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無笑 ~正月から自称ヤクザが怒鳴り込んでくる程度にはどこにでもある日常編~  作者: 鴉野 兄貴


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捨てたのか捨てられたのか ~天国に一番近いタクシー~

「明日バレンタインだな」


「ですね。鴉野さんは男の人からいくついただきましたか」

「今年はゼロだ」


 そうに違いない!


 鴉野はモテない。だが一応童貞ではない。処女のほうを早く失くしているが。


「なぜ?」

「前にもこのエッセイ若しくはにちゃんねるで質問されて答えたが学生時代に寝てたら掘られた。あはは」


 なんかなろう作品のエッセイ関係で男性を敵に回したコの友人が晒されてその関係でレスした。『鴉野がなんか喋っているのに消してやがる』という話になったので説明した。親切丁寧に消した理由含めて経緯を説明したら今更そんな話するなと普通におしかりをうけた。そんなことはさておき戸締りはしっかりしよう。

 なお、『無笑』は『作者経験に基づくたぶんフィクション』である。



 確か二十二のころに童貞を捨てたんだか捨てられたんだかわからん理由でなくすこととなった。

「なろう運営さんに叱られない範囲でお願いします」

 はいはい。緑川書いている時はさておき、今はたぶん大丈夫さ。


「社員旅行で沖縄に行ったんだ」


「ええ」


 当時はさ。勤め先にまだ駅が無くていつも時刻に間に合わない市バスをぼーっと文庫本読みながら待っているんだ。そして近くの大企業に勤める工場の子たちとバスに揺られていくんだ。


「本をいつも隣の席で読む子がいてさ」


「ええ」

「なんとなく仲が良かったんだ」


「そうなのですか」

「たぶん、デートに誘えたんじゃないかな」


「誘えよ」

「ちょっと不細工だった。デブではないけど」


「人の容姿を言える姿か?!」

 若いうちってそういうの気にしちゃうからなぁ。


「今思えば歳も二つ上でちょうどいいし、すっごく良い子だったな」


「あ。このエッセイで鴉野さんが結婚していたかもって言ってる人ですね」 そうなんだよな。美人だったり若い子には何人か会ったけど今にして思えばあんないい子は一生。


「鴉野さん。鴉野さん」

 はい?


 彼は頬を膨らませながら問う。


「脱線酷いですよ。鴉野さんの脱童貞のお話でしょ。なんすか捨てたならさておき捨てられたって」

「ああ。あれはなぁ」


当時の沖縄って綺麗なところでさぁ。会社も景気が良かったのか奮発してくれてね。海に遊びに行ったりホテルに泊まらせてくれたり帰りのバスで他の女の子と話し込んだり。


 彼は豪快なネリチャギを鴉野に決める。

「脱線酷いつってるだろうが?! 文字数稼ぐつもりでしょう?!」

 いってぇなあ。ええとな。具体的に言うと社員旅行は団体行動であり、自由時間はホテル到着後の夜になるんだ。

「夜っすか」

「うん」

 でも現地に詳しくないから、タクシーの運ちゃんに安くていい店を教えてくれっていって紹介してもらうのよ。ゴーヤチャンプルーとか初めて食ったかも。

「それのどこが……ああ。飲み屋のお姉さんを熟女キラーしちゃったんですね」

「違う」


 それだったら捨てる捨てないの話ではなく、普通に拾われているかと。

「ほら、その。アレだ」


「ええ」

 会社の同僚は二次元に生きる男だったんだ。


「よくありますね。じゃ、彼が酒場で女性に惚れられて鴉野さんが奪う形」「違う」


 べろんべろんに酔っぱらった鴉野と同僚はホテルじゃなくて、その……泡のいっぱいな風呂というかなんというかなボロイビルに連れて行かれたんだ。乗ったタクシーの運ちゃんにな。


「はい?!」

「遊んでいけば無事にホテルに連れていくってね」


「な、なんすかそれ?!」

「やべえな。ホテルに行くつもりが別のホテルもどきだ」


「ちょちょちょちょ?!」


 今は知らんが当時はそういうことがあった。同僚はガタイが良いんだが、人によっては太って見えたりする。その漢は叫ぶんだな。

「俺は降りない!! ホテルに帰せ!」


「何が何でも理想と童貞は捨てない。二次元に生きる漢の信念だな」

「察しました……」


『わかったわかった。俺が降りるからお前は帰れ』


 そうして鴉野は捨てられて捨てた。訳が分からんが事実である。

 何が問題かってその同僚、いきさつをあちこちに言いふらしたことである。

『真面目キャラかと』『堅物の変わり者かと』『変わっているのは知っていたが』

 数泊の関係上、汚れた下着の処分に困って風呂で洗ったのと相まってしばらく鴉野が職場でネタにされる案件だった。


「同じ若手の営業、『こんにゃく(仮名)』さんとは仲が良くなったけどな」


「ちょ?!!」


 彼のあだ名の由来は、ちょっと若い人には言えないと伝えておく。



 鴉野は本州に帰る直前、ゴーヤジュースなるものを空港で食した。苦いわ呑みにくいわありえないほど不味かった。隣にいた外人さんも閉口していた。無駄に冷たくて腹に優しくないのもどうかだ。

 ひょっとしたらあの味で鴉野はとっくの昔にトリップし、魂はこの地獄で文を書き連ね、今もなお残っている身体はあの地にて倒れているのかもしれない。


 目が覚めたら二十二歳。結構なことである。

 もっとも、鴉野は歳を取った今の自分のほうが気にいっている。

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