プロローグ
人は進化する。
人は、より良い自分とする為に進化する。
人は、その中で争う。
人は何かを壊し、そして新しい何かを作り出す。
そしてまた、人は争う。
その繰り返しの中、人は進化する。
しかしやがて、人は自らの力で自らを滅する。
歴史は繰り返す。
人は繰り返す。
全ての人を滅する力を手に入れた時、人類は滅ぶ。
神は考えた。
人に過剰な力を与えてはいけないと。
しかし人は、より良い自分とする為に進化する。
そこで神は更に考えた。
初めからある程度の力を、人に与えておいたら、と。
そうする事で、過剰な力を手にする流れを断つ事を。
人は空を飛べないから飛ぶ方法を考える。
ならば飛ぶ方法を最初から与える。
闇の中に光が無いから光を作る。
ならば光を最初から与える。
高速での移動を求めるのならそれも与える。
世界を滅ぼした世界大戦。
その戦争によって、人類のほとんどが死に絶えた。
その時神は全てをリセットし人に力を与えた。
その力は、人に空を自由に飛ぶ事を許した。
その力は、人が輝く光を自由に作れるようにした。
その力は、人が高速で移動する事を可能にした。
その力を、人は魔法と呼ぶ。
神が人の住むこの地球をリセットしたと言われる『アルマゲドン』より数千年。
それでも人々は、争いを、戦争をやめる事ができなかった。
神に与えられたその力を、結局は争いの道具として使っていた。
アルマゲドンの直後、残された僅かな人々。
その人々は、今後戦争は起こさないと誓った。
しかしその思いは、世代を重ねるごとに風化する。
そして今、人類は混沌の時代の真っただ中。
その昔、戦国時代と呼ばれた時代と酷似する。
天下統一を掲げ、世界を一つにする事を目指し、極僅かな人々によって全世界が動いていた。
今世界は数百の国に分かれている。
正確には、アルマゲドン以来数百の国が造り上げられた。
その国々は、人が暮らせる全ての陸地を埋め尽くした。
全ての陸地がどこかの国に属する。
新たな土地を求めても、もう存在しない。
そんな中、理想を掲げる人々が、理想国家建国の為にある国の領土を奪う行動に出た。
国を大きくしたい人々が、近隣国の領土を奪う事を始めた。
そこから憎しみが生まれ、戦いが戦いを呼び、何時しか混沌の時代へと突入していったのだ。
それを愁いた1人の少年がいた。
名を『シャナクル』と言う。
シャナクルは生まれながらに強大な魔力を持っていた。
そして若干10歳の時には、世界最高と言われるほどの魔法使いに成長していた。
シャナクルはその強大な魔力を手に、11歳の時『ブリリア国』の王として名を轟かせる。
そして全国統一という目標を掲げ、戦いの無い世界を目指し戦いを始めた。
近隣国に攻め入り、歯向かう者は容赦なく殺し、破壊する。
人々は恐怖した。
一部の者は取り入り、一部は志同じと同調した。
だが一方で多くの敵を作った。
そんな中、この日は大陸の最西にある『ローラシア大国』へと攻め入った。
ローラシア大国は、大陸でも5本の指に入る大国であり、魔法軍事大国でもあった。
シャナクルは自ら最前線に立ち、ローラシア大国を圧倒する。
しかし、ローラシア大国は陥落寸前でターゲットをシャナクル1人にしぼり反撃した。
その反撃は、ローラシア大国の全てと引き換えにシャナクルを滅する。






