第一話:徳川慶喜に出会う!
第一話です。最後まで楽しんでいってくださいね。
1860年 東京・赤坂見附
「おい!貴様ら!こんなところで何をしている!」
「うわっ!見つかった!」
「逃げろ!」
「待てぇー!」
「くっそぉ~!」
「まてぇ~!」
「まてぇ~じゃないですよ~!」
「なんで、追いかけてくるんですか~!」
「それはお前たちが逃げるからだ~!」
「だって怖いんですよ~」
俺たちはやっとのことで警官を振り切った。
幕府の情報をスパイしたという疑いを俺らはかけられているのだ。
「そういえば、さっきの話聞かせてくださいよ」
「さっきの話?あぁあれね……実はな、俺はこの前、江戸城に行ってきたんだよ」
「え!?マジですか!?」
「あぁ本当だぞ……それでな、その時に俺と話をしてくれた人がいたんだよ。その人の名前は、水戸……いや……忘れちまった……でもすごい人だったんだよ。俺より年下なのに将軍になったんだよ。だから俺もその人みたいになりたいと思って頑張ってるんだけどなかなかうまくいかなくてねぇ……」
「へぇ~そうなんですねぇ。でもその人の話なら聞いたことがありますよ。確か名前は……徳川斉昭っていう名前だった気がしますよ。知ってると思いますけど、あの有名な水戸藩主です。あと水戸徳川家といえば、御三家の一つですね」
「え!水戸徳川家って御三家なのかよ!知らなかったぜ……じゃあお前のところは?」
「うちは、尾張徳川家です。御三家の中では一番下のほうですよ。まぁそれは置いといて、水戸徳川家は、幕府の中でもすごく力を持っています。特に、老中の一人が、よく動いてくれているようです。その人がいなかったら今の幕府はなかったと言われています。ただその人は、攘夷派なのですが……」
「そうだったのか。その人とは会えるだろうか……」
「わかりませんが、もしかすると会えるかもしれません。その方の名前を教えてくれれば、調べられるかも知れません」
「そうか。頼む。その方は今どこにいるんだ?」
「それがわからないのです。何しろもう亡くなってしまいましたから。確か、安政の大獄という大弾圧があったときに殺されてしまったらしいです。詳しいことは知りませんが、なんでも、水戸藩の重役の人たちが次々と殺されたそうです。その中には、斉昭公も含まれていたらしく、大騒ぎだったとか」
「そうだったのか。でもどうしてそんなことをしたんだろうか……何かあったのかな……」
「さぁそこまではわかりかねます。しかし、斉昭公は、開国を推し進めようとした人でした。しかし、開国派の大名たちは、それに反発して、斉昭公に反発する勢力を作り、ついには、斉昭公を殺してしまったと聞いております」
「なるほど……開国派と攘夷派が対立して起こった事件だったというわけなんだな……」
「はい。そういうことになります。あっ!そろそろ時間です。戻りましょう」
「そうだな。戻ろうか。じゃあまたな!」
「はいっ!」
俺は、急いで自分の仕事場に戻った。
そして、今日もいつも通りの一日が始まった。
「さて、頑張るか!」
俺は、今日も仕事を頑張った。
そして、夜になると、また俺は江戸城に向かった。
今日も例の人に会えるといいのだが……
「おっいたいた。おーい!」
「ん?君は昨日の……どうしましたか?」
「あの~あなたは水戸徳川家の方ですよね?」
「えぇそうですよ。私は、水戸藩主の徳川慶喜という者です。私に用があるということでしょうか?」
「はい。実は、あなたのことを知りたいと思いまして...私は汐ノ宮一之介と申します。」
「私のことを調べに来たということは……もしかして、君も攘夷派ですか?」
「いえ違います。私は、開国派です。しかし、どうしてもあなたに聞きたいことがあったのでここに来ました」
「ほう。それはどんなことですか?」
「単刀直入に言いますと、あなたは、なぜ開国をしようと思ったのですか?私は、あなたのような若い方が、この国を変えようと努力しているのがとてもすごいことだと思ったんです。そして、その気持ちは、この国の未来にもつながっていると思うんです。だから教えて欲しいんです。なぜ開国をしようと思ったんですか?」
「ふむ。そうですね。この国は、この先もっと変わっていくでしょう。日本だけではない。世界中が変わり始めている。このままでは日本が世界の植民地になってしまうかもしれない。それだけはなんとしても避けなければなりません。そのために、まずは、イギリスとの条約を結び、西洋の技術を取り入れ、日本を強くしなければいけないのです。そのためには、攘夷派などと言ってる暇はないのです。ですから、攘夷派は邪魔なのです」
「そうなのですか……確かにそうかもしれませんね……でも、一つだけ言わせてください。攘夷派の人たちも、悪い人ばかりではありません。みんながみんな、外国の脅威を感じているからこそ攘夷を唱えているのです。決して、悪気があって言っているわけではないはずなんです。どうかそのことをわかってあげてください」
「えぇわかりましたよ。私だって彼らのことが嫌いなわけじゃない。むしろ好きなくらいだ。だから、彼らを潰したりはしない。安心してくれ」
「そうでしたか。ありがとうございます。あともう一ついいですか?」
「なんです?まだ何かあるんですか?」
「はい。あなたの政策の中に、海軍の強化があるとお聞きしたので、それも教えていただこうと思っていました。海軍の軍備をどのように考えているのですか?」
「あぁそのことですか。今のところは、軍艦をたくさん買おうと思っています。できれば、大砲を大量に積めるような船が良いですね。あと、この前イギリスに行ってきたとき、蒸気機関というものを見てきたのですが、それを日本に取り入れて、蒸気の力で動く船を作れないかと思っているところです。まぁそれはまだまだ先の話になると思いますが……」
「そうだったのですね。わかりました。いろいろ教えてくれて本当にありがとうございました」
「いやいや。こちらこそ、いろいろ話せて楽しかったよ。ではまたどこかで……」
「はい。またいつか……」
こうして、俺は、水戸徳川家の人と話すことができた。
やはり、徳川斉昭という人は、もう亡くなってしまったらしい。
だが、彼の意思を継ぐ人はいる。
その人は、徳川慶喜というらしい。
彼は、開国派のようだ。
それにしても、彼は、どうしてあんなに若いのにここまで考えることができるのだろうか……
俺とは大違いである。
彼からは、学ぶべきところが多そうだ。
これからは、彼に注目していこうと思う。
「さて、仕事するか!」
俺は、今日も仕事を頑張った。
そして、夜になると、いつも通り江戸城に向かった。
「今日は、誰がいるかな……」
「おっ!いたいた!こんばんは」
「ん?あぁ君か。どうしたんだい?」
「いや、あなたに聞きたいことがあって...」
「何だい?なんでも聞いてくれ」
「実は、幕府についてもっと知りたくなって……」
「なっ!君みたいな人が幕府のことを知ろうとするなんてどういう風の吹き回しだい?でも嬉しいな……実は僕も君のことを少し調べさせてもらったんだよ」
「え?そうなんですか?」
「あぁそうさ。君のことは前から知っていたけどね。ただ、あまり深くは知らなかった。でも、今日は、君のことを知ることができて良かった。君は素晴らしい人間だよ。そんな人間がこの国のために尽くしてくれるというのはとても心強い。僕は、今から君ともっと仲良くしたいと思っているんだけど……どうかな?」
「もちろんいですよ」
「じゃあさ、明日僕の家に来てくれないか?もっと詳しく話をしよう。」
「わかりました。では明日行きますね!」
「うん。じゃあお待ちしてます。」
「じゃあまた明日会いましょう!」
そして、次の日になった。
「よし、行くか!」
俺は、江戸城に向かった。
「おっこんにちは!」
「おっ来てくれたか。待ってたよ」
「そうかですか。待たせてすいません」
「いやいや全然大丈夫さ。それより、早く中に入ってくれ」
「はい。お邪魔します」
「どうぞどうぞ。入ってください」
「失礼します」
「そこに座っててくれ。お茶とお菓子を用意してくる。ちょっと待っていてくれ」
「はい。ありがとうございます」
そう言うと、彼は奥の部屋へと消えていった。
「ふぅ~緊張するな~」
「お待たせしました。これを食べながらゆっくり話していきましょうか」
「はい。いただきます。うわぁ美味しいですねこのお菓子。初めて食べました。とてもおいしいです。こんなものが食べられるのは幸せですね」
「ははは。喜んでもらえてよかったよ。これは、金平糖っていうものなんだ。とても甘くておいしいだろう?」
「はい。とても甘いです。」
「そういえば、自己紹介がまだだったね。僕は、徳川慶喜と言います。よろしくね」
「あっはい。私は、汐ノ宮一之介といいます。こちらこそよろしくお願いします」
「そうか。君は、一之介って名前なのか。なんかかっこいいね」
「そうですかね?あんまり意識したことなかったんで」
「そうか。でもかっこいいよ」
「ありがとうございます。そう言ってもらえると嬉しいです」
「ところで、一之介は何歳なの?」
「18歳です」
「若いね」
「まぁ...はい」
「ところで、慶喜さんは、今いくつなんですか?」
「僕は、今21だね。まだ若い方だけど、これからもっと頑張らないといけないんだよね……」
「そうなんですか。大変ですね」
「まぁね。でも、自分のやりたいようにやっているから後悔はないよ。僕は、これからもこの国の未来を作っていきたいと思っているよ。だから君にも期待しているよ」
「はい!私も、慶喜さんのこれからの活躍にはとても興味がありますので、楽しみにしてますよ」
「ありがとう。でもまだまだ未熟者だよ」
「そんなことないですよ。十分すごいと思いますよ」
「はは。褒めても何も出ないよ。ありがとね」
「いえいえ」
「そういえば、一之介は、どうして幕府のことを知りたいと思ったんだい?」
「それは、日本の歴史を変えたかったからです」
「ほう。なぜ変えたかったんだ?」
「はい。今の日本を見てみてください。平和だと思わないですか?確かに戦争は起こっています。しかし、今は、大きな争いはありません。なので、このままの状態を維持できれば、きっとこの国はずっと平和なままだと思うんです。それなのに、今のままではいけないという人がいるんです。その人は、今の体制ではいつか国が滅びると言っていました。そこで、私は、幕府を開国させ、新しい国を作るべきだと思いました。そうすれば、きっとこの国にもいいことがあると思うんです」
「へぇーそうだったのか。でも、君の考えには賛成できないな。もし、本当にそんなことができるならやってみればいいさ。でも、僕たちはこの国を守ることしかできないからね。それに、僕は、この国を愛しているし、この国が滅ぶなんて考えたくもない。だから、僕は、この国のために生きる。それだけだよ」
「そうなんですか。とても素晴らしい考えだと思いました。あなたのような人がいて良かったです」
「はは。そんなこと言われるとは思ってもなかったな。ありがとう。じゃあそろそろ帰るかい?もう外も暗くなってきたし、帰らないと危ないだろう?」
「そうですね。帰りましょうか」
「うん。じゃあ送っていくよ」
そして俺は、家に帰ることができた。
面白かったですか?
最近あとがきの内容が薄くなっている気がします。また面白いネタを見つけてきますのでしばらく待っててください。
ではまた来週会いましょう。