5000年ぶりの外
人間達を帰してから3日はたった。
十分に考える時間も出来て心の整理は出来たと思う。
それでは外の様子を見てみようと椅子から浮かび上がり、浮遊して部屋を出ていく。
俺の魔法で維持されている居城を出て外に出ると、広大な森林が広がる。
『この辺りは5000年前から変わっては居ないか』
巨大な木にカラフルな草花。
大きな断崖に滝もあるまさに秘境と言ったところだ。
何やら俺の魔力感知結界に反応かある。
大きな魔力の塊がまっすぐ俺の方へ進んでくる。
『俺の気配を察知して来るか。
血の気の多い獣よ』
目の前に現れるは白銀の毛に包まれた大狼だ。
『我が縄張りに突如現れし不浄の者よ、今すぐここから出て行け』
獣はそう言って俺に唸る。
『何を言うかと思えば、俺はこの地に5000年前から居た。
先に居たのは俺だ』
『何を戯けたことを。
5000年も存在できる不浄の者など居ない。
我はこの地に1000年住んでいるが不浄の存在など感じなかった。
この地から出ていけ』
強烈な気配を発して俺を威嚇する。
『脅せばこの俺が屈すると思うか?獣風情が。
この俺に喧嘩を売った事を後悔させてやろうか』
俺も全身から輪郭を歪ませる程の膨大な魔力を迸らせ威圧する。
それを感じ取ったのか俺との力量の差を通関し威勢を収める大狼。
『ぬうう……、なんと禍々しき気配か……。
最悪の8種に匹敵する力だ。
とにかく、ここは我ら狼族の縄張りだ。
出てってはくれまいか?』
う~ん……そう言われてもな……。
ここは俺の庭みたいな物だしなぁ。
『あそこの居城は見えるか?』
『神代の魔城か?
あれには誰も近づかぬ。
古の魔王が封印されていると聞いたことがある』
確かに俺か封印されてたけど……、魔王って何だよ!!
『あそこの居城は縄張りではないんだな?』
『もちろんだ。
我が一族のモノには近づかぬように言っている』
良かった……。
あそこが縄張りだと言われたら面倒だった。
なんかどうでも良くなった俺はこの場から離れる事にする。
せっかくの俺の庭が盗られた気分であまり良いものではないけど……。
『俺の名は……そうだな……ワーズと呼んでくれ。
あそこに住んでいるものだ』
そう言って俺の居城を指差す。
白銀の大狼は大きく口をあけ驚いている。
俺はそんな事はどうでも良いという事で転移して離れる。
『さて、秘境の外を見てみるか。
この5000年で世界はどれほど変わったか見せてもらおう』
秘境の上空をのんびりと飛び外へと向かう。
時折魔物や獣を見つけたりするが、俺が眠りにつく前と大して変化はない。
殆どは俺の気配を察知して逃げていく。
秘境の奥深くからだいぶ離れた浅い所が近づいてくれる。
『もうすぐで秘境を抜けるか。
秘境を抜けてしばらく行くと人間の村があったような気がしたな。
どれ、少し覗きに行ってみるか』
空高くに飛び立ち眼下に広がる広大な土地を見る。
遠くに大きな街らしきものが見える。
『なんだ?5000年前にはあんなもの無かったと思うが。
発展したか?
面白い』
自分に不可視の魔法をかけてそね街めがけて飛ぶ。
街の上空に到着し空中停止する。
『ほぉ~。
結構賑わっている』
活気があって雰囲気は良い。
しばらく上空で街の様子ろ観察する。
中に入りたくてウズウズしてくる。
もっと間近で見て触れたい。
眠りにつく前、リッチになってから600年間ひたすら一人で魔法の研究をし人間とは一回も触れ合っていない。
こうして見ていると人の生活に混ざりたい欲求が膨れ上がる。
『微笑ましな人間とは……』
これ以上ここに居ては感傷的になってしまうと思い、転移で居城に戻った。
広間に置かれたただ一つの椅子に座りため息が漏れてしまう。
この前の人間との対話はなんだかんだ楽しかったなと思うのだった。
ナーバスな気持ちになってしまい更に3日ほど居城で無駄に過ごした翌日。
またしても俺の居城に客が現れた。
居城に張り巡らされた俺の感知結界が反応する。
それは、この前の人間達のような気配じゃない。
物凄く歪で力を感じる。
次は何が来るのかと俺はワクワクして広間で待った。