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異世界召喚されて幾千年  作者: 冬野まひる
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再会

 先ずは勇者勝治の墓の前に立ち手を合わせて祈る。

 もう何を祈ればいいのかわからないけどとりあえず祈っとくと背後から声がした。

 地上で頭の中に聞こえた勝治の声だ。


「おい、もう目を開けていいぞ」


「勝治……」


 かつての姿で勝治は居た。


「勝治さんだけですか?

私も居ますよ」


「俺もだよ弘樹。

久しぶりだな」


 勢揃いだ。

 あぁ……なんと懐かしい事か……。


「うっ……うううううううっ」


 嬉しさがこみ上げて感情が昂ぶり涙が溢れ泣き叫びたいのを必死で我慢する。

 そんな俺に背中を擦ってくれる勝治。


「さっきも言ったけど来るのおせーよ。

5000年以上も待たせすぎだ。

まぁお前らしいけど」


 そう言ってケラケラ笑う。


「そうですよ弘樹さん!

夢中になると周りを忘れて突っ走るのは悪い癖ですよ」


「こうして4人揃ったんだ。

今は再開を楽しもうよ姉さん」


 プリプリと怒る橙子を弟の尊が苦笑いしながら諌める。


 これは俺がまだ勝治達と行動を共にしていた時に見ていた光景だ。

 思わず泣きながら笑ってしまう。


 しばらくして落ち着き周りが見えてくる。


 真っ白の空間に勝治達は全盛期の姿で揃っていた。

 リッチとなった自分が恥ずかしいと俯くと、俺も人間の時の体に、若い頃に戻っていた。


「ここは?……それに俺の姿が……」


 俺の質問に勝治が答えてくれる。


「ここは俺の神域だよ。

俺達は死んだ後に英雄神として神になったんだぜ。

それと、ここは小さな俺の世界みたいなもんだ。

お前の魂を俺の神域に連れて来て人間の姿にしてるだけだよ」


 悪戯っ子のような笑顔で楽しそうに自分達の事を語る。


 俺が居なくなっての事。

 必死に俺を探したけど見つからず、家族も出来て捜索を諦めた事。


「突然何も言わず消えるからあの時は本当にショックだったなぁ~」


「ホントですよ!

弘樹さん反省してください」


「まぁまぁ。

俺は弘樹さんのがひょっこり帰ってくるんじゃないかって思ってましたよ」


 うぅ……。

 2人の圧に思わず正座してしまう。


「そんで寿命がきて俺達は死んだ」


 死んだ時、気がつけば白い空間に居てこの世界を管理する神に出会ったのだと言う。

 3人は地上で物凄い信仰を集めて神になる最後の条件を達成し輪廻の輪を外れて英雄神となったんだとか。


「一応お前の席もあるんだよ」


 それを言われて驚いた。


「ごめん……、俺は簡単には死ねない体に……」


「だな。

俺達が神になって真っ先にお前の事を調べてびっくりしたわ。

人間じゃなくなってるし鬼気迫る勢いで魔法の研究してるし。

たまに禁呪を躊躇なく使うからびっくりしたぞ」


「アハハ……」


「まぁそれはもういいよ。

ちゃんと会いに来てくれたからな」


 俺達は今までの時間を取り戻すかのように語り合った。

 楽しい時間は長く続きもうこのままここに居たいとさえ思っていると、勝治達は真面目な顔になる。


「お前に頼みたい事がある」


「どうしたんだよ改まって。

俺に出来る事なら何でも言ってくれ。

罪滅ぼしじゃないけど何でもやってやるよ」


 俺の意気込みに幾分か表情を和らげる勝治。


「ある魔王から人間を守って欲しい。

俺達神は殆ど地上に干渉出来ない。

管理神達は世界を正常な流れにする仕事で手一杯だし俺達英雄神は地上の人間に加護を与えて見守る事と最も信仰深い人間に信託を下すくらいしか出来ない。

だから当時全盛期の俺を遥かに超える力を持っているお前に頼みたい。

お前になら安心して任せられる」


「……なんだ、そんな事か。

元々俺はそのつもりだよ。

俺達が守った人間達を、この大地を、この世界を穢すことは許せないからな」


「お前らしいな。

あぁそれと、これを渡しておく」


 そう言って手渡されたのは神々しく輝く石がぶら下がっているネックレスだ。


「それは俺達の魔力を込めて作ったものだ。

俺達の墓に来る時にあの扉を開ける鍵になる。

何かあったらまた来てくれ。

あと、お前が俺達に供えようとしてる物騒なもん、俺達の子孫に渡してくれ。

あいつらなら使いこなせるようになるだろう」


「わかった。

今日は本当に最高な日だ」


 一人ひとりハグをして俺の魂は地上に戻った。




「おお!お目覚めになりましたか」


 国王が心配そうに俺を覗き込み、子孫の3人か俺に跪いている。


 ちゃんと戻ってきたようだ。


『何から話そうか……。

お前達はもうお俺の正体を知っているんだろ?』


「もちろんでございます」


 国王はドヤ顔で言い。


「我らが先祖である勇者様達と肩を並べて世界を救った賢者様とお聞きしました」


 端正な姿で金髪のイケメンが代表して応える。


『お前が勝治の子孫か。

その魔力から極僅かに感じる気配、間違いないようだな』


 もう勝治の面影はないけど彼は確かに子孫だ。


「ハッ!エゼルと申します!」


『3人に渡す物がある。

先ず勇者の先祖であるお前からだ』


 目の前に突然神聖で強大な力を発する剣が現れる。

 勝治の為に作った神剣だ。

 神に匹敵すると言う聖龍の血を貰い、伝説の鉱石アダモスタイトを混ぜ合わせた剣だ。

 いやぁ~聖龍強すぎ。

 血を貰う条件として勝負をしろと言われて何度滅せられそうになったか……。

 もしアイツが聖域から自由に出られたら俺は今頃生きてないだろうな。

 あの戦闘狂まじ怖い。


『これを授ける』


 エゼルは額に汗を流し緊張した面持ちで受け取る。


『勝治からの伝言だ。

それを使いこなし魔を見極め民を守る剣となれ』


「ハッ!!必ずや使いこなせてみせます!!」


『次はお前だ。

聖女橙子の子孫だな』


 女顔の少し線が細い全体的に白い男だ。

 アルビノというやつだろう。


「レオと申します」


『お前にはこれだ』


 目の前に現れたのは聖なる光を淡く放つ純白のローブだ。

 橙子の為に作った回復能力を増大させる効果のある代物だ。

 精霊王の鱗粉と世界樹に住む巨大蜘蛛から貰った神聖な糸で作った。

 精霊王は生意気な糞ガキであれこれ無理難題吹かっけてきて終いには懐いてきてなんとか貰えた精霊王の鱗粉。

 世界樹に住む巨大蜘蛛は人の言葉を話す多大な知識を有する蜘蛛で割と友好的で拍子抜けした。


『橙子からの伝言だ。

貴方の救える範囲で人を救いなさい。

できない事をしようとしないで出来る事を全力でやりなさい。

貴方の回復の腕前は私が認めます』


 ローブを受け取り橙子の伝言を聞いたレオは俯き肩を震わせ涙を流していた。


『最後に尊の子孫よ』


 この3人の中で1番体がデカくて頑丈そうだ。

 優しそうな顔つきと雰囲気をしている黒髪のイケメンだ。


「バレスと申します」


『お前にはこれを授ける』


 目の前に現れたのは純白の鎧と大きな盾だ。

 鎧からは神聖な気配を放ちあまり大きくないけど鎧を中心に聖域となっている。

 大きな盾は一見何も感じないだろうけど竜の一撃を受け止められるほどに頑丈だ。

 聖龍から血を貰うついでに脱皮して散乱していた鱗をたくさん貰ってその鱗で作った鎧と、各属性竜から鱗をこっそり剥がし取ってその鱗を重ねて聖龍の鱗でコーティングした盾だ。

 俺の魔力で柔らかくしてコーティングしたから聖なる力は失われているけど頑丈さはそのまま、更に各属性竜の鱗を重ねているからある程度の魔法攻撃も跳ね返す。


『尊からの伝言だ。

家族を、仲間を、友人を、民を守れ。

背に守るべき存在が居るなら決して最後まで倒れるな。

守り通せ』


 バレスはまっすぐ俺を見ながら尊の言葉を真剣に聞く。

 そして国王を、仲間たちを守るべきものを見てしっかりと頷いた。


『最後に、お前達3人を含む一族全員加護を授かっているだろう。

勇者達は神域でお前達を見守っている。

恥じぬ様に生きろ』


 3人が勢い良く返事をし墓参りは終わった。


 国王を先頭にその後ろに俺が、俺の後ろに3人がついてきて墓を後にし、俺は国王に連れられて一室に案内された。

 3人は俺に何かを聞きたそうにしていたが王が俺と二人で話したいという事で解散した。


「賢者様、ここに来られたという事はここに留まるのですか?

そうして頂けるととても有りがたいのですが」


『そうしたいのは山々だが秘境の奥地に俺の居がある。

それに俺はもう人間ではない。

モンスターとなった俺に人間は怯えるだろう。

自分が勇者とともに戦った賢者だと言いふらすつもりも無い』


「そうですか……。

わかりました……」


 見るからに落ち込む王。


『これを渡しておこう。

何かあればそれに魔力を流し問いかけると良い。

それは通信の魔道具でな、まあどういう仕組みかは説明を省くがそれを使えばいつでも俺と話ができる』


「おぉ!!なんと素晴らしい物を!!

ありがとうございます!!」


『同じ物をさらに3つ置いておく。

エゼル、レオ、バレスに渡しておいてくれ』


「わかりました。

私が直接渡しておきましょう」


『俺の事を教えるのは大事な人だけにしてくれよ。

俺はもう過去の人間だ。

これからは俺の事をワーズと呼んで欲しい』


「わかりましたワーズ様。

何卒この国をよろしくお願いします」


 その後もいくつか話をして俺は転移で居城に戻った。







 ワーズが転移した後の王城。


 国王は王族と国の重鎮を集めて日中に起こった事件について説明をした。


「父上!!それは真ですか!?

あの神話の時代に生きた伝説の賢者様が……」


 王の息子、王太子が驚愕し父に真実かと問う。


 そこにこの国で影響力がある伝説の勇者達の子孫であるエゼルが王の代わりに答えた。


「真でございますライル王太子殿下。

我ら三家は賢者様と確認いたしました」


 王と三家のお墨付きにより集められた人間達は騒ぎ始める。


「静まれ」


 重くしっかりとした声で場を制す国王。


「かの賢者は邪神討伐の後魔法の研究によってモンスターへと変質してしまい、自身に封印を施し最近まで眠っていたと語った。

また本人は自分を過去の存在とし賢者の名を捨てワーズという名で生きると言った」


「それでは賢者様はもう我が国とは関係ないということですか!?」


 王太子の隣に座る少年とも言うべき男の子、第二王子が泣きそうな顔で言う。


「いや、違うぞアル。

ワーズ様はこの国から離れん。

ここに勇者様達がお眠りになる限りワーズ様はこの国を守ってくださると言っていた。

それにこんな物を貰った」


 机に置かれた半透明の白い玉。


 それが何なのか三家以外は首を傾げる。


「これは魔道具で、ワーズ様に繋がるという」


 一同はそれを聞き「おぉ!!」と歓喜する。


 その後は賢者改ワーズの事について深夜まで語られた。




今回長くなってしまいました……


すいません!

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