世界一のぶらんこ
世界一のブランコが冬季オリンピックで有名なロシアはソチにできた。高さ170メートル。大渓谷の間を飛ぶその移動距離500メートル。別のブランコから推測だが最高時速150キロくらいはでるらしい。また、スタート時は70メートル近い自由落下を体験できる。
わが母、由紀子さん(仮名)が好きな某アニメのOPでは主人公が巨大なブランコで遊ぶ牧歌的なOPが見れるが、理想と現実はかくも違う。
スイスは永世中立国だから日本も見習えと左の人は言う。親愛なる我が学生時代の赤教師。彼らはスイス、北朝鮮やコスタリカを理想としていた。
スイス。
その実態を軽く解説する。
彼らは国民皆兵。
この時点でヤバいけど、あの土地柄である。山ばっかり。
食っていけないので代々傭兵やっていました。
全然平和じゃないぞッ?!
一応同じ州同士、身内で殺し合わないようにとはいえ利益最優先。
スイス人はスイス人同士殺しあってヨーロッパの戦争を代行していた。
「え? ハ〇ジのあのイメージ」
「オンジ爺さん、戦争後遺症を患っているっていう原作設定があるらしいよ」
ドン引きの仮想人格に告げる鴉野。牧歌的な物語の背景にはダークな要素。あそこに銀行ができたのも国防的にも資金が結局あそこに集約するわけで都合良かったのでは?
「永世中立国。つまりヨーロッパ全部敵。あるいは雇い主」
「……」
ちなみにすべての家に自動小銃がもれなく装備されており、つい最近まで山岳を下るための自転車も装備されていたそうだ。
アメリカは自由を移民に与える代償に血を要求する。
スイスのそれは更に極悪で兄弟同士殺しあって得る独立だ。
「永世中立って。永世中立って?!」
「世界中を敵に回す覚悟ととく」
理想と現実のギャップにショックを受ける仮想人格。うんざりな鴉野。
まとめるとスイスは農作できる土地が限られるので女手で何とかなり、男は邪魔に。各国の戦争に参加して出稼ぎ。
仮に兄弟で殺しあってもわずかな報酬を家族が得ることができる。
両方死のうが片方が生き残ろうが運よく両方生きて帰ろうがだ。
山奥で金銭は使い道が限られるし、交通の要衝なので為替制度が発達したらしい。
ここからは鴉野の憶測だが、戦争を依頼する国々から金を運ぶのは非現実的。金があるなら使いたい奴に貸せばいい。
すなわち、余ったカネを各国の設備に貸す。
すなわちヨーロッパの血と金があの天然要塞に集約される。
そしてそのお金をガッチリ守る。ひいてはヨーロッパの銭を守ることに。
なろうファンタジーの世界観では兵は給料もらえるし、志願制度あるいは常備軍もあったりする。実際は傭兵を雇うそれすなわち給料を兵に払う能力無しである。
国家そのものが国民軍を常備できるようになったのは産業革命後。
そしてナポレオンまで国民が一丸となって戦うローマ時代な市民の世界観に回帰しなかった。カネがないのです。というか社会基盤がない。
戦争屋たちは各国の依頼を受けて戦場に兵士を派遣。
儲かった銭は貸し付けで利息を取る。その銭を借りて依頼人は戦争遂行。
自然、お金は給金と送金したお金、戦争依頼主が借りた金として国内で回る。この金がなくなると戦争を依頼できない。
また、土地柄から侵略する国家がなくなり、お金の信用度そのものが跳ね上がった。
いつしかその山国のカネは金より価値があるということわざもできるようになり、各国の機能が集約するようになる。
「日本よ。これが平和国家だ」
「なんか、なんか違う」
かの名書も慈善事業で書かれた節がある。
ブランコから雲に飛び乗って優雅に眠る主人公の女の子。
その明るく優しい平和。平和の尊さを知ることができるね。
「なんか、平和って」
「戦争行動の一環だなあ」
「鴉野さん。ブランコ乗りません?」
「子供の邪魔だろ」
小春日和の冬空の下。男たちは歩き続ける。
平和のありがたみと、その影で今血を流し続ける無名の人々を想いながら。
参考図書
『傭兵の二千年史』 (講談社現代新書 菊池 良生 著)
青空文庫
新渡戸稲造『国際聯盟とは如何なものか』
http://www.aozora.gr.jp/cards/000718/files/50729_39692.html




