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無笑 ~正月から自称ヤクザが怒鳴り込んでくる程度にはどこにでもある日常編~  作者: 鴉野 兄貴


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よかろう。ならば戦争だ

  鴉野の職場周囲には右翼の街宣車もびっくりの大音量で六甲おろしを歌うおっちゃんがいる。ご丁寧にも折り返してきてまた歌う。山の上の施設関係の人かあるいは悪酔いが酷いタイプなのかは知らないが。


 ある日。


 また歌声が。ああ。煩いって?! チャリに乗って優雅にやってくるおっちゃん。上機嫌に歌うは。

『巨人の星やんかッ?!』

 一斉にツッコむ職場のスタッフ一同。

『阪神ファンじゃないのかい?!』

『解せぬ』

『長嶋、王だけは好きという世代でもないだろう』


 よかろう。ならば戦争だ。


 なんてことはないが拙作のファルコに言わせりゃ人間が相争うのは『せりーぐとぱりーぐがたたかうから』とのことである。

 ファルコは考えていないようで相当賢い。

 たぶんフィリアスにわかる範囲で応えている。



 正論を述べる場合、『お前は莫迦だ』と言っているのと変わらない。

 相手がそれを受け入れる度量と知性を持っていない場合は争いにしかならない。本当に賢い人はギャグを挟みつつ、莫迦にされる側の人間すら笑わざるを得ない論を展開する。そして万人にわかりやすい。


 つまり、鴉野は論外である。

 鴉野のような人間をバカという。


 バカと天才は紙一重というが周囲の人間から見れば天才ではなく天災だ。

 誠にSや家族、職場の皆様には普段から迷惑をかける。ごめんなさい。



 人間はなぜ争うのか。

 ムスリム国ことISの人間はこんな遠くの俺たちの国に介入するなとか声明していた。至極もっともかもしれない。しかし否応なく人間は関わりあう羽目になる。


 人間という生き物を考えてみる。

 哺乳類としての優越性を述べる場合人間は全身に汗腺を装備している。

 老若男女、種族全体が全力疾走を延々と続けることが可能だ。

 逆を言えば常に塩分を求めて移動せねばならない。


 本来類人猿は生の果実に含まれる渋みを分解できないらしいのだが人間は火を使うことで効率よく食料として摂取可能だ。

 逆を言うと人間は大きな群れを維持する場合体内以外の部分に熱量、エネルギーを必要とする。

 そして群れが拡大すれば必要な熱量は飛躍的に増大する。

 人間は火を用い、食糧を得、その食料をもって知恵を巡らせて世界中に版図を拡大し今や七十億。将来的には一〇〇億に到達するらしい。多すぎる。


 人間の生存戦略は多様性だ。

 個体の強者弱者は意味がない。


 ベンガルトラは人間よりずっと身体能力が高いが絶滅の危機に瀕している。目が見えない、耳が聞こえないなどに利点など無いという考えではなく、少しでも多様性のある個体を保存し、非常事態に備えるのが人間である。そのためには結婚というハードルがあるが。婚活頑張れマジ頑張れ。


 弱者を保護するのは人類の生存戦略に過ぎない。

 どんなにイケメンでも子孫を残せないなら×だ。


 逆に不細工でも子供をたくさん作れば勝者と言っていい。

 男系遺伝子は三代で途絶えるらしい。どこぞの国に神話時代から男系という変わったというか偉大な家系もあるが。

 ここでは目が見えないことが将来的に利点になる社会を人間は生み出す可能性もあるとだけ述べておく。



 人間は食料を摂取し、体外に別の熱源を常に確保し、多様性を維持するために社会を形成し、そのために金銭などを発明した。個体ならば別にそこいらで野グソしても問題にならないが、都市生活にて行うと疫病の元となる。


 群れが拡大すればやれることが増えるがかといってやるかというと別問題だ。金銭は人間同士が動き合う力を調整してくれると思う。



 人間の社会は多様性がある。


 地域、家族、組織。国家などなど。

 安定した『世界』は基本的に住民同士の争いは少ない。


 統一政権、統一した民族と言語(実際は問わないがほぼ一致して主流を取っていることが最低必要だと思う)、思想、そして豊かな資源。

 こうして考えると日本って恵まれている。ないのは資源だが人的資源はあるし。思いっきりヒキコモリに徹して争わず、争い事は他国に押し付けるのが日本の生存戦略と言っていいと思う。日本海バリヤーさんは強力やでぇ。

 それでも三〇〇年も安定した江戸幕府を倒して開国新取を選択したのは『クジラ虐殺するための港ほしいんだけど~。カイコクシテクダサイー』なペリー(アメリカさん)の外圧もあったがまぎれもなく日本人の選択である。お蔭でこっぴどい目にあった。今も続いている。


 安定するということは社会に変動が無いということである。


 簡単にいう。貧乏人は貧乏人、金持ちは金持ちのままだ。

 金持ちは利権を手放そうとはしないし、そもそももっともっと欲しいと思う。貧乏人を奴隷として売りまくって自分を守る兵士がいなくなって滅びたアフリカの国とか結構笑いごとではないがそういうものだ。

 安定している上でお金が循環しているのが理想的な社会だがそうも言えず、人類史においては『自由は常に平等に打ち勝つ』と言っていい。

 この場合の自由は一人の人間の自由である。そのために幾人の犠牲があるかは考えない。


 富は1%の超富裕層に集約されるが、搾取される側は血で贖うものだ。

 搾取しつくして死んでも借金は子々孫々に残る。


 といっても限度がある。

 搾取されるのがわかっていて子供を作ったりする人間は少ない。

 金持ちはつがいを選び放題。これは前述の人類の多様性に反する。


 宜しい。ならば戦争だ。

 資本家をぶっ殺せ。労働者万歳。


 こんな壮大な実験をかまして壮大な自爆をするのが人類なのだが、こういった行為が可能になった背景は旧世界では領主に資本が集中し、事業は彼らの手で行われていたが、だんだん平民が金を持つようになり、保険や預金などの仕事を平民が行うことができるようになって古い領主は役割を終えたからと言える。


 民間ができることは民間で。


 しかし、民間に任せると領主特権で搾取しまくりもその逆で最高の労働条件を規定していても利益を求めて過酷な労働に自らを追い込むこともある。

 奴隷のほうがマシなんじゃないかという労働条件に自らを追い込む働き者はいつの時代にもいるし、それが慣例化すると皆が困る。



 ひとつの『世界』を維持しつつ、こういった格差を輸入する方法がある。


 よその『世界』と交流することだ。あるいは喧嘩することだ。

 貿易をしてもいい。とにかく触れ合うこと、競争にて争い合うこと。

 決闘をはじめ奴隷制度にせよ魔女裁判にせよ今の人類にとっては悪習だが未発達な世界では理にかなった統治方法である。心情的には理解したくないが。


 奴隷でハーレムを維持するなら甲斐性がいる。

 実際ムスリムにはモテない男がアホほどいるそうだ。


 女は働かない、働けない世界なので女の子はみんなニート状態になる。


 男は彼女ら家族に加えてさらに妻まで養わなければいけない。

 ムスリムの男は激しい競争の世界にいる。

 妻を所有物としたり、レイプされた女の子のほうが罪人として殺されたりなんともアレだと思わなくはないがそれはそれで社会として成り立っている。



 よその世界との交流という意味で人間は複数の社会や団体を運営することは述べた。だが、それをあえて徹底的に破壊することがある。


「おのれ戦争だ」


 戦争は政争の一部に過ぎない。

 政治的に始まり政治的に集束する。

 例外はないといいたいが後者が苦手なことは少なからずあり、泥沼状態になることもかなりよくある。


 戦争には格差是正機能がある。


 貧乏人でも兵隊になれば人殺しにはなれる。

 金持ちでも貧乏人でも人殺しは人殺しである。


 戦争にいって一旗揚げるぜというのはどこの世界でもある考えだ。


 実際世界恐慌が起き、第二次世界大戦が起きた後、格差はある程度是正されている。日本に至ってはさらに過激で、都市は壊滅。金融や財閥は解体。大地主は土地没収。二度と国家として立ち上がってこれる状況とはいいがたいくらいに格差がいったんリセットされてしまった。というか無一文だよ?! しかし人的資本は残っていたのでこの後えらいことになるのだが。


 一億総中流の世界で驚異的な成長を遂げた日本は戦前より金持ちで平等な国になってしまった。どうしてこうなった。やりすぎである。

 もっとも、大地主がいないので大規模農業ができなくなって農業衰退などなどの諸問題があるのだが、人間には『魔法』がある。

 それは金融技術である。土地の持ち主が土地を融通しあって、実際に働く人を求めたりといった行為が普通に可能になる。

 あるいはごちゃごちゃな駅前の建物をスッキリした街並みに区画整理したりといった利害調整も出来てしまう。


 科学もそうだが金融だってこの世界における魔法と言っていい。

 人間は神話の時代で語られる神と同じく山を破壊する。すべて金繰りあってのことだが。

 生命を生み出すことはできない。怪我は治せないなどなどあるがどっこい傷を癒すジェルなどは実用段階だ。

 微生物くらいなら現在の人間でも合成できるらしい。人間は神をも恐れないな。



 しかし、こういった『魔法』には別の問題点がある。


 一つの問題を魔法で解決しても新たな問題が発生するのは世の常だ。

 人間は国家同士で連帯して監視し合うことで世界大戦を封じることが可能になった。

 人間は技術進歩によって敵国家の兵員をロボットで一方的に虐殺が可能になった。

 人間は核ミサイルをお互いに向け合い、決定的な滅びの力をもって核の平和を生み出した。


 と、言っても近年レーザー光線兵器の発展でもうすぐ核ミサイルは巨大なゴミになるらしいが。


 人間は科学とか金融技術とかいった魔法を駆使し、格差を是正したり余計格差を拡大したりして安定した世界を作る能力を保有している。

 しかし、手に入れた富を手放す人間は基本いない。

 収奪できないならよその世界から奪ってこい。これである。


 奴隷がいないならよそから補給すればいい。それをやってローマは滅びたが。


 兵隊やりたい奴隷、もとい移民さん募集。アメリカさんである。

 うちはヒキコモリ満喫しているんだ。よそもんなど奴隷、もとい技術留学生しかいらん! 日本である。

 兵隊さんは三食昼寝付、教育までしてもらってねーちゃんもついてくる。

現実に即していないがだいたいこんな感じである。

 移民の子供でも犯罪者でも兵隊は兵隊である。

 兵隊になればチャンスがあるのはどこの世界でも一緒だ。


 格差が是正された世界ではみんな兵隊になった。

 しかし世界戦争がなくなっていく世界において貧富の差はまた広がっていく。


 解決手段としては教育を充実されて国内格差を是正するしかないのだが、何度も言うが一度手に入れた富を手放す人間は基本いない。


 おれだけがハーレムしたいんじゃ~。他の奴なんて知るか~。である。

 金融は自分で生産して自分で売ってな世界ではない。


 上澄みを掠め取るのが最も稼げる。底辺層はとっても大変である。

 格差是正せよ。戦争だ。労働者万歳とか言いたくなるのもわからんではない。


 現在の世界において世界的戦争は基本あり得ない。となると人間は別の方法で紛争をせねばならない。魔女裁判も決闘も人間は克服した。神に代わって個人が名誉を贖う時代から神に代わって司法が判断する時代になった。


 飲酒運転や戦争だってそのうち人類は解決するだろうが、そうなると格差は固定化されかねない。厄介なことに底辺層は教育を受ける機会を収奪されている。本来自らの世界に向けるべき非難をよその世界に向けることになる。


 隣の芝は青いというけれどご苦労なことである。



 ではこう考えてみよう。

 人的資本はある種金銭に還元できる。

 多国間で金銭のやり取りをするように。


 底辺層を兵士に仕立て上げ、他国を攻める。

 これ、敵国の底辺層をそのまま敵国にぶつけろよ。

 どうせ仲悪いだろと。


 スパイは昔からいたが、今ならインターネットで敵国の底辺層を洗脳することだって可能だ。その規模はめちゃくちゃデカい。

 なんどもいうが、底辺だろうがなんだろうが人を殺せば人殺しだ。

 ただ、国内で人を殺せば警察などの国内で適切な処置を受ける。


 底辺層を洗脳し、自らの世界に連れていく。こうすればかなりの『節約』になる。今の国家間は関所越えが面倒だし。これからはテロリズム、それも同じ国家内での争いが増えると思う。


 人間の発展はコンピュータにより加速度的に進化している。


 ムーアの法則によるとコンピュータの性能は一八か月ごとに二倍二倍と増えるらしい。コンピュータは金融、軍事などなどを思いっきり強力に補助している。



 歴史、古典などの物語構築、金融技術、統計、数理的思考(ORともいうが)などなどの之から必要な教育はあまり底辺層には縁がない。戦略的思考もそうだ。日銭を稼ぐうえで考えていてもバカにしか見えないだろう。

でも、これを持っている超富裕層はある種、『魔法使い』と言っていいのではないか。魔法使いは進歩していくと『神』と呼べる存在になるのではないだろうか。


 なろうのファンタジーにはやたらめったら意味不明な理由で異世界に主人公を派遣しているあの神様はある意味超超富裕層と言っていい。だって神様だもん。


 停滞した自らの世界に変化や争いを輸入するために主人公を利用していると仮定しよう。我々の世界には『神』は出現するのだろうか。



 結論として言えば出現するんじゃね?


 キリストや仏陀の関係者がいろいろ言っていることだと何億も何兆年も時間が必要(五六憶七千万年)ということだがそれを短縮するコンピュータ技術が発達している。経験も知財になる。技術も知財になる。知財は共有化され、弱さを補い合う人間という概念そのものが変わっていくのは予測の範囲である。故人となる人の知識や経験も共有化できるらしい。事実上、人間は死をも克服するだろう。


 人間は決闘を克服した。魔女裁判を克服した。

 そのうち飲酒運転だって克服するだろう。

 その延長に戦争が無いなんて言えないし、そうなった世界において『ニンゲン』の概念は大いに変わっていく。


 ひょっとしたら鴉野は残りの寿命の間に『神』を見ることができるかもしれない。

 結構なことだ。


 もっともうんこたれの鴉野にとっての神は普段ピンチ時に助けてくれる便所の紙であるのは羞恥の事実である。衆知ではない。周知しておこう。

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