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ドールズマスタードール!  作者: 秋白眼
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チュートリアル・・・?

『キャラクター生成を開始』

『性別・・・エラー』

『種族・・・エラー』

『容姿・・・・・・決定』

『背景・・・エラー』

『初期ステータス・・・決定』

『生成を終了・・・再生成を開始します』

『性別・・・決定』

『種族・・・決定』

『容姿、決定』

『背景・・・・・・決定』

『初期ステータス、決定』

『生成を終了・・・チュートリアルメモを投稿・・・エラー。再試行・・・成功。開始します』



ーーーー☆



「・・・・・・?」


意識は覚醒した。だけど、声も出せない。手も足も動かせない。

首すら動かせないから、目を動かして周りをできるだけ見渡す。何処かの家、かな? 周りの壁は石レンガで、窓すらない。地下か何かなのだろうかと思う程に暗い。


そして、一番目を引くのは、目の前に置いてある首無しのマネキンの様な物。マネキンと言うにはかなり生々しい見た目のそれは・・・何となく親近感というか。切っても切れない兄弟の様な感覚を覚える。全裸で丸見えなんだけど、別に誰もいないし、恥ずかしくない。・・・うん。


でもあれ、動かないかな。私がここに身体を動かせない程の拘束を受けてるみたいだし。でも首が動かないのはやりすぎだよね。どんな拘束なんだろ。一切横向けないし。まるで首だけ切り取られたみたいな・・・?



・・・・・・え? まさか。え? ほんとに?

嘘、嘘だよ。最初から詰んでる状態って事?

そこの身体が。動けば・・・! 動いて、私をっ!


「───」


何かの音がなる。ガタンッ!と大きな音が鳴り、目の前の身体が動き出す。・・・と言うより、動かせる様に。変な感覚だけど、前へと、私の方へと歩いて、ぎこちない動きで頭を掴む。そのまま横に向ける。テーブルには色んな設計図のような物が見えるけど、それは後。もう一度回して、顔の側面を掴む。そのまま持ち上げて、ズレ落ちないようにゆっくりと慎重に身体と繋げる様に・・・。カチャカチャと何かが擦れる様な音が鳴り、カチリと設置された音が。手で頭を外そうと試みるけど、ちゃんと繋がったみたいで、全然外れない。


「・・・」


相変わらず喋る事は出来ないみたい。いつも独り言を言って、確認、記憶してるから・・・ちょっと落ち着かない。やっと首は動くようになったし、軽く周りを見る。


さっきの私がいた場所は机。設計図が散乱してて、少し見る限り、人体について? の設計図? こういうのは見たことないからよく分からない。


後、この身体があった場所。よく見ればプラグの様な物が付いてる。もしかして、充電式なのかな? だとすると、時間に限りがある訳で。急いで情報を集める必要がある。


最初に向いてた方向から左にはいくつかの培養槽? と扉。右にはこの身体とは違う、マネキンらしいマネキン。身体の作りは艶めかしいが、つるつるで陶器の様。首から上はないけど、床に転がる腕や頭、足など。金属部品のようなものから、砂で汚れてるけど、元々粘土だったらしい物まで。


そして作業台の様なものが奥に設置されている。

ノミや鉈、金属ヤスリ。ロクロの様なものと様々な金属部品。その他にも道具が沢山ある。あ、このパーツ・・・設計図にも書いてあったような。作業台横には大きなゴミ箱の様な四角い箱。閉じてあるそれを開ければ・・・陶器の生くっ!?


び、ビックリした・・・。けど、これ、陶器の生首・・・それが入ってるこれは焼くヤツ・・・電気釜! ちょっと詰まったけど、すんなり思い出せたね!



んー。作業台を再び見る。・・・チューブの様なもの。蓋を開けて、押し出して見れば、トロっとした透明な液体。人差し指にとって、親指とねばーっとやろうとしたら、ぺたりとくっついてしまう。あ、やばい瞬間接着剤だ。


生首のある箱と反対側にシンクがあり、赤と青のマーク。赤のマークを押して、流れ出る透明な液体を接着された指に当てる。ゆっくりねばっと開き・・・洗い流す。危なかった・・・。面倒な事になる所だった。


ちゃんと蓋をしめておいて、目立つところに置く。うっかり踏んでくっついたら困るからね。


とりあえず・・・この部屋を探索した結果、分かったことは、人形製作室って事。それなら人体っぽい設計図も理解出来るし、ロクロとか木彫り用っぽいノミや鉈があるのも理解できる。


分からないのは培養槽なんだけど・・・これはその内分かると踏んで、扉へ向かう。

取っ手を掴み木製の扉を押すけど、歪んでるのか、中々開かない。仕方ない・・・。



伝家の宝刀を出すしかない。・・・ただの前蹴りだけど。

近くの台か何かを掴み、思い切り、片足で扉を蹴り抜く。バキバキッ! と真ん中から割れ、向こう側に扉が倒れる。うわ、凄い脆くなってたみたい。壊れちゃったけど、私は悪くない。開かないのが悪い。


扉の先は下に降りる螺旋っぽい階段。上じゃないのかぁ・・・。危ないから倒れた木の扉を回収して入口横に立て掛ける。階段の先を覗く様に見れば、この薄暗い中、初めてみる明かり。ゆっくりと踏み外さない様に階段を降りて、その明かりの元を見れば、小窓があり、太陽の光が届いてる事が分かる。下に降りる階段と、小窓があったら、地下じゃなくて・・・塔の様なものかな。確実に螺旋階段だし。

そのまま降り続けて、ふと気付く。チュートリアルの文字が一向に出てこないことに。


どうしてだろ。まさかバグか何か? でも、うーん?

それ以前に、草原でも荒野でも無い。あー、こりゃ本格的にバグかな〜。でもメニューの出し方分からないし、声も出せないから・・・あれ。ログアウトする時どうすれば・・・? あれあれ。出れないっ!?・・・いやいや流石にね? 迷ってても仕方ない。先進めば何かわかるよ。


そのまま階段を降りて、二つ目の窓を越えた所で壁が区切れて少し広めの部屋が見えてくる。


薄暗くてよく見えない。だけど一切窓が無い所を見ると、結構夜目が効くキャラなのかな、私。部屋に足を踏み入れ、目を凝らしてみる。うーん? あ、ランタンあるよ。


ランタンを手に取って・・・えっと。これかな。小さな摘みを、捻る。


シュポッ! と火が点いて、爛々と燃え盛る。なんかかっこいいランタンだぁ。

それを近くに見えるテーブルに置く。うーん。本棚と、机とベッド。ん・・・見たこと無い機械がある。


その機械に近付くと、ブォンッと起動して、青い画面が出てくる。ちょ、ビックリしたよ?


そのまま画面に文字が流れ始める。ピーガガッ・・・って古い機械みたいな音を出しながら。


『・・・これを見ている者へ。これが流れているという事は、最終段階を終えた事を意味する。前置きは、特にない。これを見た者よ、上階にあるワタシの最高傑作をどうか、完成させてくれ。後は、頭部を身体に嵌めるだけなのだが・・・充魔が終わるまで嵌めることが出来ない。その期間は数百年。・・・これが流れる頃には充魔が終わっている筈だ。それを完成してさえくれれば・・・後は好きにしてもらって構わない。どうせワタシは死んでいるのだからな。最後に。・・・彼女を完成させたのならば、この機械の横、黄色の箱がある筈だ。その中身を着させてやってくれ。彼女は・・・ワタシの娘だ。どうか、大切に・・・』


ブツンッ。それだけ流れて消えた。・・・えっと、この最高傑作、彼女、って、多分私の事だよね。明らかに充電済みだったし。頭、自分で嵌めたし。


ま、まぁいいや。誰かに貰われるって事は、他人に裸見られるようなもんだし!


黄色の箱・・・。あった。ほんとに隣に置いてある。

んと、触ればいいのかな。


しゃがんで、手を伸ばして触ればカチャカチャ・・・と光りながら変形していく。棺桶位の大きさだった箱は、壁一面を埋めるくらいのクローゼット、タンスに変わる。

ほわ、でっかぁ・・・!


掛けられている服は、少し古めかしいブラウスと橙色のローブ。下着は、ほんとに下のみ。ブラジャーとかはない。・・・街に行けばせめてプレイヤーが売ってると信じよう。後は黒のスカートを穿いて革のブーツを履く。ローブが橙だから凄い目立つな〜・・・。ん? タンス部分の上に指輪と、鞘に入ったナイフかな。ナイフはベルト部分に引っ掛けて、指輪は・・・まぁ私を大事に想ってくれた人の贈り物だし、着けよう。

右手の中指に指輪を嵌める。瞬間、指輪が光り始める。


「なっ、なに!?・・・え?」


声が・・・出るようになった?


「お、おお〜・・・この指輪こんな力があるんだ。これは取り外せないなー。試しに・・・」


指輪を外して、声を出そうとしてみる。


「ーーー。やっぱり声出せないんだ。失わない様にしないとね」


指輪を戻して、他にも何か無いか探してみる。


「うーん・・・あ。・・・手紙?」


『この手紙を読んでいるであろう、ワタシの最高傑作である娘へ。身体に違和感などは無いだろうか。お前を遺して逝くワタシを許してくれ。軽くお前についての情報を遺しておく。基本情報は入れてある筈だが・・・数百年だ。記憶を失くす可能性は高いだろう。なので、コチラにも書いておいた所存だ。ちゃんと最後まで読む様に』


「この人凄い良い人だなぁ・・・。んー、なになに・・・」


『まず名前だが・・・お前が勝手に決めてもらっていい。型番はAEGIS-FM1R100。仮名としてアテナと呼ばせてもらっていた。かの女神の様に美しい娘となる様にな。世界初となる成長する人形をコンセプトとして試行錯誤して死する前に漸く終わりが見えてきた開発が最後に見られないのは残念だが、遺志を引き継いでもらいたい。とはいえ、お前の好きに過ごしてくれ。

人形は通常、職業などに就くことは出来ないが、お前は職に就くことが出来る。この下の階に神殿を用意してある。そこで三つの職から一つ選び、この塔を出ていくがいい。そして、お前は一応分類するなら魔物に位置する。人族、天属、魔属、竜族に近付く時は注意する事。壊された場合、スペアが無い。それとお前が起動した部屋には設計図がある。それを持っておけ。お前自身の設計図だからな。壊されても復活する身体にしたい所だが、それには神の恩恵が必要だ。願わくば、お前に神と精霊の御加護を。・・・最後にお前に託した装備のスペックを記しておく』


「長文・・・目が痛い、ことはないね。薄々気付いてたけど、やっぱり私人形になってるんだ! ふふ。ふふふ! 人形に会いたいとか、作りたいとか思ってたけど、なるのは考えてなかったなぁ! うわー・・・! 嬉しい! 鏡とか無いかな〜。美女、もしくは美少女に仕上げてくれたんだよね。さっき培養槽に映った時は確かに可愛かったかも!?」


ふふふ! テンション上がってきた〜! っと、装備のスペックね。見ておこう!


『人形師のオレンジローブセット 分類:服

伝説の人形師が手ずから用意した橙色のローブ、スカート、ブーツ。経年劣化は進んでるものの、その性能は高性能を維持している。


制限:人形のみ

DEF:25 MDEF:45

INT+50


破壊不可 譲渡不可 製作者【──】』


『言霊の指輪 分類:装飾品

伝説の人形師が手ずから作成した、本来言葉を話せない生物が言葉を話せる様になる特殊な指輪。魔物以外は触れる事すら出来ない。


制限:魔物類のみ


破壊不可 製作者【──】』


『マギアナイフ 分類:短剣

魔法使い向けの魔鉱石を使ったナイフ。魔力を増強し、護身用にも使える。


制限:なし

ATK:55 MATK:10

INT+10 MIN+20


耐久値:400/400 重さ:1』


『クローゼットバッグ 分類:便利家具

起動すれば、高さ3m、横5m、奥行き1mの広いクローゼットになる箱。起動した後、戻す際に箱状にするか鞄状にするか選べる。鞄状のまま中身のアイテムを出したり入れたりすることが出来る


制限:人形のみ


破壊不可 譲渡不可 重さ:1(50)』


「おぉ〜・・・DEFって防御力だよね。・・・INTとかあまりよく分からないけど、凄いなぁ。全部データがあるのか〜。もしかしてさっきから見えてる、赤と青のゲージってHPMPとかそういう意味?」


それにこのクローゼット持ち運び出来るんだ。すごぉい・・・。ぺちっと適当に触れば、メニューの様な物が出る。ホログラム・・・。えっと鞄に変換。


ピカッと光り、気付いた時には、黄色い肩掛け鞄が。おお・・・オレンジと黄色で、目が痛い・・・。


ランタンの捻りを逆に回して、消えたランタンを鞄の中に入れてみれば・・・すんなりと入って・・・


「閉じれるっ! すっごい・・・! ランタンを取り出す事も・・・? できる。すごいなぁこれ。さっきから凄いしか言えないや。楽しくなって来たな〜!」

今作のコンセプトは魔物側のプレイヤー。

主人公は人形となって、物語を紡いでいきます。

次回は職に就くという事ですが、もうタイトルから察しがつくと思います。


楽しんで読んで頂ければ幸いですっ!

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