出会い
前作同様、過去話から始まります
「私には安心して背中を任せられる...いや、あの人の隣にいたから、あの夜を生き抜けたのかもしれない...」
重い表情をうかべながら
母、サクヤは話し出した
「私の剣は、我が家に代々伝わる歴史ある剣なの。その剣には、宇宙の深淵が宿っていて、その剣の深淵を開けた者は、己の内に潜む獣を封じ込み、狩りに飲まれずに済むと、そう言い伝えられてきたわ。そして本来、獣狩りとは男の仕事、私の代になるまではね。そう..私の両親は男の子を産めなかったの。でも狩人は、1家庭に1人は出さなくてはならない、そういう街の掟があるのよ。親は毎晩口論してたわ...そして私は成人した夜に、血の医療により己を試され、己の獣に勝ち、狩人になったのよ。分厚く重い、大きな剣を持って...ね。その剣はとても重く、女の私には振るう事すらままならなかった。そんな時、私は黒く大きな身体で、鋭い牙と爪を持った獣に出くわしてしまった。獣が私を切り裂こうとして、私はその剣で、何とか防いだのだけど、獣の腕力の前に、私は無力だった。もうダメだ...そう思ったその時。一瞬だったわ...獣の首は天に舞い、大量の血飛沫で、私は真っ赤に染まったの。戦慄し、震えていた私に、その男は手を差し伸べた。私はその男を見上げると、その男は全身真っ白な服を纏い、大きく銀色に光る鎌を持って立っていた、男は私に問いかけた」
「夜は長い。君は女性だろう。どうして狩りをしている?...理由を聞いても仕方なかったな。この街はもう手遅れに私には思える。何処も彼処も獣ばかり、家の中にも獣が侵入し人を食い殺すまで、事は深刻なものだ。今更何をしようと変わらない気さえする。.......なぁ君、俺と共に狩りをしないか?...なぁに、理由等大した事じゃないさ。選ばれた狩人を、みすみす見殺しにするのは、少々気が重い。それだけさ。付いて来るか否かは君が選べ」
そう語りかけてくる男は
まるで天が遣わされた天使のような
夜の街に迷い込んだ光のように
サクヤの目に写った。サクヤは迷わず答えた
「....はい!」
サクヤは高揚を隠し切れない心境だった
男は笑顔でサクヤに言った
「そうか。俺の名はロギヌス。協会の教区長だ。君の名は?」
「....サクヤ、この街の生まれよ」
この時、月明かりが夜の街を照らす中
人気が無く獣の臭いが蔓延する石畳の路地裏で
運命の歯車は回り出した