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無笑 ~正月から自称ヤクザが怒鳴り込んでくる程度にはどこにでもある日常編~  作者: 鴉野 兄貴


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あーぼー(仮名)は天才だからな!

 身内の話をするのはアレだが鴉野の従兄には鴉野をして『ちょっと変わっている』男がいる。

 いや、自分の兄貴であるのでめったなことは言えないのだが。


 基本的に兄妹同然に育った身内には余計なことは言いたくない。

 でもやっぱり。いやかなり変わっている。


『ニトログリセリンを安全に運ぶ方法はないか』


 こんな電話を受け取れば温厚な友人Sでもいい加減『何だあいつは』と言い出す。

 正直、Sだからこそ洒落で済む。ほかの奴ならそうはいかない。


 そんな彼は性格の不一致だかなんだかの理由で妻子と分かれていきなり東南アジアの某国に旅立った。


 何故に某国。しかし事業はそれなりにやっているらしい。

 現地に詳しい日本人としてコネクションを築いた結果、亀井静香とツーショットを撮っていた。女性ではない。政治家である。


 容姿は困ったことに端麗の部類に入る。


 昨今腹が出てきて元猿岩石の有吉みたいになってしまったがとりあえず今でも肌ツヤツヤで超年下の現地妻を持っている。というか正式に結婚して子供も作った。彼は鴉野が放送大学に通う理由の一端を作った男だが、なんせ天才肌でもう一人の努力型の兄貴(※こちらも従兄)とまったく正反対の男である。

 性格的な不一致で日本の大学には通えないが、複数各語を余裕で覚える。


 超絶遠距離恋愛を成功させる。それも学生と。ロリコンと言われても仕方ない。これを兄貴が見たら鴉野は消される。


 ある日彼から呼び出しを喰らった。

 奥さんを連れて京都に行くから突き合え。


 実は姉貴(こちらも従姉)が京都に住んでいるのだがこれを無視しての旅行となったので姉貴が『寄っていけ』とプリプリしていたことを付け加えておく。


 奥さんも奥さんで泊りになるので鴉野に襲われることを覚悟したらしい。

 某国での男は女の子に必ずナンパするものらしい。


 まして一つ屋根の下で数日間過ごすとなると。


 しかし、完全に安全に過ごせた。

 普通に兄貴は熟睡している。

 階下の部屋にいる彼女に鴉野は手を出してこない。


『あの人は、ホモに違いない』


 奥さんの中で疑惑が芽生えた瞬間である。



 まぁ、鴉野が今書いている駄文の数々を見たらその疑惑は確信に変わるのだが彼女は現在日本語の読み書きができないはずなので問題はない。

 『宇宙ときの果てまでこの愛を』なんぞ見せたらホモ以前に頭のネジがぶっ飛んでいると思われて修正効かなくなる。身内である兄貴ですら鴉野へ抱く印象を変えているであろう。


 なお、この後京都で道案内を頼んできた女の子と鴉野が親しく鳩と遊んでいる(?)姿を見て彼女は誤解を解いたという。


『アー(仮名)はプレイボーイだ』


 解けていない。


 京都ならば鹿でも撮ってればいいものを鴉野の写真を撮りまくる兄貴。

 鹿は京都ではない。奈良だ。そして鴉野は珍獣か。


『某国ではお前、すっごい美男子になるんだぞ』


 嘘つけ。今まで一回も言い寄られたことは……無いはずだ。たぶん。


「というわけで、これを異国で売る。見合いに使う」

「……」


 数年後、彼から見合い写真が届いた。


「見合いは良いぞ。どうだ?!」


 あの。若すぎるのだが。


 というか、この顔の視線の向け方って。表情って。あれだ。この子ら兄貴の愛人じゃね?


「若い? 某国じゃ普通だ」


 兄貴。変な仕事はやめてくれ!

 数年後、父の法要を鴉野は間違えて彼に伝えてしまい、来日日がずれてしまった。

「あーぼー(仮名)は天才だから許すしかない!」

 買いかぶりというか、そもそも法要の日を間違えるのは天才の所業ではない。


 兄貴。マジごめん。

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