帰郷
今年最後の投稿です。
ちょっと見てってください。
この連載でこれまでの短編をまとめるつもりです。
短編なんて見てねーぞって方は是非見てみてください。
もちろん見てないかたでも問題なく読めると思います。
十五年ぶりに、俺は故郷へと帰ってきた。
旅をするんだと、まるで子供のような事を言って、両親の制止も聞かずに家を飛び出し、街も飛び出し、世界中を見て回ろうとした。
そして、なんとか今日まで生き延び、こうして今日、帰郷することになった。
帰り着いたら、きちんとあの日の事を謝ろうと思っていた。
街へと帰りついた俺は、とりあえず自分の家へいってみることにした。
そこが一番慣れ親しんだ場所だったからだし、まず親に顔を見せようと思ったからだ。俺は元気ですよと、伝えたかった。心配していただろうから。
だが、結論から言うと、出会うために家に出向く必要はなかった。
行く途中で並んで歩く両親を見つけたのだ。
だが、俺は近寄ろうとはしなかった。
彼等の間には、十歳くらいの男の子がいたのだ。
おそらく俺の弟だろう。
彼らはとっくに新しい生活を始めていたのだ。
俺の入り込む余地なんて無さそうだった。
だから、俺はその日は他に宿を取り、翌日、出発することにした。
あまり長居して、両親と顔を合わせるリスクを高めるのも気が引けたからだ。
そして翌日、予定通り街を出ようとした俺は、ある男と出会った。
いや、「出会った」と言うより、「再会した」と言った方が正しいだろう。
そいつは、俺の友人、街を出る前、最も仲が良かった奴だ。
「おお、久しぶりだな! 帰ってたのか。元気だったか?」
開口一番、そいつはそんなことを言った。
「ああ、見ての通り、ピンピンしてるよ。」
「そいつは良かった。突然いなくなったからな。心配してたぞ。いつ帰ったんだ?」
「昨日だよ。立ち寄っただけだし、今日中に出るつもりだけどな」
「おいおい、せっかく来れたのに、時間ねえのか? 今からでも呼びゃあ何人かは来れると思うぜ。同窓会でもしねえか? みんな喜ぶと思うぞ」
少し考え、まあ一日くらいならいいかと思い、俺は頷いた。
「いいのか?」
「当たり前だろ!」
そうして、突然同窓会が行われることとなった。
当然、突発的に開かれたものなので、四、五人しかいなかったが、いくつかの驚きもあって、大いに楽しめた。
その同窓会の帰りで、
「あの雨の日から、かなり長い付き合いだよな」
「ああ、あの時はこんなつきあいになるとは思ってなかったよ」
「もう両親には会ってきたんだろ? ずっとお前のこと心配してたからなあ」
その言葉で、俺は驚いた。
「毎年俺らに年賀状届けてくれるしなあ。あ、そうだ、お前の弟ができてたろ」
ずっと心配? 本当にか?
「いや、実は見かけたんだけど……」
俺は、両親に会わなかったわけを話した。
すると、
「へぇ、そりゃ偶然だったな。でも、まあ、会いに行ってやれよ。弟君も俺らから話聞いて、お前の事知ってんぞ。会えたら喜ぶだろうよ。なにより、お前の親を安心させてやれよ」
俺は、嬉しくなった。そんなにみんなが俺の事を思っていてくれたことが、嬉しかった。
「ああ、わかった。行くよ」
明日、会いに行こうと、そう思った。
やっぱり、心配させてごめん、と言いたくなった。
一応続けるつもりです。
感想やアドバイスなどもらえるとありがたいです。
来年もよろしくお願いします。