アルバイトに行こう 行ってはいけない!
鴉野は妙なモノを書くせいかいろいろなニンゲンと知り合うらしい。
ボーカル募集で入ったらメンバーの玩具になったみたいなことをいう女性にあったことがある。
素人で『楽器は出来ないけど歌えるからボーカル』という人間は結構いる。ダンスとかでもそうだが。
こういう募集は普通に楽器もロクにできない奴が女をあさるための名目である。同窓会に行ったら手籠めみたいなものだ。別に同窓会に誘ってもらえないからではないが。
他にもモデルとかいって入ったら実に怪しいアレだった。
エステティシャンの仕事と思ったらえっちなエステだったなどなど。
鴉野は女ではないのでこういう被害にはあったことはないが、就職先を求めていたら『絵画を買うことが就職の条件。ボーナス代わりに絵画を買う。以下エンドレス』というところに雇われ(?)かけたことがある。
流石に母・ゆっこさんが乞食ルックに扮装して『うちにはそんなお金はないし、自分を養うお金を稼ぐことは求めたがそんなことは求めない』とか言いに行く羽目になってしまった。まことに申し訳ない。
なお、うちの親は息子が求職活動していてもキッチリ食費は取った。
貯蓄を切り崩して払っていたが、母的には辛かったらしい。
しかしどこにも雇われないといろいろこじらして変な仕事を請け負ってくる。引越し屋なら日雇いで結構だがその日のうちに交通費と称して数千円渡されて帰れと言われることもある。
自衛隊のアルバイトに行くといってやっと母は懲りたのか『仕事探せ』と言わなくなった。
本気で自衛隊のアルバイト(予備自衛官補)に入ろうとしたのだが。
「働いて世の中の役に立てというじゃないか」
迎えに来た人たちの前でガチ親子喧嘩である。
今の仕事につく寸前、手持ちが心もとなくなってアルバイトを探しに行った。整骨院の仕事だがまず体のゆがみを矯正するといっていろいろ揉まれて即採用。明日からこいとか言うけど他のバイトもある。今の職場だが。
「せっかく身体をタダで直してやったのに。まだ治せるのに」
膨大な整体師の学校にいく費用を負担する代わりに丁稚として延々と働けという条件は呑めない。今でも整体師の卵たちは男女とも駅前を奔走しているがそういう事情があるらしい。
なお、着物屋も同じで働くためにバカ高い着物を買えだそうである。
それって従業員じゃない。客を働かせているのである。というか搾取だ。
先輩が着物をその関係で買っていたがかなり『高いだけ』の着物だったと記憶している。
仕事につきたいという人は多い。
だが、仕事と称して顧客に奴隷奉公をさせる輩も少なからずこの世には存在する。
ワタミだのユニクロだのもびっくりだが、こういった職場は衣食住はある程度保障する。
実は奴隷というのはコストが高い。
衣食住、健康管理を持ち主が負担する必要がある。
借金漬けにして働かせるにしても利息分くらいしか期待できない。
無い奴は無い分しかないのだ。
それなら最初から衣食住保障の上でバカ高い報酬を渡して、利息分の借金を健康管理にあてさせたほうがやる気を出すので良いのだ。
前者は犯罪者予備軍や元犯罪者を囲う床下系な訪問販売会社。
後者は別名『健康保険』という。
借金漬けにしたって全額回収はほぼ不可能だ。
利息で青息吐息だし歳を取れば勝手に死ぬ。
しかも借金を返すまで生かしてやらねばならん。臓器取るなら別だが。
だったら合法的に利息分を搾取し、祖奴の健康管理にあてたほうが良い。
まさか昔の施政者がそんなことを考えたかは知らんが概ねそんなところである。
奴隷は前時代的である。
だが、前時代的な一部の会社では相も変わらず奴隷が必要なのである。
衣食住を保障して囲い込み、過酷な労働を強いる。外国人研修制度は現在のところ奴隷制度と見て良い。
奴隷は良い。
衣食住を保障しなくては奴隷の管理能力が無いことになる。
教育もしなければいけない。健康管理も奴隷の持ち主の義務だ。
最低賃金で働かせるが衣食住の保証もされない現代のワーキングプア。
ワーキングプアなしでは成り立たず、社員教育もままならず、寮も用意できない会社に対しては昔の奴隷商人のほうがマシである。
流石に焼印は押さないが。




