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異世界召喚されて幾千年  作者: 冬野まひる
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ロイツェン王国

 あれから俺は秘境周辺を見て回り村や町を探す。

 獣人の村にだけ攻撃を仕掛けたなんてことはないだろうと思っていたら案の定黒い靄に覆われている村がいくつもあった。


 その村々を逐次浄化していく。


『この近辺はあらかた片付けたか』


 どの村も魔族の気配は無かった。


 俺が目覚める前に徐々に侵食したという事か?


 ここまで魔族の手が伸びてる事に少し危機感をつのらせる。


『勝治達が眠る所も見てくるか』


 勝治とはこの世界に一緒に召喚され共に戦った勇者本人だ。

 彼らが眠る王国は安全なのか心配になり昔設置したポータルに向かって転移する。





『ふむ。

ポータルに異常はないな』


 無事ロイツェン王国王都の近くに設置していたポータルに転移した。


 空高く飛び上がり王都へ向かう。


 やはりと言うべきか……。

 怒りがこみ上げ魔力がほとばしる。


 王都は濃い瘴気に覆われていた。

 これでは人間たちの心に魔が生まれてしまう。

 一刻も争う自体だ。


 制限していた力の一部を解除し王都を覆う魔法陣を展開する。

 淡く暖かな光が王都に降り注ぎ瘴気を浄化していくが瘴気が濃い為に時間がかかる。

 浄化を進めながら気配探知を王都に向けるといくつか反応があった。


『こいつらか』


 今すぐ捕え殺してやりたいがこの大規模魔法の維持の為に動けない。

 探知結界の様子から暗躍していた魔族共は慌てているようだ。





『よし、これで一安心だ』


 瘴気を完全に浄化して次は馬鹿どもの確保だ。


 既に逃げ出しているが簡単に逃がすわけが無いだろう。

 探知結界で見つけてから既に術式はバレないように貼り付けてる。


 指を鳴らすと目の前に沢山の人間が現れる。

 いや、人間の皮を被った魔族共だ。


 突然転移させられる目の前にいる俺に困惑し次第に恐怖へと顔を歪める。


「「「「「「「「「「「ひいっ!!うわあああああああ!!」」」」」」」」」」」


『逃がさんよ?』


 必死にもがき逃げようとする魔族を見ながらそう告げる。


『良くも仲間が眠るこの地を、俺の第二の故郷を穢してくれたな?

貴様らただで死ねると思うなよ?

ここでは王都に被害が出てしまう。

移動するぞ』


 指を鳴らすと俺達は一瞬でその場から消えた。





 ここはかつて俺が魔法の実験を行っていた最果ての荒野。

 元々は邪龍が住み着いてたけど邪魔だから駆除して使っている。

 もちろん邪龍は素材として確保している。


『さて、お前たちは生きていられるかな?』


 制限している力を全て解除し全身から莫大な魔力が漏れ出る。


 黒衣から滲み出る真っ黒な揺らめきは空間を歪ませる。

 抗うことの出来ない死の気配。

 空間は俺の魔力が侵食していき暗い闇に落ちていく。


 俺の本当の力、気配に魔族は押しつぶされ圧倒的な力と気配に魔族は地面に張り付くだけで動けない。


『ほぉ~全員生きているか。

面白い。

これに生き残った一人を助けてやろう』


 魔族達の頭上に複雑怪奇な魔法陣が現れる。

 それは怪しく輝き徐々に音が聞こえてくる。

 羽音を羽ばたかせる不快な音はどんどん近づき大きくなっていく。

 未知で不快な魔法に魔族たちは青ざめるそして、遂に魔法陣から虫が一匹現れた。

 一匹の後を追うように黒い影が魔法陣から出てくる。

 それは全て虫だ。


 バッタや蚊や蝿、ムカデやゴキブリなどの害虫が魔法陣から飛び立ち、落ちて魔族に纏わりつく。


「ひいいいいいい!!」「嫌だああああああああ!!」「俺の中に入ってくるなああああああああ!!」


 虫に纏わりつかれ穴という穴に侵入され食われる。

 蠢く黒い塊から聞こえる悲鳴は心地いい。


 俺の気配に押しつぶされながらも必死に抵抗し虫を払おうともがく。


『この魔法はな、とある異界の悪魔が使役する虫達を召喚する魔法でな。

それはもう意地汚いんだよ』


 禁忌の術を弄っていたらたまたま出来たゲートの先で暴れまわって俺と互角に戦う悪魔と契約して完成した魔法だ。


 魔族たちは楽しんでくれているようだ。


 次第に悲鳴も小さくなり遂には途絶え動くものは居なくなった。

 

『どれどれ』


 虫達を魔法陣に帰して見てみると凄惨な状況が広がっている。


 至る所を食われ腫れていたり変な液体を垂れ流していたりと凄いことになっている。

 周囲には獲物にありつけず共食いをしたと思われる虫達の死骸の散らばっている。


 開放していた力を半分に抑えて生きている奴を引き寄せる。


『二人だけか』


 この二人だけだピクピクと痙攣をしていた。


 さて、この実験場も汚れたままじゃ嫌だから掃除するか。


 展開していた魔法陣を打ち消し新たな魔法陣を展開する。

 すぐさま発動し業火が死体を焼きつくす。


 生き残った2体には治癒の魔法をかける。


 もう人に化ける術も解けて魔族の姿になている。

 浅黒い肌に額には小さな角を生やし尻尾もある。

 これは魔人族の特徴だ。


 こいつ等を連れて一旦居城に転移して魔力を込めて氷の牢屋を生成して閉じ込める。

 魔力を強めに込めたからこいつ等がいくら暴れても壊れない。


 その後はまたロイツェン王国王都の近くに転移して様子を見る。


『まだ混乱しているようだな。

どうしたものか……』


 出来ればこっそり墓参りしていきたい所だけどほっとけないよなぁ。


 とりあえず墓参りしてから考えようか。


 魔族をとらえた時に懐かしい気配を微かに感じた所へと向かった。



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