と聞きかじりのみで構成されているとしか言いようがない。


「泥棒とか自称会社経営者とかとは仲良くなるかもだが、絶対ありえん。そもそも女のいない環境でナンパは不可能だ」

「余計駄目じゃないの?!」


 しかし、この時代は複数の階層と知り合いになったほうが有利だ。

 宣伝は一度にSNSで拡散するが、本来金持ちは金持ち、貧乏人は貧乏人としか固まらない。

 商売はコネクションとアイデアで広がっていく。ある意味小説にも通じる。アメリカはスクールカーストがあり、また日本と違って人事異動をしても給料が減らないなんてことはない。人間が隣にいても列車のレールみたいなもので交わることはまずないのがアメリカだという。Facebookを作った奴は偉大である。


「というわけで今度は外人さんと遊んでくる」

「知り合い増やしたかったら山行くといいよ! みんな良い子だよ! そんなのにお金つかって、怪しい人と付き合ったらひどい目にあうよ!」


 鴉野はため息をついた。


『 な ら 山 代 と 装 備 品 代 出 し て く れ 』



 おかんひと月十万は使っているよな。全部くれ。今すぐだ。

 俺は自分の手持ちの中から人脈を増やすために投資している。


 倶楽部だのお見合いパーティだのなんだの言うと派手に聞こえるが、ひと月数千円から一万円くらいだ。最低の投資で何人か連絡先を聞きだしてくるぞ。俺にほしいのは思い出を語る昔の学友ジジババじゃない。

 そう告げると母はグチグチと文句を言っていたが『文句言うなら金を出せ』は大いにきいた。


 しかし母の言うことにも一理があることもある。

 筋肉ダルマを描けば良い絵とぬかし、美少女を描けば性犯罪の前触れと危惧する妄想激しい母親だが、彼女の指摘通り鴉野にはファッションセンスなど皆無である。本場の外人さん相手に『無難にスーツ』は通じない。かといって日本人から見てアレなファッションセンス……。


 いっそコスプレしてまた骨になるか。骨で一本歯下駄。

 これじゃナンパとは言わん。道化師だ。男の知り合いだって増えない。


 一本歯下駄……そうだ。これだ。


『すいません! この間貸した仙人一本歯下駄かえしてください! いますぐ?!』

『すぐに返すけど。鴉野君どうしたの?』


 次回。鴉野は一本歯下駄を履いて外国人パーティに潜入することにした。

 やっぱり和服だ。和服ならば日本人も外国人もまず突っ込んでこない!! ファッションセンスがないことも誤魔化せる!!


 こうして、鴉野は和服代わりに剣道の袴を穿いて外国人パーティに潜入することとなったのである。


 毎回毎回、本当にネタに困らない男である。鴉野。


『ごはんだよ~~! 先にたべちゃうよ~~!』

『食えるかあ?! 誰のせいだぁああっ?!』

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