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無笑 ~正月から自称ヤクザが怒鳴り込んでくる程度にはどこにでもある日常編~  作者: 鴉野 兄貴


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太陽よりも輝いて

 ケーキ屋ケンちゃんとか大昔のドラマでは『少女にナニが起きたのか』というパロディ系アダルトビデオのダビングを巡っての攻防回があるらしい。

 子供が見るドラマになかなかアレな脚本である。そして誰もわからない。鴉野も意味が解らない。


 キャバレーSは大阪では結構有名な店だ。

 四〇代以上の方は深夜帯にテーマソングCMをよく見ていたかもしれない。


 雑多な街並みに輝く太陽のマーク。というほどでもないがそこそこ昔は派手で通ったビルの上層にあるその店。同様の似たような店に父やその同僚と連れて行ってもらったかもしれぬがあまりにも幼かったので覚えていない。

 昼間だったので過激なサービスはなく、ショーだけだったと思う。

 キャバレーじゃなくてGシャトー(これも関西ではご年輩の方には深夜帯の歌のCMで有名)だったかもしれない。


 まあお察しなのだが、ホステスさんはその時代からの現役の方一部まだいらっしゃるという鴉野にとってはとても魅力的な店なのである。ゆっこさんよりご年輩の方がまだまだ元気らしい。


 料金は呑み放題5000円。一人指名するごとに3000円追加。


 最初に二人つけてもらえてその後気にいったら指名していい。とはいえ鴉野は内心ビビっていた。後で高額請求されないだろうな。


「こここここんにゅちあ」


 完全に不審者だぞ。鴉野。

 そして初めてと一発で判る鴉野にも店の方は親切だった。

 ホステスさんは三十路半くらいのおねーさんと成人の娘さんがいらっしゃる御姐様だった。

 後者のほうがものすごく鴉野に話を合わせてくれる。ベテランの風格である。

 前者は……ものすごくおっぱいが大きい。

 すごく、大きいです。だからどうした。


「お兄さんこういった店には初めて」

「ですです」


 鴉野はここに至った理由を説明していく。


「いろいろありえなかったですね」


 鴉野の愚痴に対しての彼女らの返答はさておき。


 鴉野的には若い娘さんと話すのは嫌いじゃないが疲れるわけで、実のところこっちのほうが気楽なのである。年輩? 普通に話せる。むしろ助かる。ベテランだけあって話も合わせてくれるしお酒も美味しい。こういうお店は貴重だなぁと思う。

「お兄さん。美男子ですね」

 まぁお世辞はさておき。

「絶対、男性にもてますね」

そっちかいっ?!

「一応鍛えているんです。往復八キロ先の職場まで走って行って帰ったり」

 最近はサボっているけどな。鴉野よ。


「細いし、そっちの人にモテそうだよね。顔も小さいし」


 最近髪を伸ばしたのでデカい面が小さく見えている。デカい面するなよといわれるが小さい面するなよとは言われない。『髪を伸ばすと宮崎某のような性犯罪者になる』と妄想を垂れ流す母とは一緒には生活している。


 奥にはカラオケの施設があったり、ステージがあったりするが閉店前に入ったのでまばらだ。もっと早く入ればよかったなぁ。



 クラブは逃したがキャバレーは体験した。

 鴉野が体験していないのはキャバクラなる場所である。


 どなたかどういう場所かご説明ください。

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