Review(レヴュー)! 零(でろ) 第七話 卒業するというけれど
連続投稿四回め。零編の最終章
簡単な会食があって、挨拶があって、仲間たちとはあっさり別れてそれっきり。
覚えていることと言えば酒呑んで一緒に騒いでいた程度である。いいのかそれで。
小説家になりたい。
夢を抱いた『少年』『少女』たちはそれぞれの生活に戻る。
本当に小説家になった人間、事務局の人間になるもの、チューターを支える立場になるもの。
結局、小説家になった者はいない。はずだ。
なることが出来たのは一部の投稿を行っていた人々のみ。
それでいいのだと鴉野は思っている。
あのときのキラキラした瞳の輝き。
お互いの小説を酒の肴に熱く語った日々は、確実に身についているのだから。
文章の書き方なんてしらない。文法も原稿用紙の使い方も知らない。
人の人生と言うのは小説より輝いていて、それぞれがとても美しく泥臭い。
酒の肴のように儚く、一杯の酒の盃の音より華やかだ。普通の人々、それは読者である。読者は感想を書かない。読者は意見を言わない。
面白いものを面白いと思い、つまらないものを見ないだけだ。
そして、小説家は誰よりも輝く物語を持つ彼らに物語を見せる存在だ。
真実の物語を持つ人に、ウソの話で感動など与えられるわけが無い。
真実の物語にウソで包んだ真実を届けるとき、不思議な奇跡が起きる。
小説家にならない。なれない。なれなくていい。
誰より輝いている物語が、俺たちの前にいまだ続いているのだから。
『物語』たちが世に解き放たれ、星は輝く。
いざいかん。綺羅星の物語をみる旅へ。
俺たちの『青春』は。いまだ続いている。
願わくばその物語を肴に騒ぐよき友と共にあれ。
『Review! 零』 完




