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異世界召喚されて幾千年  作者: 冬野まひる
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密かな侵攻

 もう一度人間の街を見に行こうと思って居城を出る。


 秘境の上空を飛びのんびりと街の方へ飛びながら秘境の様子も観察する。

 俺が住処とする最奥は強力な獣やモンスターが居るがぞの個体数は少ない。

 街の方へ近づいて行くほどにモンスターは弱くなっていき数も増えてくる。

 もうすぐで秘境を抜けるといった所で悲鳴が聞こえた。


『子供の声か。

ほっとけないな』


 声のした方へと向かう。


 たどり着くと狼の耳と尻尾を生やした子供が二人、雑魚モンスターに囲まれていた。


『あれはオークか。

全く、5000年経っても醜いままか』


 お互い抱き合い震えている子供を囲むオークの集団。

 とりあえず子供は守ってあげないと。


 子供達の足元に魔法陣が現れ子供を囲むように薄く光る壁がドーム状に展開される。

 子供を捕らえようとしていたオーク達はその壁に阻まれる。


 次にオーク共一匹一匹の首に魔法陣を展開し指を鳴らすと、魔法陣はギュルンと回転しオークの頭部も魔法陣と一緒に回転し切れる。


 プギプギとうるさく鳴いていた声は一瞬のうちに静まり返る。


 オーク共に魔力を纏わせ操り一箇所に集める。


 片付けも終わり子供達の方へ寄っていく。


 全身を黒い黒衣にまとい浮遊している俺を警戒する子供達。


『ふむ、まぁ俺が怖いだろうが話を聞いてほしい。

お前達を安全に帰してやるから何処から来たのか教えてほしい』


「お、俺達は帰らない!!」


 尻尾を丸めビクビクとしながらも勇敢にそう応える子供。


『ではこの秘境に何しに来た。

見た所怪我をしている。

治してやろう』


 子供達の頭上に魔法陣が現れ魔法陣から淡い光がこぼれ降り注ぐ。

 光に包まれた子供は傷を癒やされ汚れが消えていく。

 自分の状態を知った二人の子どもたちは驚き顔を上げる。


『さて、何故ここに来たのか教えてもらおうか』


 子供達はお互いに顔を見合わせポツリと話し始める。


「……ここにしかない特別な薬草を取りに来たんだ」


『ほぉ、なんでまた。

理由によっては俺が手を貸してやろう』


「……俺達の村が謎の病気に襲われてるんだ……。

それで、前に聞いたここには何でも治す万能の薬草があるって……」


 確かにそんな薬草はこの秘境にはあるがそれはもっと奥に進んだ人間達にとっては危険な領域にある。


 ちなみに俺の住む最奥には結構生えてる。


『わかった。

その薬草は俺が持ってる。

分けてやろう』


 子供達の足元に突如草が現れる。

 そして、子供達はそれを手に取った。


『それがお前達が言っていた薬草だ。

持っていけ。

それとここは危険だからお前達の住む村の近くまで送ってってやろう』


 よくよく見てみると二人共男の子だ。


『よくここまで来たな。

お前達は立派な男だ』


 褒めてあげると尻尾をパタパタと振り喜んでいた。


 子供達を結界で包んだまま上空にいる俺の所へ浮遊させる。


『さて、お前達はどこから来た?』


「あっちの方」


 指を刺した方へとゆっくり進む。


 因みにオークの肉は食用になるから収納空間に入れてある。

 もちろん俺が食う分ではなくこの子達や村人たちの分だ。

 死んでいる俺に食も睡眠も必要ない。


 秘境を出て広がる草原をを進み森に出くわして抜けると小さな村が見えてくる。


 そして、村の異変を理解した。


 俺の目には見える。

 村を覆う瘴気の煙。

 薄黒い煙が村全体を包み込んで徐々に獣人たちを蝕んでいたんだ。


 村の近くで二人を下ろす。


 駆けて戻ろうとする二人を止める。


『まて。

まだ戻るな』


「なんてだよぉ!!

早くこの薬草で皆を治さないと!!」


 もう一人もコクコクと頷く。


『そう焦るな。

すぐ終わるから待て』


 子供達に受け答えをしながら村上空に全体をカバーする程の巨大な魔法陣を展開する。

 村人達は上空に現れた巨大な魔法陣に驚愕し騒がしくなった。


 その魔法陣から淡い光が降り注ぎ俺の目に見える瘴気は浄化されていく。


『よし、もう行っていいぞ。

これで村も安全だ』


 そう言うと一目散に村に走りだした。


 子供達は門番に怒られながらも薬草を持って来たことを伝え皆にそれを届けた。


 俺はその様子を遠くから見届けて立ち去る。


 渡した薬草ですぐにでも回復するだろう。

 瘴気も取り除いて心配事はなくなった。


 村の中に魔族はもう居なかったから瘴気を仕掛けて早々に去ったのだろう。


 全く……舐めたことをしてくれる……。


 この大地を穢した事を後悔させてやる。

 俺は狂気に満ちた笑顔を魔大陸側に向けた。






 その頃村では。


「その助けてくれた御方はこの先に居るんだな?」


「うん!凄い強い人でオークをあっという間にやっつけたんだぜ!」


 子供達が大人を連れて俺がいた所にやって来るがそこにはもう居ない。

 代わりに首の無いオークの死体が大量に転がっていた。


「これがその人が倒したオークだよ!!

でもどこ行ったんだろう黒いお兄ちゃん」


 居なくなっている俺に子供は耳をペタンと垂らす。


 大人達はオークをいそいそと村へ運んだ。


 村の長老は考える。

 村に現れた巨大な魔法陣と浄化される空気。

 その魔法のお陰で村の重苦しい雰囲気は取り除かれた。

 それに子供達の話しによればオークを一瞬ですべて仕留める力量。

 神話の伝説の勇者の再来かと少し興奮していた。


 当の本人は呑気に空中を漂っていた。




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