始まり
〈1話〉
どうも
いきなりだが、状況確認をさせて欲しい。
まず、俺の名前は天野 空汰だ。今いる場所は、小屋。スペックは20歳、172cm、下は15cmぐらい、顔は中の上ってよく言われて。だったはずなんだが…
鏡を見ると、身長はほんとに小さい、下手をすれば100ないかも知らない。顔は美少年だが、女の子と間違われることもあるかもしれないぐらい女顔。髪は茶髪で肌は日本人ぽい肌をしてる。今から話すのは、目覚めた時横にあったメモに書いてあった事だ。どうやら俺は魔法使いで、その魔法を使うために必要な魔力が莫大にあるらしい。魔法にもいろいろ種類があるみたいで、「火」「水」「土」「風」「光」「闇」の6種類あるみたいだ。人には魔法の適正があって、俺は「闇」が適正らしい。正直どんな魔法か想像ができない。そして、この体についても書いてあった。これは、魔法使いが作り出した体らしい。その魔法使いの名前は「ルーラ」、
どっかに転移しそうな名前だな。それより、それでこの体はしっかり成長するらしいが成長が遅いらしい。人造人間なのに成長するのか。あと、この体は軽く走っただけでもめちゃくちゃ速かったり、力がめちゃくちゃ強かったりとハイスペックらしい。ここに来た経緯だが、全くわからない。目が覚めたらって感じだ。メモの裏にあとがきがあって「戻る方法は残念ながらない、だがこの世界には面白いことが溢れている。それを十分に楽しんで欲しいと思う。最後にここに召喚獣の魔法陣を書いておく。使い魔にするように」はあ、元の世界に帰れないのか、やり残してきたこといっぱいあるのに…
ってゆうのが、今の状況だ。簡単に言えば
寝た
↓
目覚めたら小屋にいて、魔法使いになった
↓
帰れなくて、絶望←今ココ
もう帰れないし、楽しめって書いてあるし楽しむことにする。
「さてとまずこの小屋を出て召喚獣をだすか」
小屋を出てみれば、目の前は街…じゃなくて森だった
俺が目覚めた場所は山小屋だったのか、まあちょうどいい。もし街で召喚獣出して、その召喚獣がでかいと街の人を怖がらせてしまうしな。さてなにが出るのか、楽しみだな。さぁ、出でよ召喚獣!!!
・・・・・出ないな。それもそうか魔法陣に触れてないもんな。さてとりなおして魔法陣に触れてっと、
「おぉ」
途端に魔法陣が光り出した。光がおさまった先を見ると、そこには・・・イタチ?みたいな白い小動物がいた。
「なんだこれ?」
ただただかわいい。例えるなら、ナ○シカの肩に乗ってる動物が1番近い。
『あの…』
ん?なんだ今の?
『あのー』
誰だ俺に話しかけて来てるのは
『あのー!!!あなたの目の前にいる動物です!!!』
なんと、このイタチが話しかけて来ているようだ。
動物が喋るとか、不思議な世界だ。いや、魔法が存在してる時点で、不思議だよな。
「なんだ?」
『私は、ゾルっていう幻獣です。あなたがマスターですね。よろしくお願いします』
幻獣だったのか。
「おう、よろしく。俺の名前は天野 空汰だ。」
『ふふっ、マスターは変わった名前なんですね』
そうか、完全に日本人の名前だもんな。この世界ではおかしいよな。名前かどうしようか。・・・決めた
「いや、名前はアイラだ」
『アイラ様ですね。改めてよろしくお願いします」
「こちらこそよろしく」
さてさて、せっかくの魔法だし使ってみたいよな。でも「闇」って言われても想像がつかない。
「ゾル、闇魔法ってどんな魔法なんだ?」
『そうですね、簡単に言えば「全てを無にする能力」でしょうか。今の時代で持ってる人間はいないと言われてます』
そんなレアな魔法だったのか。あと、戻すこともできた。有から無とか無から有とか出し入れしてる感覚だ。
「ゾルは魔法使えるのか?」
『使えます。幻覚魔法という幻獣しか使えない魔法を使えます』
「具体的には?」
『幻をみせたり、幻聴が聞こえるようにしたりなどです。』
こいつ、やばいな。精神崩壊狙ったら余裕で人なんか余裕で殺せる能力だ。敵じゃなくてよかった。
「魔法ってどうやったら、使えるんだ?」
『そうですね、、、』
『ちょっと分からないです。すいません、生まれつきから使えましたので…』
あー、話せるから気にしてなかったがゾルって魔物なんだよな。なら生まれてすぐ使えてもおかしくないか。
「そうか…」
なら、イメージが大事だと仮定して使ってみよう。「そうだな、あの木を無にしてみよう」
木がなくなるのをイメージする。
すると、、、、木の下に影ができて木が沈んでいく。
「木が沈んだか、消滅とは違う感じなのか」
よし、魔法の使い方はイメージが大事なのは分かった。さて、次は
『マスター、お腹が空きました』
そういえば、こっちに来てから何も食べてないな。
ぐぅぅぅ、っと俺の腹も鳴った。
「とりあえず、腹ごしらえだな」
って何を食えばいいのだろう。火がないし、その前に何が食えるかが分からない。街を探すか?それも手だ。うん、そうしよう。
「ゾル、俺も腹が減ったが何を食えるかわからないし、あったとしても火がない。だから、街を探すことにする」
『わかりました、できるだけ早めにお願いします。』
と言い俺の肩に乗った。こいつ自分で動く気がないようだ。まあ、俺の化け物身体能力についてこれないと思うからいいけどね。さて、どの方角から探そうか。
それをミスると、永遠にさまよう可能性すらある。ここは確実に街へ行きたい。
『マスター、南に街があったはずです」
こいつ、なんで知ってるんだ?
「そうか、じゃあ南にある街へ向かうぞ」
『はい!』
距離はどれだけあるかわからないが、この化け物身体能力に任せて走ればいけるだろう。
走って10分ほどたって、魔物に出会った。でっかいイノシシだ。マンモスみたいなやつだ。
『マスター、あれ倒しましょう』
「無視しないのか?」
『街に入るのにお金があると思うので、資金稼ぎです』
…全然気づかなかった。そうだよな、金もいるよな。
よし、あのマンモスは金になっていただこう。
魔法でマンモスを沈めようとした、その時地面から大きい槍が出てきた。
「うわっ!」
『マスター、あの魔物の魔法です!』
とりあえず避けれたが、
「魔物も魔法使えんのかよ」
次は、ゾルに幻覚魔法を使ってもらい倒すことにする。マンモスは幻覚を見ているようで、少し暴れたが、すぐ倒れて痙攣している。
落ち着いて、マンモスが沈むイメージをする
……沈まない
『マスター、闇魔法は生物に通用しないのです』
俺には、生物の攻撃手段がないのか。魔物とか大量にいる世界なのに生きていけるのだろうか。
いつのまにか、ゾルの幻覚で死んでいたようだ。
「さて、どうやって持っていくかだな」
『マスター、この麻袋に入れてはいかがですか?』
ゾルが持ってきたのは、ゾル1匹入るかどうかの麻袋だった。
「おい、さすがに入るわけないだろ」
『この袋に、闇魔法を付与するのです』
「付与?そんなのできるのか」
『この袋に魔力を注いでみてください』
袋に魔力を注いだところ、見た目に変化ない。
「ゾル、注いだぞ」
『これで、あの魔物が入ると思います』
そんなわけ、ないと思った矢先、入った…
「マジかよ…」
『マジです』
適当にその袋を、魔法袋と名付けておこう。
回収して30分ほどたって、森を抜けた。かなりの距離があったはずなので、めちゃくちゃなスピードで走ってきたのだろう。普通に歩けば1週間かかるような距離を40分ほどで走ってきたことになる。ほんとの化け物だろう。もし人が100cmもないよく分からない人型の何かが超高速で走るのを見たら、この森にでる主やら王やらと話すだろう。
とりあえず、森を抜けたし街もうっすらだが見えてきてる。街へ向かおう。
「おい!!!お前何者だ!!!!」
周りを見る、、俺だけだな。
「俺のことか?」
「あー、お前のことさ。初めて見る顔だな、子供もか?」
子供ってゆうべきか、正直に話すべきか迷うが
「10歳です」
嘘をついておこう。大人って言っても信じてもらえないしな。
「10歳か、なぜ街の外に出た?」
やばいな、理由がない。壁で囲われてるし、この門番みたいな人も交代しながら常にいるのだろう。どうやって誤魔化そう。ゾルの幻覚で記憶のすり込みを試して見るか?いや、だめだ。絶対どっかでボロが出る。
冒険者と嘘をついてみるか?10歳だったら冒険者になれるのか分からないが、それが1番いいと思う。
「冒険者なので、探索に行っていた」
「冒険者か、そうか。」
10歳で冒険者になれるみたいだ。よかった。
「ギルドカードを見してもらおうか」
探すふりをしよう
「なくした」
「はあ、わかった。なくしたならしょうがないな」
ホッと思った矢先、
「まぁ、嘘をついてるのはわかってるがお前が悪い奴じゃないのも分かる。だが一つだけはちゃんと説明してもらう。でたらめなスピードで走ってきたな、それだけは説明してもらう」
バレてたのか。この人、やるな。人を見抜く力を持ってる。
「普通に走ってきた」
「はあ、話にならん。とりあえず、門所で話聞いて入れるか判断しよう」
「わかった」
門所に入るとお茶を出してくれた。ありがたい。でも話が長くなるってことだよな。
「まず、名前を聞こうか」
今思えば、話すの完全に日本語なんだよな。
「アイラだ」
「アイラか、街では聞いたことないな。どっからきた?」
「東の方にある街からきた」
ここで、定番の東の方から来たを使っておこう
「東となると、、パメラになるが、結構距離があるぞ」
「あのスピードで走って来たら、それぐらいの距離はいける」
「あのスピードだったらいけるか、たしかにそうだな…」
アホみたいなスピードで走ってきて、身長100cmないやつが怪しくないわけがない。俺も門番だったら怪しむ。門番は街に危害を加える人を入れないようにするのが仕事だからな。
いくら人造人間とはいえ、成長するって書いていた事を考えると、寿命があるのだろう。今、空腹感を感じていることから、餓死だってするかもしれない。そんなリスクはできれば背負いたくない。しかも自分は今魔法袋しか持っていないのだ。モンスターをゾルに頼んで狩ることはできても、調理する方法がない。
今気づいたが、大ピンチなのか。異世界にきていきなり大ピンチって、定番だな。定番ってことはなんとかなるのだろう。
なるよな?
「よし、入っていいぞ。ただし入るのに金があるのだが持ってるか?」
「持ってないが、モンスターの死体ならある」
「どこにあるんだ?」
アイラは袋を見せる
「この中だ」
「お前、それアイテムボックスか?かなり貴重品じゃないか。まぁ、そういうことならギルドでそれを売った金からの天引きでいいぞ」
「ありがとう、助かる」
「ギルドまでの道分からないだろ?案内してやるよ。金も貰わないとだしな」
「悪いな」
この門番、「クリナ」というらしい。
クリナに街の説明を受けながら、ギルドに向かう。
この街は「イーラ」というらしい。
ここは辺境で、俺が出てきた森は魔物の巣窟と呼ばれるほど魔物がいてそこから魔物が湧いて出て来るらしいので、非常に魔物が多い上に普通の魔物より強いらしい。なので、腕のいい冒険者も集まって来るみたいだ。癖のあるやつが多いみたいだが、だいたい面倒見のいい人が多いとの事。過ごしにくくても別の街に向かえばいいか。
説明を受けているとギルドについた。
ギルドは結構でかい、冒険者が多いから利益もそれなりにあるのだろう。見た目は想像通りというべきか。
ゲームとかでよく見る見た目だった。
「おい、中に入るぞ」
クリナについて行って中に入ると、大量の冒険者が・・・・いなかった。
時間帯的にほぼ昼だから、冒険者はほとんどいないみたいだ。
「お、クリナじゃないか、横の子供は誰だ?隠し子か?」
「そんなんじゃねぇよ、冒険者になりたいんだとよ」
「お、そうか。じゃあ、ボウズ?嬢ちゃんかな?」
「名前はアイラ、男だ」
「アイラか、じゃあこっちに来て」
受付は、女の人だった。口調が男っぽいし見た目は美人なので、かっこいいタイプの女の人だ。名前は「ラミア」というらしい。クリナと仲が良さそうな雰囲気だ。
「ここに名前と年齢と従魔の名前を書いて」
日本語でいいんだよな。会話が日本語だし問題ないだろう。
「名前がアイラで、年齢が10歳、ゾルちゃんね。じゃあ少し待ってて、カード発行するから」
「わかった」
依頼ボードがあるので、なんとなく眺める。かなりの量の依頼があるが、辺境だからなのか、普通なのか分からない。ただS、A、B、C、D、E、Fの7種類がある。
「おーい、カード発行できたよー」
この人、クリナと話す時と比べて話し方が女らしくなったな。ギルドと普段の使い分けてるのか。普段は俺なのに、先生に怒られた時には僕と使い分けるのと同じ感じたろう。
「はい、銀貨1枚だけど持ってる?」
「ああ、こいつ金持ってなくて魔物を持って来てるんだ。ギルドで魔物の売ってそっからの天引きで頼む」
「どこにも持ってないみたいだけど?」
「こいつアイテムボックス持ちだ。そこに入ってるらしい」
「へー、レアな物持ってんな。それ売ってくれてもいいよ?」
『マスター、アイテムボックスは売ってはダメですよ。そのアイテムボックスはマスターの大量の魔力で作ったのでほぼ無限に近いほどのサイズなのですから』
そんな大きいのか。アイテムボックスにも入る量に差があるのか。
「売らない。魔物出すけど、ここじゃ入らないんだがどこに出せばいい?」
「残念、欲しかったのに。ここに入らないサイズなの?じゃあこっちに来て」
ラミアに案内されたのは、地下の解体所だった。めちゃくちゃ広い。今は、そんなに人はいないが冒険者が帰ってくる夕方になると混雑するそうだ。基本、冒険者はアイテムボックス持ってないのでその場で解体して必要な部分だけ持って帰ってきてギルドに売ったり、鍛治師などに売ったりするらしい。この解体所はサイズが大きかったり、見たことのないモンスターだったりする場合にギルドのアイテムボックスを持って、高ランク冒険者が回収しに行くらしい。
「ここなら、入るでしょ?」
「ここなら余裕で入る」
アイテムボックスからマンモスを出す
「こいつ、マンティピッグじゃないか」
このマンモス、マンティピッグというらしい。
マンティピッグは、ランクBの魔物らしい。凶暴で4mある巨体から突進をしてくるらしい。その突進で大怪我、最悪死ぬケースもあるらしい。俺らの場合はゾルが幻覚かけたから全然分からなかったが。
「ねぇ、こいつなんで無傷で死んでんの?」
『マスター、私が幻獣のことは隠してください。それだけで騒ぎになります」
しまったな、無傷で死んでるのはおかしいよな。
「たまたま死んでるのを見つけたんだよ」
これしか、言いようがない。
「ふーん、運が良かったね」
かなり怪しまれたな、仕方ないが。
「牙も綺麗だし、肉もあるし、皮等の状態もいい。金貨5枚でどう?」
「おい、それ大丈夫なのか?いくら状態が良くても金貨4枚が妥当だと思うんだが」
「んー、サービスサービス」
サービスしてくれたみたいだ。
「じゃあ、金貨5枚で頼む」
もし騙されてても分からないしな。
「あ、天引きしないとだよね。えーと街に入るのに銀貨1枚とギルドカード発行で銀貨1枚だから、金貨4枚と銀貨8枚だね」
手際よく袋に入れてくれた
「はいどうぞ」
さて、それからどうしようか。
「あ、そういえばギルドの説明してなかったね。簡単に説明するよ」
そういえば、受けてなかったな。
「依頼にはS、A、B、C、D、E、F、7段階あって、Sになるほど難しくなるよみんな最初はFランクからスタートで……」
ここからは
ランクが高くなると指名で依頼を受けることがあるらしい。報酬はいいが難易度も高いとの事。
パーティを組んだ場合、パーティメンバーの平均ランクがパーティランクになる(間の場合は切り下げ)
依頼はランクのプラスマイナス1の範囲でしか受けれない。
ランクが上がるのはギルドが上げて良いと判断した場合に上がる。
ランクC以上になるには試験が必要。
冒険者の喧嘩は基本的にギルドは関与しない。
犯罪行為も当然ながら禁止。
まとめればこんな感じになる。
「よし、わかった。ありがとう」
「じゃあ、頑張ってねー」
「あ、宿と飯を食いたいんだがどこがいい?」
「飯は屋台とかいっぱい出てるし、そこでいいと思うよ。宿はユーカヌバーってゆう宿がそこにあるよ」
「わかった。そうするよ」
俺とゾルはギルドから出た。
ラミアとクリナか、両方いい人だったな。
これからも世話になろう。