24.恋愛、先手必勝法! (完)
「バカップル」
「バカップル」
……何もそんな心底呆れた目で言わなくてもよろしいんじゃございませんかね、明菜様頼子様。
大体あんたらに言われたくないっつーの。
アキちゃんなんてあの年下美少年と秘密の間でイチャイチャイチャイチャしてやがってくせにさ。
おまけに頼子は40代のダンディズムと付き合ってるって何だよ!聞いてないよ!イイ人フェチの上オジサマ趣味かよ深過ぎて底が見えないよ!そいつロリコンじゃないのか大丈夫なのか頼子さーん!……と言ったところで大丈夫だよと真顔で返されるに決まってるんですけどね。
ホント人の趣味ってわかんないわー。
「ふっ、まあ何とでも言いたまへ」
「うわーなんかむかつくわー。でも改めて、大魔神ゲットおめでとう」
「その言い方もどうかと思うが、ありがとう」
ああでも今は何言われても特に気にする気にならないわ。
「でも皆も二人にちょっと慣れて来たよね」
「ああ、あんた達がお手手繋いで登校して来た日には教師含め早退者が続出したけどねえ。天変地異が起きなくてホントよかったわね」
どういう意味だ。
「でも笹原君てああいうキャラだったんだねー。無愛想は相変わらずみたいだけど」
「いやいや、顔緩み過ぎてて中川なんかサブイボとか言ってたわよ」
どういう意味だ。
「あ、そういえば中川ちゃんと最近会ってないな」
「あーダメダメ。向こうもすっかり出来上がってるから。あっちも頭ん中タンポポの綿毛じゃないの」
あっちもってのが気にはなるが、まあいい。
「マジすか!そりゃお礼参りに行かんとっ」
「悠、なんか意味違う」
ううん、でも中川ちゃんとはまた話したいな、大崎君とどこでどうなったのかも聞きたいし、ニヤニヤ。
「あ、そろそろお昼行って来るー」
「はいはい、バカップル」
「行ってらっしゃい、バカップル」
なんのっ、その称号有り難く頂戴する!
「ありがとう、友よ!いてきまーす!」
「鱈男か」
で、本日は晴天、気温もお高めなので屋上で昼食と相成っている訳ですが。
「鈴木君、明石君、最近食の進みが悪いよね」
「こんな環境で食が進むかよ!」
「笹原……流石に俺はお前を見る目が変わった」
「やっかみはいいからさっさと食えよ」
まあ恐らくお二人が言いたいのは、私が後ろから勝利に抱っこ状態にされているという環境だと思いますが。
ついでに私が勝利にお弁当作ってアーンとかやってる環境だと思われますが。
ま、いんじゃね?ほら、若いし。
これが成人してて場が社員食堂とかだったらどうかと思うけど。
ほら、まだ高校生だし?空のバカヤローとか叫ぶ為の屋上だし?いんじゃね?
「変われば変わるもんだ」
「達観してるなあ、明石君」
「何か極めてんのはむしろそっちだろ」
「まあでもよかったな、相庭。笹原も」
「ありがとう、鈴木く――んぐっ」
今度は抱っこではなく羽交い絞めにされました、ギブギブギブ!セコンド、タオル!
「笹原、男の嫉妬は見苦しいぞ。つか相庭窒息するって」
「うわー、同小中の奴らにこれ見せてえ。絶対信じないだろうけど。写メっていい?」
「いい訳ねえだろ」
首に回った腕が漸く再び腰に回されて酸素が戻って来た。
ふう、両想いってのも苦しいもんなんだな、うっかり酸欠になりかけたよ物理的に。
「で、なんで毎回お前らが一緒にくっ付いて来る訳だよ。食の進みが悪いなら他所で食え」
「あのなあ、お前らバカップル二人っきりで野放しにするなってあっちこっちから苦情来てんの、俺に。何故か俺に!」
鈴木君、そういうの言いやすそうだからなあ、流石我が校のいい人選手権代表。
お前なら世界を目指せる!立て、立つんだ鈴木君!
「そこいらで若気の至りに及びそう、しかもギャラリーも気にせずおっぱじめそう、だと。お前らまだそこまで行ってないのにな」
笑う明石君に勝利の投げたお弁当の蓋が飛んだ。
しかも避けてるよ、やっぱりこれで運動部じゃないとか明石君もある意味サギだな。
大体学校でギャラリーを前に若気の至りをおっぱじめるとか、どんなイメージ持たれてんだよ私達は。
してません、……しませんよ!?
そりゃあ勝利が望むなら吝かではないけど、これでこの人時と場所は選びそうだからね、しっかりと。
そうそう、両想いという事になってまた新しい一面を知った。
昔の事があったからなのかそれとも元からなのか、物凄くスキンシップ好きでヤキモチ妬きだ。
本当にもう比喩じゃなく、物凄く。
登校は手を繋ぐし隙あらば触るし昼休みはこの通りだし放課後も部活のない日は夕飯前までデートするし今度の休日だってずっと一緒にいる予定。
……何度も言うが、夢じゃないよな。
うう、幸せ過ぎて脳が飽和状態っ、その内耳とかから何かが出そう、ふわっと出そう。
「だから、そういう事は学校外でやれって!特に俺の見てない所でっ」
すまん鈴木君、幸せ過ぎると人は抱き付いてしまいたくなるらしい。
そんでもってまたぎゅうぎゅうと抱き締め返されるものらしい。
心も体もぽかぽかとして暖がとれてしまうスグレモノ、ぬくいぬくい。
「鈴木も誰か見つければ?」
「お前が言うなよ明石っ」
「俺、狙ってるのはいるから」
「誰だよ!?」
OH、思わず鈴木君とハモってしまった。
けどなんだそれ超気になるな、この裏大魔神に狙われるなんてある意味生贄的な女の子は誰よ!
「ま、上手く捕まえたら紹介でもするわ」
捕まえたらって言葉がなんか笑える気がしない。
誰だが知らんけど明石君を相手にするのはまたとんでもなくアレな気がする。
「なんだよ、この俺だけ独り者的空気っ」
「鈴木君、ガンバ」
「ファイト」
「負けんな」
「同情要らねええええええええええええええ」
そして本日の放課後はご報告を兼ねて笹原宅にお邪魔。
なんかまた違う意味で緊張するな!将来ここが第二の我が家になるのかもしれんにょだし!うん、脳内すら絶好調に噛んだな!
「あ、悠さんだー。いらっしゃい」
「剣矢君こんにちはー」
家の手前で丁度入るところだったらしい剣矢君が振り向いて笑顔で手を振って来る。
そして視線を下やら上やらにやり、なんか微妙な顔をした。
なんだ?
「うわあああああああああ!勝利兄ちゃんが手とか繋いじゃってるううううううううううう!写メ!」
「ヤメロ」
がっと片手で頭を掴まれてばたばた手を動かしている剣矢君は何かのオモチャ状態に。
「えー、もしか、そういう事?」
「えへー、そういう事です」
まずは弟君に胸を張ってご報告、えへんえへん、近い将来お義姉さんと呼んでもいいのよ。
漸く頭を解放された剣矢君は何故かしょんぼりと肩を落とす。
「なんだあ。勝利兄ちゃんがぐずぐずしてんなら俺が悠さん狙――なんでもありませんごめんなさい!俺は悪い弟!俺は悪い弟!」
なんかその辺に頭を叩き付けそうな勢いだな。
「下らねえ事二度と言ってんじゃねえぞ」
「へい!肝に銘じやすアニキ!」
「悠、俺ちょっと道場の方見て来るから、適当に上がってて」
そう言い残してトミさんを呼びながら家の中に入ってく勝利を二人して見送る。
「やべえ、いつもの七割り増しで怖かった……」
「そうか、勝利と付き合うようになったのか」
「うん、……って広大さん!」
この家の人達は気配断ちの技でも会得してんのか。
「剣矢は知らないだろうけどな、あいつ物凄い執着心も独占欲も強いぞ。未だに同じ竹刀直して使ってるしな」
「マジかよ。どうすんの、悠さん。その内携帯とか勝手に見出したら」
「超愛されてる!」
……なんですか二人揃ってそのダメだこりゃみたいな視線は。
「はは、勝利の奴、目が高かったって訳だな」
「あーあぁ、折角俺にもカノジョ出来るチャンスと思ったのに」
「剣矢君モテるって聞いたけど?」
「ああ、こいつはダメなんだよ。勝利とはまた違った意味で我侭だし頑固な上根性もないから、付き合う女の子は苦労する」
ナルホド、長兄の言葉は重いな。
「ヒドくね!?」
「さあ、上がって」
涙目になっている剣矢君はとりあえず置いてお邪魔すると、トミさんがにこにこと満面の笑みで出迎えてくれる。
「お久しぶりです、トミさんっ」
「まあまあ悠ちゃん、いつかはありがとうね。勝君から今聞いたのよ。まあまあまあまあよかったこと!」
エプロンで涙拭ってるよトミさん……勝利ってば超愛されてるなあ。
「あいつの太刀筋が変わったんは悠ちゃんのお蔭所為だったんじゃなあ」
「直刃さん」
「未熟な奴だがな、孫をよろしく頼むよ」
「――はい」
トミさんの隣で直刃さんもにこにこしてる。
やっぱり、勝利は愛されて育ったんだよ、うん。
「……しかしあの天地の馬鹿小僧との縁も切れんようだな……はあ」
…………そこは……すんません。
「お菓子を持って行きますからね、そっちの奥の勝君のお部屋で待っていてね」
トミさんはエプロンで涙を拭き拭き反対側の奥へと引っ込んで行く。
それを見送って私は言われるまま勝利の部屋にお邪魔した…………はあ、これが勝利の部屋かあ、入口で暫し感動を噛み締めよう。
あんまりって言うか殆ど物がなくて、如何にも勝利の部屋って感じだな、期待を裏切らない。
あ、私も読んだ文庫本がある、本の趣味似てるかも。
まだまだお互い知らない事だって一杯あるし、これから知っていけると思うと嬉しいなあ。
「悠ちゃん、お紅茶でよかった?それからチョコレートケーキね。ハイ、座布団も」
「ありがとうございます。うわっ、美味しそう」
部屋に入って来たトミさんはテキパキと支度を整える。
しかしこれブランド物のケーキじゃないんですかね?
「今日悠ちゃんが来るって言うから、政子さんが奮発してって。お夕飯も食べて行って頂戴ね、政子さん達はお仕事で残念がっていたけど。またいつでも来れるものね。何せ勝君の彼女になったんですものねえ。本当にあの勝君が大きくなって……」
あああああああああまた泣き始めてしまった。
なんとか宥めるとトミさんは小さく手を振って部屋を出て行く、相変わらず可愛い人だ。
って、夕飯と言われるとは思わなかったな、まあ親父様は腹空かせておけばいいとしても。
前は私がお手伝いをしたからともかく、ただご馳走になるってのもまた勝手が違う。
でも折角言ってくれてるのを断るのも……うううううううん。
とかやってたら携帯にメール来た。
「何唸ってんだ」
「わあ!……あ、もういいの?」
「ああ、元々修繕しなきゃなんないとこあったから、修理自体はまだかかるんだけどな」
勝利は私が座っていた横に胡坐をかいて後ろのベッドに凭れる。
それに倣って私も大きなベッドに背を付けてみた。
すると勝利が私の手の中の携帯を覗き込んで来る、……剣矢君、君のお兄さんは勝手にどころか突っ込む間もないほど堂々と見てます。
「なんだこのメール」
そう言いながら勝利が覗き込んでいる画面には「なんなのあの人達!絶対何かおかしいって!今日なんか廊下で大道芸人みたいなことするし、しかも」――以下延々とぶっちゃけた文字が。
「カスミン、楽しそうでしょ。よかったよねえ」
「……もしかしなくても田辺か、これ」
「もしかしてもそうです」
いやはや、あいつらに関わってさえくれれば大人しい学校生活など送れる訳がないとは思っていたけど、予想以上の成果を上げたようだな、結構結構、グッジョブ、クリティカルだ。
もうカスミンはどこにいようとも独りになどなれませんよ、あいつらしつこいから。
私としても毎日毎日毎日トイレにまであいつらが追いかけて来た日々が走馬灯のように蘇る……。
「いつからメル友になってんだよ」
「あれから二日後にはすでにこんなメールが届きました。勝利にもね、ごめんねって言ってって言ってたよ。いつかちゃんと謝りに行くからねって」
「そか…………まあ、楽しそうでは、ある、か?」
勝利が今何かを妥協したようだ。
「あ、そうだ。テッドから昨日勝利宛にメール貰ったんだった。ハイ。私見てないから」
「…………。何書いてあるか聞きたいか?」
「ケッコウデス」
その笑ってない目を見れば大体想像つくわ、あの野郎また余計な事書きやがったな。
やっぱ遠慮しないで消せばよかった、あいつ今度日本に来たら覚えてろよ。
「ねえ、修理の間ずっと道場お休み?直刃さん寂しいねえ」
話題転換に努力してみる。
「そう。爺さんは前からあちこち出てって教えてるからあの人の生活は変わってないよ」
そっか、じゃあ門下生の子達の方がつまんないのか。
「お前、ガキらに会ったら煩いぞ」
「まあ個人的になら教えてもいいんだけどね。あ、勝利はどうする?」
勝利はうーんと同じように唸ってから下に置かれた紅茶に口を付けた。
ふわりといい香りがする、トミさんお茶の淹れ方上手だなあ。
いつか笹原家の好みを把握すべくご指南頂きたい。
「お前色々やってるって言ってたけど、昔からどこで習ってたんだよ」
「始めは親父様だよ。そんで、親父様の連れて来るお客。段々新しい事やりたくなって近所の道場とかも行ったよ」
そういえば当時近所な事もあったのにここの剣道場を親父様が教えなかったのって直刃さんがいたからか。
もしここの存在知ってたら、もっと早く再会出来てたのかな。
今となっては言っても仕方ない事だけど、でもこうして数年の歳月を経たからこそよかったのもあるんだろう。
大事にしたい、今度こそ後悔と共に失くさないように。
「危ねっ……急に抱き付くなよ、茶が零れる」
「勝利だっていつもやってるじゃん」
「だから、ここでやられるとなあ……」
ぶつぶつ言いながらも肩を抱き寄せて顔が近付けられるのに自然に顎を上げて目を閉じる。
しかしこういう時の動悸ってまだまだ治まんないなあ、いずれ慣れるようになるんだろうか。
凄く嬉しくて、あとちょっとの緊張で、ドキドキするよ。
「え、あれ?」
幾ら待ってもいつもの感触がしないから目を開けると、勝利は顔を上げてじっとドアの方を見つめてる。
……あー、これは、お約束のイベントですね、把握しました。
ちらりと目を向けて来る勝利に行ってらっしゃいとトミさんを真似て小さく手を振る。
立ち上がった勝利は音を立てずにドアの方へ。
「ぎゃ!」
「うわ!」
「おう!」
「あら!」
ドアを勢いよく開けた向こうにはお約束の光景が。
剣矢君はまあともかく、……広大さんに直刃さんにトミさんまで。
「盗み聞きすんな!」
勝利の怒声にそれぞれが何やら愛想笑いを残しつつ引っ込んで行く。
「勝利は本当に愛されてるなあ」
「お前だって親父さんに大事にされてるだろ。俺の事殺しそうな勢いで来た事あった」
「ええ!?ここに!?」
「いや、お前が田辺と俺残して逃げてった日にお前んちの前で会ったんだ。お前がスーツのイケメンと車乗ってった日」
OH……物凄くチクチクグサグサと何かが刺さって来てます。
ってそれ神崎さんの事かな、だとすると親父様がカニ食べないで姿消した時か。
「どこ行ってたのかと思ったら。あ、あの人は神崎亮太さんって言って、私の育ての親の一人みたいなもんなんだよ」
「あんまりそうは見えなかったな」
「神崎さん、お姉さんと一緒であんまり三十代には見えないから」
人間て神秘。
「大体あの人凄い嫁がいるんだよ!」
「そうなのか?」
テレビ画面の中にですがね。
後日神崎さんの(脳内の)嫁を確認したら凄いんだこれが、ピンクの髪のツインテールで超アニメ声で魔法少女で語尾が「にゃう」……あんまり深く考えない事にしよう、人の趣味はそれぞれだから。
「しょーり、もういっかい!やりなおし!」
を、要求する!…………要求出来ちゃうようになれたんだなあ、じぃーん。
感動を噛み締めつつ再度体勢を整えようとしたら、腰に両手を当てて持ち上げられると膝の上に正面から座らされる。
丸っきり跨ぐ格好がちょい恥しいんですが、当人がご満悦のようなのでいいか。
本当にこういうの躊躇いなくやっちゃうんだもんなあ、鈴木君達がこれ聞いたら卒倒しそう。
「お前、今何考えた?」
「勝利の事だよ!」
おまけに勘も鋭いときてる、というより最近妙な方向に益々研ぎ澄まされてるよ。
だがそこもいい!そうだ、そこもいいんだ!
「春より髪伸びたな」
私の首から肩にかかる髪を後ろに払いながらそう言う。
「短い方が好き?」
「特にない」
学級日誌の一言コメントみたいな事言うなよう!先生悲しいです!
けど正直今までの生活聞いた手前、ホントこの人女に興味あったのかな……性的な意味で。
「激しく今更ですが、好みのタイプとかなかったの?」
「それはお前だったんだろ」
ぐふう!相庭悠ときめきハートに5963の攻撃を受けた!相庭悠はざわざわしている!
うおおおおおおおお、最近頓に攻撃が激しくて堪らんです。
「客観的にさあ、髪長い方がいいとか何とか」
「お前はこのまま伸ばすのか?昔も春くらいの長さだったよな」
「あー、あの長さだと却って面倒でね、もっと伸ばそうと思ってるんだけど」
「じゃあ、それで」
ぎゃああああああああっそれはかの有名な「ありのままのお前なら何でもいい……」発言ですね!これが萌え殺しか!
神崎さん、私二十歳になったら貴方と美味しいお酒が飲めそうです。
何なのここに来て私的萌え発言の連発とか悶えるっ。
「一体私をどうする気か!」
おっと口に出してた。
「こう」
そう言って今度こそ近付いて来た唇に目を閉じようとした瞬間。
まあ、ね、わかってるんですけどね。
「うな重と聞いて俺が来ましたああああああああああああああああああ」
「誰もお前なんぞ呼んでおらんわい!」
「あら直刃さん、私が呼んだんですよ」
「トミさん!?」
「TENCHIだー!!」
「またお会い出来て光栄です!」
…………えーと、なんだ、その。
「すまん」
「いや、……」
次いで私達を呼ぶトミさんの声、……ああああああああ。
「行くか」
勝利は小さく笑って立ち上がると、私に手を伸ばす。
私はその手を取って、――思い切り引いた。
一瞬だけ重なった唇に、見開かれる勝利の目。
「まだ勝ちは譲りませんよ?」
そう、どうせ先は長いだろうから、まだまだ勝負の結果はわからない。
これから色んな事が起きるだろう、笑ってばかりじゃいられないような事だって。
「上等」
でも貴方がそうやって笑ってくれるなら、私も笑っていられる。
そうであろうと、頑張って行けるよ。
とりあず、始まったばかりの私達の関係に。
先手必勝!
恋愛、先手必勝法!これにて本編完結です。
お読み頂き本当にありがとうございました!
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今後は番外編等を更新予定。
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