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あの月を灼くユウヒがノボル  作者: 上戸 シカロ
第一章 燃える夕陽
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剣の大会1

なんとか日付変更前に間に合いました!今日はまだ作業するので、もしかしたらまだ投稿するかもしれません!

よろしくお願いします!


 コケコッコー!


外で飼っている鶏の声で目を覚ますユウヒ。窓の外には青い空が広がっている。


「いい天気だなあ」


眩しそうに目を細め、ベッドから起き上がる。まだ冴えていない頭で、昨日の話を思い出す。


今の生活を続けるか、『月』を追うか、答えはほとんど決まっている。


俺は、この家を、町を出る。


目は完全に覚め、朝食の用意をしようと、自室を出て台所に向かう。居間への扉を開けると、すでに起きていたレオルが昨日と同じ場所に座っていた。


「おー、おはようさん」


「師匠がこんな早くに起きているなんて、珍しいですね。何か予定でも?」


「いいや、なんとなく目が覚めちまったんだよ」


レオルが背伸びしながら、ユウヒの顔を見る。その眼には迷いはなく、レオルは諦めたようにそっと息を吐いた。


「顔がだらしないな。さっさと洗ってこい」


他に言いたいことはあったが、それを飲み込んで、別の言葉を吐き出した。ユウヒはそれに従い、洗面所へと向かう。その途中で床の本を蹴っ飛ばしてしまう。


「師匠、新しい家に住み替えたほうが良いんじゃないですか?」


散らばった本を積みなおしながら言う。


「馬鹿め。俺はこの家が気に入っているんだよ。引っ越すわけないだろう?」


そう、引っ越せるわけがない。レオルにとって、ユウヒと過ごすこの家は大切なものだった。10年間、ユウヒを育ててきたレオルには、親心のようなものが芽生えていたのかもしれない。そして、ユウヒは近いうちにこの家を去る。だから、余計にこの家を手放すことなどできなかった。


朝食が済み、レオルは散らばる本の中から一冊を取り出し、ユウヒに投げる。それを落としそうになりながら受け取る。


「これって…」


ソレイユの日記。ソレイユは力を発見した偉大な人物であり、力の特徴や自身の見解を本に記し、世の中へと広めた。そんな彼の死後に見つかった日記には、日々の記録だけでなく、本に書かれていない力の情報が記されていた。その日記も本として売り出され、多くの人の手に渡っている。その中でも、レオルが渡した日記は主に、彼の休日の過ごし方について書かれていた。力についての情報はほぼ記載されておらず、物好きな人々のために存在するものだった。


「お前は、休日の使い方が酷いからな。それ見て勉強しとけ。遊びのない男は嫌われるぞー」


「余計なお世話ですよまったく。…これからの俺にはそんな暇…」


目的に向かって最短最速で行く、そんな感じだろうか。手に持っていた日記を机に置こうとする。


「だからこそだ。昨日も言ったが、成功に手を伸ばすなら、手を休ませることを怠るな。ヒゲツはそれで失敗したんだ」


数秒の沈黙。置こうとした日記を再び持ち直す。


「わ、分かってますよ。ヨルカとの約束の時間までまだありますし、ちょっと読んでみますよ!」


そう言って、そそくさと自室に引っ込むユウヒ。


父親と同じ失敗…それだけはいやだ。成功するからには完璧にだ。


そうして、熱心に日記を読むユウヒであった。





太陽が高くなり、気温が高くなってきた頃、ユウヒは夢中でソレイユの日記を読んでいた。



「へえ、魔獣って美味いのか」


気付けば、日記も半分を読み終えたあたり。紙をめくる手は止まらない。


「おまえ、そろそろ行かなくていいのか?」


いつの間に部屋に入ってきていたのか、ユウヒの真横にレオルが座っていた。


「うわああ!師匠!?いつの間に?」


「扉は叩いたぞ?それに気付かないくらい夢中だったみたいだが」


面白いだろ?と言いたげに、ニタニタ笑うレオル。


「まあたしかに面白かったですよ。時間を忘れるくらいでしたから。…もしかしてそろそろ昼ですか?」


「そうだぞ」


「…」


「…」


無言で見つめ合うこと10秒。


「やば!俺、昼前に着く予定だったのに!」


急いで部屋を出る。そのまま外への扉を開き、勢いを落とさず、走り去っていく。


「おうおう、走れ走れー!ヨルカを待たせないようになー!」


ユウヒの姿が見えなくなると、レオルはやれやれ、と家に戻っていく。


今みたいな日常を、お前は選ばないんだな。


昨日のことを引きずっているレオル。やはり話さない方がよかったかもしれないと、後悔している。


瞳に熱いものが込み上げてくる。誰にも見られてはいないが、必死にこらえる。


「さて、もう一眠りしようかね」


実のところ、レオルは昨夜から一睡もできていなかった。ユウヒよりもユウヒのことを考えていた彼女は、ベッドの上をゴロゴロしているうちに朝を迎えてしまったのだ。


ユウヒの普段と変わらない様子を見て安心したレオルは、自室のベッドに横たわる。


とはいえ、そんな簡単にモヤモヤを払拭できるほど、人は強くない。それはレオルも同じで…


「すやぁ」


……


レオル。魔女の称号を手にした女。ただの人とは一味違うのだ。










お読みいただきありがとうございます!次回もよろしくお願いします!

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