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魔法使いシャオ  作者: 秋華(秋山 華道)
世界統一編
19/43

ローランド来訪

シャオがドラゴンと戦っていた頃、東の大陸ローラシア大国の王ローランドが、トキョウへと来ていた。

受け継ぐ者の本を手にしているローランドは、その中に書き記された大陸間移動魔法を使って、トキョウへとやってきていたのだ。

ローランドがこの地に着いた時に鳴り響いた衝撃音に、トキョウの面々はローランドの元、神木の元へと集まってきていた。

「ロ、ロ、ローランド‥‥」

口の達者な3人組、自称トキョウの三羽烏、バレッド、ブルータス、グーズリーはすぐにローランドと分かった。

その言葉に、一同息をのんだ。

「これはこれはトキョウの方々、お出迎えくださるとは恐縮です。わたくしローランドと申します」

ローランドはいつもの笑顔だった。

そこに殺気は全く感じられない。

しかし漂う雰囲気から、皆警戒せずにはいられなかった。

それでもアキラは平静を装ってローランドに話しかけた。

「これはこれは。私はこの地の長アキラです。東の大国であるローラシアの王が何用ですかな」

「ちょっとした散歩ですよ。ここトキョウの神木とはどんなものか、見たくなりましてね」

ローランドは神木に手を触れながら、それを見上げた。

「それにしても大きいですね。これは凄い」

一同はただローランドを見ていた。

「みなさん、今日はただ神木を見に来ただけですよ。戦うつもりはありません。でも‥‥」

ローランドはアキラの方を見た。

その目は今までと少し違って、何かを伝えようとする意思が感じられた。

「でも、なんですかな?」

アキラは訊ねた。

何となくだが、アキラにはその続きの方向が予想できていた。

体が硬くなるのを自身感じていた。

「でも、この神木は欲しいですね。見ると欲しくなってきました」

ローランドの表情は笑顔のままだったが、徐々に殺気が大きくなるのが皆に伝わってきていた。

緊張が走った。

剣士は剣を握ってオーラを纏い、魔法使いは魔力を高めて身構える。

今にも何かが爆発してしまいそうな空気に変わってきた。

「それはどういう事ですかな。この神木は人類すべてにとって大切なものです。個人的に私がどうこうできるものでもありません」

「この神木は危険だ‥‥すぐにでも手に入れたい‥‥」

ローランドにはアキラの言葉が耳に届いていないようだった。

再び神木に触れたローランドからは、更に強い殺気が伝わって来た。

そして黒のオーラがローランドを包み始めた。

皆危険を感じた。

ローランドの魔力は強大で、禍々しい雰囲気も持っていた。

「私が何かを手に入れる時、それは全て力ずくです。欲しいと思えば今回も例外ではありませんよ」

ローランドは神木から手を放し、ゆっくりとアキラの方へと歩き始めた。

一同気圧された。

アキラは、ローランドが話ができる相手ではないと悟った。

「気が変わりました。私はこの神木を今日いただきたいと思います。歯向かわず従うのなら、生かして差し上げますよ。はぁ‥‥しかしどうやらあなた方に従う気はなさそうですね。ならば此処で死んでもらいましょうかね」

ローランドの顔から今までの笑顔がスッと消えた。

そしてゆっくりと右手を前に突き出し掌をこちらに向けた。

一同完全に戦闘態勢に入った。

「アキラ殿、下がってください」

シュータが前に出て灰のオーラをより強くする。

「前は任せる。皆も気をつけろ!敵は只者ではないぞ!」

アキラが言い終える前に、ローランドはアキラへ向けてメガメテオを放った。

巨大な火球がアキラたちに向かって飛んできた。

シュータはそれを回避して、ローランドの左に回り込む。

アキラたちは前方に魔法防御を展開した。

ギガメテオの魔法による火球は、魔法防御にぶち当たるとほどなくして消失する。

しかし油断できる状況ではないと皆分かっていた。

ローランドに対して集中を切らさなかった。

「これくらは止めますか」

そういうローランドにシュータが斬りかかった。

連続して攻撃するシュータの剣を、軽やかにかわすローランド。

その動きは実に無駄が無く流れるようだ。

「なかなかの太刀筋ですが、実戦経験が不足しているようですね。基本通りの攻撃では読まれますよ」

そう言ってローランドはシュータの背中へショートレンジからのエネルギーブラストをぶつけた。

シュータの体が前へと飛ぶ。

しかしすぐにふんばって後ろを見ずに剣を振った。

それもローランドにはあっさりかわされた。

「くっ」

シュータの体が崩れ、片膝をついた。

「今のをくらってもその程度のダメージですか。やりますね。それにそのオーラ。珍しい‥‥」

ローランドは全ての人へ向けて無数のマジックミサイルを放った。

魔法防御でいくつかは防げたものの、必ず命中すると言われるマジックミサイルとあって、全ては防ぎきれない。

防御の弱い雄志軍の何人かが倒れた。

シュータはマジックミサイルを剣で防ぐと、改めてローランドへと向かう。

かなりのスピードではあるものの、ローランドの方が全てにおいて速い。

「こちらもマジックミサイルで援護だ!」

リュウがシュータを援護する為、5本のマジックミサイルを放つも、ローランドはかわす事なくそれをただ受け止めた。

「やったか?」

期待したリュウだったが、ローランドに全くダメージが無い事を悟ると、驚き唖然とした。

「ゴミが‥‥」

シュータの剣をかわしながら、ローランドは再度マジックミサイルを放つ。

数は先ほどよりも少なかったが、それは全てリュウへと向かっていた。

雄志軍の者たちが魔法防御でリュウを守る。

いくつかは防げたものの、いくつかは防御をかわし、いくつかはそれを貫いてリュウへと命中した。

「ぐあっ!」

急所は外したものの、かなりのダメージを受けリュウはその場に倒れた。

(マジックミサイルでこの威力‥‥なんて魔力だ‥‥)

リュウは意識を失った。

「さて、そろそろあなたにも死んでいただきますよ」

ローランドは後ろへ跳びシュータから距離をとった。

「逃がすか!」

シュータはすぐさま追った。

剣士が魔法使いと戦う場合、距離を取ることは不利になる。

「遅いです」

ローランドの前に魔法障壁が展開され、シュータの接近を阻んだ。

シュータはすぐに障壁を迂回しようとしたが、その時には横も上も、そして後ろにも障壁が展開されていた。

「いかん!結界だ!」

アキラはすぐに無効化魔法をそれに放つが、それよりも早くローランドのギガメテオが結界内へと放たれた。

結界の中が業火で埋め尽くされる。

そこへアキラの無効化魔法がぶつかった。

ほどなくして結界は解除されたが、シュータは黒く焼け、その場に倒れていた。

立ち上がろうと少し動いている事から、生きてはいるようだ。

「ほう、あれをくらってもまだ立ち上がろうとしますか」

ローランドは更に追い打ちをかけようとした。

そこにローランドの左から、強力な魔力が飛んできた。

なかなか威力のありそうなエネルギーブラストだった。

黙ってそれをくらうわけにはいかず、ローランドは薙ぎ払った。

「まったくこの程度の魔法で‥‥」

そこまで言って、ローランドの表情が少し驚いた様子に変わった。

「シャナクル、生きていたのか」

ローランドの視線の先には、確かにシャオの姿があった。

「あなたが生きていたとは驚きですね。そしてこの人たちを助けようとしますか‥‥ふふふ」

ローランドの顔は、再び笑顔に戻っていた。

シャオの後方にある木々の影に、トキョウの三羽烏とミサが隠れていた。

「お嬢ちゃん、言われた通りにやったが大丈夫か?」

「バレるとまずいだろうな」

「その場合はおそらく、俺達に命はない‥‥」

シャオの姿がそこにあったのは、ミサの魔法だった。

そしてこれはミサのアイデアである。

3人に、共同で出来るだけ強力な魔法をローランドに放つよう指示した。

そしてそこに幻影の魔法でシャオの姿を映し出した。

「世界一の魔法使いが出てくれば、たとえあんな強い奴でも逃げ出すでしょ?」

安易な考えだったが効果はあった。

ローランドにできたその隙をついて、シュータが力を振り絞り斬りかかった。

その剣はまともにローランドの肩をとらえた。

「くっ!」

多少ダメージを与えはしたが、致命傷には程遠いものだった。

力を振り絞ったシュータは、そこで倒れた。

それを見たローランドはとどめをさす事もせず、アキラの方を見て行った。

「今日は一旦帰る事にします。またお会いしましょう」

ローランドはそう言うと魔力を高めた。

「それとそちらの木の陰に隠れているお嬢さん、なかなか面白かったですよ」

次の瞬間、ローランドは大陸間移動魔法で空の彼方へと消えていった。

「バレてた?」

シャオの姿がゆっくりと消えていった。

(シャナクルの幻影。あの地で生きていたか。そしてどうやらあの地の者たちと上手くやっているようだ。神も面白い展開を用意してくれていたものだ)

空を行くローランドの顔は笑っていた。

「今日はなんとかミサちゃんのおかげで助かったな‥‥」

アキラはシュータや他の負傷者の治療を指示し、ヒサヨシに遣いを送った。

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