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無笑 ~正月から自称ヤクザが怒鳴り込んでくる程度にはどこにでもある日常編~  作者: 鴉野 兄貴


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クリスマスと親知らず

 むちゃんこ痛い。

 化膿すると口が苦くなる。


 親知らずの事である。


 肩を外してもアバラを折っても顔面が半年崩壊しても痛み止めを処方してもらわない鴉野だが親知らずだけは別である。普段使わないお蔭で効きすぎるほどロキソニンが効く。ロキソニンさんは偉大だ。


 そんな状態で前述のイケメンさんからメールが届いたのは数か月後の事だった。

 鴉野は婚活系サイトの利用をしていた。新しいネタのためでもある。そこで先約があったので断ろうとしたらこういうメールが来ていた。


『今後このサイトを使いましょう』


 明らかに有害な出会い系である。


『ならいらん』


 数か月の付き合いだったが業者ならさっさと誘導の仕事をしてほしい。こっちの時間は有限なのだ。


『骨さん! ハロウィンの○○です! ちょっとメアド変えてました。もし宜しければ(略)』


 断ろうとメールしたら届かなかったのはそういうことか。しかし。予定が空いたのも事実だ。

「例の服も着てくるんですか」

 鴉野は恐る恐る聞いてみた。ちゃんとしたコートも用意している。


 しかし返答はこうだった。

「wwwwwwwwwwwwwww 是非wwwww」(※原文ママ)


 急きょコスプレイベントも用意してくれる。らしい。

 これは行かざるを得ない。勝てなくてもネタ枠参加確定だ。

 参加費払うのだがなぁ。これなら運営側の手伝いを申し出るべきだった。


 鴉野は骨の服の上に喪服。

 仙人一本歯下駄。ryotenの傘の二つの色物アイテムを持ち、クリスマスプレゼントをもってかの地に赴いた。

 寝坊して当日約束の親知らずの糸抜きができなかったのはご愛嬌だ。


「なんか真面目そうな方ですね」

「あはは」


 隣に座った忍者と鴉野は適当に言葉を合わせていた。

 目の前に断りもなく座った男は女づれ。


「移動するぞ」

「へ?!」


「すいません^^ 隣宜しいですか」


 この男の子、あまりこういうこと言えそうにないし。

 というか、挨拶しない子たちと顔を合わせているのは精神衛生上よろしくない。


 勝手に隣の席の可愛いOLたちと話をつけた鴉野と四人で席を取る。

「どこから来ましたか~~?」「市内です~~」

 非常に無難な会話が始まった。

「乾杯したし、行列凄いし、ほとぼり冷めたら料理とってきましょうか」

「お願いします」

 しかし、行列が絶えないので結局皆でとりにいく。

 サラダとから揚げしかない。あとは酒。から揚げ取り合いかい。

「この方は骨さんと言いまして、けっこう無茶も聞いてくれるんです」

「そんなにアレではないのですが」

 主催者の件のイケメン氏の紹介。参加者で男を近づけず女だけで呑んでいるグループに話しかける鴉野と『ふうん』な女グループ。

 女の子は美人過ぎるとお互いの牽制にすべてを注ぐらしい。

 鴉野は女の子と付き合う当事者よりこういうグループと他の草食系グループとの間に何らかのネタを提供して引っ掻き回るほうが性に合う。

 美人過ぎる女が固まっていると童貞は近づかない。

「いやぁ素敵な女性ばかりでドキドキで何もできそうにないです」

「お上手」


「で、なんで骨?」

「ああ。お見せしましょう」


 鴉野は仮面の騎士2号よろしくパッパとコートとスーツを脱ぎ捨て、16センチの仙人一本歯下駄を履き、和傘を広げてポーズを決めた。

「この通りです」

「……」

 取りあえず投げキスしておこう。


 席に戻ると、先ほどの真面目そうなスーツ男が骨に変貌したことでか女の子たちはドン引きし、別の席に行ってしまった。


 そういうことも。ある。


 化膿した。歯が超痛い。

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