第二話:旅立ちの朝
第二話です!
俺は今江戸城にいる。
今日は、仕事がないから、江戸城に行きたい気分なのだ。
「おっ!今日もいるな!」
「ん?あぁこんにちは」
今日は、徳川斉昭がいたのだ。
「今日はどうしたの?」
「いや特に用事とかはないんだけど、ただ来ただけ」
「ふ~んそうか」
「そういうお前はどうなんだ?」
「俺も同じだ」
「そうか。なぁ、ちょっと話さないか?」
「別にいいけど、何話すの?」
「そうだな……好きな食べ物の話でもするか!」
「おい、それって雑談じゃないか!しかも、普通すぎるわ!」
「まあまあ、気にするなって」
「気になるわ!まあいいか。で、お前は何を好きなんだ?」
「俺は、寿司が好きかな。一ノ瀬は?」
「俺は、肉料理全般好きだぞ」
「おお!そうなのか!俺も肉は大好物なんだ!一緒だな!」
「ああ、同じだな」
「よし、もっと話をしようぜ」
「おう、どんどん話していこう」
それからしばらく二人で、たわいのない会話をしていた。
「そういえば、最近、一ノ瀬は何か変わったことはあったか?」
「う~ん、特にないかも」
「そうか。なんか変化があったら教えてくれよな」
「わかったよ。てか、なんでそんなこと聞くんだ?」
「まぁ、いろいろあるんだよ」
「ふーん」
「ところで一ノ瀬、お前はいつまでここにいるつもりなんだ?」
「俺は、ずっといる予定だけど……」
「え?まじかよ。一ノ瀬はここが気に入ったのか?」
「いや、そういうわけじゃないが……。なんとなく居心地がいい気がするんだ」
「そうなのか!それはよかった。実はな、俺はこの城から出ていきたいと思ってるんだ」
「そうなのか!?でも、なぜだ?」
「いや、なんか飽きてきたっていうか、つまらないからな」
「なるほどね。それで出ていきたいと思っているのか」
「そういうことだ」
「でも、将軍様が許してくれるとは思えないがな」
「それが、大丈夫みたいなんだ」
「どういうこと?」
「今度、将軍の慶喜さんが江戸から出るんだ。だから、その時についていくんだ」
「へぇーそうなんだ。で、お前はついていかないのか?」
「ああ、俺は残るよ。この国を見守っていく義務があるからね」
「それもそうだな。じゃあ、また会えたらいいな」
「おう、そうだな。あと、この事は誰にも言うんじゃないぞ」
「わかってるって。言わないから安心しろ」
「絶対だぞ」
「はいはいわかったよ。それじゃあまたね」
「じゃあな」
こうして、徳川斉昭との話は終わった。
さっきの話を聞く限り、あいつはこの城を出ていくことを決意したようだな。
でも、俺には関係ないから、ほっておくか。
そして、俺は家に帰った。
ある日、江戸城に呼ばれた。
どうせろくでもない用事だろう。無視しても良かったのだが、一応行ってみることにした。
「失礼します」
「おぉ!来てくれたか!待っていたぞ」
そこには、将軍である徳川家茂がいた。
「はい、私をお呼びだと聞いたので来てみたのですが、どのようなご要件でしょうか?」
「お前を呼んだ理由は、わしと手合わせをしてほしいからだ」
「手合わせですか?なぜ私がそのようなことをしなければならないのでしょう?」
「うむ。最近、剣術の腕が落ちてきていてな。誰かと手合わせをして鍛えようと思ったのだ」
「そうだったんですか。では、私は必要ないのではないでしょうか?」
「いや、お前には見届け人になってほしいのだ」
「はい、わかりました。それで、試合はいつやるのですか?」
「今すぐだ!」
「えっ?いや、急すぎませんかね?」
「大丈夫だ!さぁ、早く行くぞ」
「あっちょっと待ってください」
そして、俺達は試合会場に移動した。
「おい、もうそろそろいいか?」
「はい、いつでもいいですよ」
「よし、じゃあやるか!」
「はい」
こうして、俺と将軍家の試合が始まった。
しかし、すぐに終わってしまった。
なぜなら、将軍が弱すぎたからである。
剣筋も見え透いていたし、攻撃のスピードも遅かった。
これならまだ、一ノ瀬の方が強いと思うくらいだ。
正直言って、こんな奴が将軍なんてありえないと思った。
まぁ、俺にとっては都合が良いけどな。
「あの、私の勝ちということでよろしいでしょうか?」
俺は、将軍に向かって言った。
すると、将軍は悔しそうな顔をして、「ああ、そうだ」と言った。
俺はその言葉を聞いて、とても嬉しかった。これでやっとここから出られる。
俺は急いで準備をした。
そして、将軍が俺を呼び止めようとした時、俺は走って部屋から出た。
やったー!俺は自由になったんだ。これからは、好きなように生きていこう。
そう思いながら走っていると、前から一ノ瀬が現れた。
「おっ一ノ瀬じゃないか。久しぶりだな」
俺は久しぶりに一ノ瀬と会えて、少しテンションが上がった。
「おう、久しぶりだな。お前も元気そうだな」
「まあ、元気といえば元気かな。ところで、一ノ瀬は何をしていたんだ?」
「ああ、俺は慶喜さんについていくことになったんだ」
「え?慶喜さんのところに?」
「うん、そうなんだ」
「それは大変だな。頑張ってくれよ」
「ありがとう。頑張るわ」
「でも、なんでお前がついていくんだろうな?」
「さあな。でも、慶喜さんはいい人だからついていきたいんだよ」
「なるほどね」
「お前はどこに行こうとしているんだ?」
「俺は江戸から出ていく予定だよ」
「え?そうなのか?」
「ああ、そうなんだ。俺はこの国を見守っていく義務があるからね」
「それもそうだな。じゃあまた会えたらいいな」
「おう、そうだな。あと、この事は誰にも言うんじゃないぞ」
「わかってるって。言わないから安心しろ」
「絶対だぞ」
「はいはいわかったよ。じゃあまたね」
「じゃあな」
こうして、徳川慶喜についていくことを決めた一ノ瀬とも別れた。
そして、江戸から出るための準備をするため家に帰ることにした。
準備をするといっても、ほとんど持っていくものなどないのだが。そして、家に着くとなぜか家の前に人が立っていた。
誰だろうと近づいてみると、そこにいたのは将軍の徳川家茂だった。
「ん?なぜ将軍様がここにいるんだ?」
俺は不思議に思って、将軍に聞いてみた。
「実は、わしも一緒についていきたいと思ってな」
「はい?将軍様、今何とおっしゃいましたか?」
「だから、一緒に行きたいと言っているのだ」
どうやら聞き間違いではなかったようだ。まさか、将軍が俺達と一緒に行くとは思わなかった。
「いや、無理ですよ。だってあなたは将軍でしょう?」
「それがどうかしたのか?」
「ですから、将軍であるあなたを連れて行ったりしたら問題になるんですよ」
「大丈夫だ。ちゃんと、わしの知り合いということにしておけば良いのだ」
「そういうことでしたら別に構いませんが・・・」
「よし、それでは決まりだな!」
「はい。それで、いつ出発するのですか?」
「今すぐ出発しよう」
「わかりました」
こうして、将軍徳川慶喜と俺の旅が始まった。
読んでくださりありがとうございました。