第一章‐17話
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お兄ちゃんが倒れたのを目の前にして、あたしは駆け出していた。
後ろでジャンヌが、
「危険です、メサイア様」
って叫んでたけど関係ない。急いでお兄ちゃんのところへ走って向かった。あんなにボロボロになりながら、あたしを守ってくれたお兄ちゃん。
駆け寄ると、顔は傷だらけだし、学ランもボロボロ。エクスカリバーは力を失ったのか、光が消えていた。
あたしはお兄ちゃんに触ろうとした。すると空から声が降ってきた。
「動かさない方がです。どんな状態なのかまだ分かりませんので」
声のする方を見た時、あたしはそらから天使が舞い降りてくる、幻想的な光景を見た。
白い学ランを着た赤い髪の色をしている、確か名前はミカエルっていったかな。神様たちと面会した時に並んでいた、3人の中の1人。
黄金の光の翼を羽ばたかせて降りてきたミカエル。あたしの横に立つと、お兄ちゃんの顔に軽く手を当てた。何を確認しているのかは、あたしには分からない。けど、天使がお兄ちゃんの額、頬を触り軽くうなずいていた。
「戦闘で体中はボロボロだ。ですが問題はありません」
そういって天使は立ち上がり、手に持った槍を大きく振り回した。
一瞬、何が起こったのか分からでいたら、天使が顔を向けてる方向に、黒いもやが現れていた。黒い霧とでもいったらいいんだろうか?
その中から巨大な大男が出てきた。黒髪のオールバックで太い黒い眉毛。その下の目は、驚くほど鋭くて、まるでヤバイ仕事をしている人のようだった。
筋肉がすごい黒いもやから現れた男は、倒れている子供の悪魔に近づく。
「悪魔が2人、これは一大事ですね」
ミカエルがそう呟くと、2人の人物がミカエルのところに駆け寄ってきた。
白い学ランを着ている。天使のガブリエルとラファエルっていったかな。緑の髪をしたラファエルと、青い髪をしたガブリエル。漫画の中から出てきた人たちみたい。
ミカエルは槍を、ガブリエルは剣を、ラファエルは中国で使われているような剣をそれぞれに構えた。
神様たちの前での威厳はすごかった。本当に人間じゃないと思っていた。その彼等が本気の顔つきで、ボディーブルダーのような大男に武器を向けている。これは本当に危険なんだと感じた。
「我は戦うきはない。うぬ等との戦闘は時が来た時。救世主メサイア。覚醒はしたようだが、まだまだ我の相手ではない。今はアモンを回収するのみよ」
上半身裸でレザーパンツをはいた、ロックバンドでもやっていそうな恰好をした男は、太い筋肉の腕で倒れているアモンを抱きかかえた。
アモンといるってことは、あの大男も悪魔?
「ベルゼバブ。蠅の王。俺たちは必ず悪魔を殲滅する。平和を取り戻す」
「ああ。僕たちはけしてあきらめないよ」
ガブリエルとラファエルが宣言したみたいに言う。
あたしはベルゼバブとかいう悪魔から目が離せなかった。なぜだか、あたしにも分からない。だけど、危険な人物だってのは、あたしにも感じられた。
「いずれ相まみえようぞ、メサイア」
いきなり怖い顔であたしを見たベルゼバブはそういうと、アモンを太い片腕で抱え、黒いもやの中に消えて行った。
黒いもやは出入口なのか、すぐに消えてしまい、悪魔がいた痕跡は消えてしまった。
天使たちも緊張がとけたのか、軽く息を吐いて、武器を下していた。
あたしも詰まるような感覚から解放されて、息を吐いた。
お兄ちゃんを見つめたあたしは、無防備なその手を強く握った。
助けてくれて、ありがとう。
面と向かってなんて言えない。だから今は思うだけ。
ミカエルはどこに消したのか、槍を空中で光に変えて手ぶらになると、お兄ちゃんをお姫様抱っこするように抱え上げた。
「学園で治療を」
あたしに許可を得ようとしているのか見られたので、立ち上がったあたしは頷いた。
第一章‐18話へ続く




