道化と魔法
目の前で繰り広げられる戦闘を見て、テルスは幼いながらに思うことがあった。
そう、それは純粋な疑問。
――何でこの人たち、ピエロやってるんだろ?
ルーンたちは強すぎた。
それこそ、子供のテルスが見ても格の違いが分かるほどに。
テルスの視線の先で暴れ回っているのはマテリアル《Ⅱ》のカニスたち。
涎をまき散らし襲ってくる狂暴な黒い犬の魔物だ。
単体の強さはマテリアル《Ⅰ》とそこまで違いはない。
しかし、この魔物は単独行動を滅多にせず三~五体の群れで人を襲うため、マテリアル《Ⅱ》に分類されている。
狡猾で、四方八方から襲ってくるその習性はまさに駆け出し殺しの魔物だ。
リーフから離れ森の奥へと進んでいくと、必ずこの魔物と出くわすことになる。
群れで行動するこの魔物からは逃げることも難しいため、テルスからすれば遭遇したくない魔物だ。
そのカニスたちが現在進行形で道化衣装の駒者たちに駆逐されていっている。
それは実にホラーな光景だった。
たった三人によって、もう十匹以上のカニスが瘴気へと姿を変えている。
ルーンの魔法が飛び交い、猫型の獣人であるミケとタマの二人が跳ね回る。
そのたびに黒い靄状の瘴気が森に漂う。
テルスはそんな光景を木の上から見ていた。
「そろそろかな。【チェック】」
もう何度目かになる呪文を唱える。
テルスが掲げた魔石に瘴気が吸いこまれていき、その濁ったような黒をより濃くする。
透かせば向こう側の景色が見えるほど透明で、ガラスのようだった魔石は見る影もない漆黒に染まっていた。
この様々な色をぐちゃまぜにしたような黒はいったい、何チップになるのか。
マテリアル《Ⅰ》一体でギリギリ一日分の食費。
では、数え切れぬマテリアル《Ⅱ》の群れは何日分の食費になるのだろう。
普通は魔物の数が増えるほど人の数も必要になり、一人当たりの報酬も減ってしまうのだが、ルーンたちには関係なさそうだった。
「……マテリアルはどれくらいなんだろう?」
こんなに強いのなら、ルーンたちがギルドに認定されているマテリアルは確実に中位以上だろう。
人に対するマテリアルは、『そのマテリアルの魔物を倒せるかどうか』。
マテリアル《Ⅱ》のカニスをあんなに簡単に倒せているなら、ルーンたちは少なくとも、一人前と認められるマテリアル《Ⅱ》以上の駒者ということになる。
「「ラストだよ、ルーン!」」
ミケとタマの仲良く合わせた声に、樹上で頭を悩ませていたテルスは現実に引き戻される。
カニスは木登りが得意ではないそうで、木の上はそこそこ安全らしい。
とはいえ、気を抜きすぎた。
まあ、そこらに突っ立っていても、安全だった気がするけども。
いつの間にかあれだけいたカニスも残り一匹。
ようやく相手の強さを悟ったのか、カニスは逃げようと茂みへと走り出す。
だが、それすら許さず翠緑の光が閃いた。
「うわー……」
速すぎて分からない。
緑色の綺麗な光が閃いたと思ったら、魔物に穴が開いている。
テルスの目にはそんなふうにしか映らない。ルーンの魔法はまったくもって何をしているかすら分からないマジックショーだ。
その点、ミケとタマはまだ分かりやすい。
ナイフを投げていることは分かるのだから。
もっとも、どこに入れているのか不思議でならないナイフの数と、嘘みたいにぶすぶすと刺さるナイフの切れ味は理解できない。
流石は旅芸人のピエロたち。戦い方までショーのようだった。
「よーし、終わったね。どう、テルス? 本職の駒者の戦いは凄いでしょ」
「うん。何をしているか全然、分からなかった」
「「私たちはどうだった?」」
木から下りたテルスがルーンの言葉に素直に頷くと、ミケとタマも感想を求めてくる。
この二人は双子らしく、テルスにはどちらがミケで、どちらがタマなのか見分けがつかない。
交互に二人の顔をテルスが見比べていると、ミケとタマがにやりと笑う。
「私がミケ」「私がタマ」
二人は名乗ると、その場でくるくると踊るように回り始める。
最初は目で追っていたテルスも自分の頭上を跳び越え、跳ね回る二人に、すぐにどっちがどっちか分からなくなる。
「「さあ、どっちが」」「ミケで」「タマでしょう?」
テルスの前に戻ってきた二人が手を繋ぎ、観客であるテルスにお辞儀をする。
どっちがミケでどっちがタマなんて、テルスにはさっぱりだ。
しかし、今の言葉を聞いて、もしかして、と思うことならある。
「えーと、ミケって言った方がミケで、タマって言った方がタマ?」
「「まあ!」」「お客様、そんな方法で判断するなんて」「賢いですね」「でも、残念」「こっちがタマで」「こっちがミケでした!」
くすくす笑う二人は悪戯っぽく微笑むと再びお辞儀をする。
これが二人の芸のようなものなのだろう。
からかわれたことよりも、テルスは二人の息の合ったやりとりに心を躍らせていた。
本当にさっぱり分からなかった。
顔も声もそっくり、猫耳の形も見分けがつかず、肌の色も同じ。
衣装すら揃いの黒い道化衣装。肩ほどの長さの黒髪につけている髪飾りまで一緒にしているなんて、むしろ見分けがつかなくさせている気までする。
いや、そうなのだろう。
見分けがつかないようにしてこその芸なのだ。
「そのうち、見分けがつくようになって」「さて、正直に言ってごらん。お姉ちゃんたちはどうだった?」「格好良かった?」「それとも、可愛かった?」「綺麗でも嬉しい」
「「さあ、感想を!」」
観客に感想を聞こうと強引に迫る二人に、テルスは一歩後ずさる。
昨日会った際に自己紹介をしてからというもの、何故かこの二人はルーンのように姉と呼べ、と言ってくる。
でも、この二人はテルスよりも背が低く同い年か年下にしか見えない。
それでも、あまりに期待に満ちた目を裏切ることができず、テルスは流されるままになっていた。
「えーと、ナイフがびゅんびゅん飛んで格好良かった……こっちに飛んできそうで怖かったけど」
「お客さんには当てないよ。ね、タマ」「前にミケはお客さんを刺しちゃって、怒られたけど」「それはタマの方!」
「そうだっけ?」
「……そうだったっけ?」
悩みだす姉妹。
見た目で犯人が判明することはないんだろうな、とテルスは思った。
「はいはい、二人の芸は終わり。では、テルス君!」
パンッ、と手を叩き注目を集めたルーンは少しだけ膝を折って、テルスと視線を合わせる。
「私たち悪戯好きな《トリック大道芸団》は旅芸人の一座。悲しいことに、残念なことに、明日にはリーフを発たなければいけないのです! せっかく教え子ができたのに非常に残念無念で仕方ありません。できれば連れていっちゃいたい。まあ、それをするとお縄になっちゃうけど……ともかく、明日でテルスとはさよならなのです」
「そっかー……」
なんか変な言葉が聞こえた気もするが、テルスとしてもそれは非常に残念だ。
せっかく駒者の人から色々と教わることができると思ったのに、明日にはお別れしなくてはいけないなんて。
しかし、悲しそうにするテルスとは対照的にルーンはだらけた笑みを浮かべる。
小さな子供に別れを惜しまれるのが、嬉しくてたまらないといった様子だ。
「そうなのです! だから、はい!」
テルスの前に差し出されたのは一冊の本だった。
『これであなたも魔法使い!?』という胡散臭いタイトルの。
「宿題! 私たちはまた半年程度でここに戻ってくると思うから、それまでにテルスは魔法の勉強を進めておくこと。駒者になるにしても、ならないにしても、魔法は自分の身を守るためには必要なものだから、しっかり勉強するんだよ。今日一日は私がしっかり基礎の部分を教えてあげる」
それはまさに棚から牡丹餅な提案だった。
魔法。
人が積み上げてきた生活を豊かにする技術にして、魔物に抗う力。
文字を読むのも拙く、本を書うお金すらなかったテルスにとっては、まさに手の届かない憧れのもの。
予想もしていなかった展開に、テルスは目を見開く。
もし、テルスにミケとタマのような尻尾がついていたら、引きちぎれんばかりに振り回していただろう。
「魔法っておれにも使えるの?」
「うん、練習すれば誰でも使えるよ。使えるようになったら、魔物を倒すのも楽になる。逆に使えないと危ないから、魔法が使えるようになるまでは、一人でリーフの外に出ちゃ駄目だからね」
「ええー」
それはちょっと不満だ。
魔法に限らず、新しいことを覚えたら使ってみたくなるのが人の性。
テルスも少しでも魔法が使えるになったら、魔物に試してみようという思惑があった。
「ええー、じゃありません。先生の命令です……ん~、先生っていい響きだなあ」
「先生、この本で本当に覚えられるの?」
「もっちろん、大丈夫です。この本は遥か昔の魔法使いが書いたものだけど、魔法の教科書としては非常にいいものです。おまけに、エルフの私のメモ付き。まさに完璧だね!」
「そっかー。じゃあ、頑張る」
「うむ。じゃあ、魔力を感じるところから始めようか。はい、まずは楽な姿勢になって。あ、寝っ転がるなら膝枕してあげようか?」
「やめとく」
「えー、そんなー、ちょっとだけだからー」
不満そうなルーンはもはやテルスには見えていない。
頭の中は魔法一色になっている。
木に背中を預け、ルーンから言われた通りに楽な姿勢になるも、はやる気持ちは抑えられない。
「こんな感じ?」
「そそ、そんな感じ、そんな感じ。目をつむって、頭は空っぽ。コツは遠くを見ているイメージ……いいね、そんなふうにボーっとしてる感じ。あ、周りの音に意識を集中させちゃ駄目だよ。全部、右から左に聞き流していくの。特にあの子たちの話は聞かなくていいから。いつものことだし。私の声もなんとなーく聞いているだけでいいからね」
ぼーっとするのは得意だが、周りの音を聞き流すのはちょっと難しい。
テルスが意識せずとも、そよ風が木の葉を揺らす音や鳥のさえずりを耳は拾う。
特にミケとタマの話し声は嫌でも耳に入ってくる。
なまじ意味が分かってしまうから、気がつくとつい、ミケとタマの声に集中してしまっている自分がいた。
(仮にも姉を名乗ってるのに、夜中に一人でトイレに行けないのはどうなんだろ……ああもう、そんなのどうでもいいんだった。静かにしててくれないかなあ)
自称姉の失態集などどうでもいいのだ。
首を勢いよく振って二人の声を意識から追い出すと、ルーンが言っていたように遠くの景色を見ているつもりになる。
ゆっくり、ゆっくり……無心へと近づいていく。
テルスの頭にシャボン玉のように浮かんでは消えていく景色の数々。
蒼く広い大空に漂う雲とか、精霊樹から見えるリーフの町並み。
そして、高い場所から見覚えがない町を見下ろしているような、そんなイメージが浮かんで……消える。
「聞こえる?……うん、返事をしないなら集中できているかな。テルス、今度は自分に集中していくの。外の音ではなく、自分の音に耳を澄ませていく。体の隅々まで流れていく血液。規則正しく胸を叩く心臓の鼓動。それらに耳をすませながらゆっくりと自分の中に沈んでいく………………はい」
パチン、という音にテルスは目を開く。
それほど長い時間ではなかったはずなのに、一眠りしたような心地よい気怠さが身を包んでいた。
「今のを毎日やっていると体の中の違和感というか、ふわふわした感覚に気づくはずだから。それが魔力なんだけど……うーん、言葉で説明するのは難しいなあ。エルフの私は生まれつき分かるものだったし、一度感覚を掴めるとそれが普通になるから、改めて説明しようとすると難しいや。ん~、なんとなく私の言っていること分かる?」
「うん。体の中のふわふわ?……えーと、違和感みたいのは分かる」
「はやっ!」
驚くルーンを余所にテルスは再び目を閉じ、自分の内側を探り始める。
今度はすぐにそれが分かった。
一度気づけばルーンの言うとおり、すぐにそれを手繰り寄せることができる。
まるで、まっさらな白い紙についた汚れを見つけてしまったように、意識が魔力を認識していた。
(まあ、ふわふわというより……ざらざら、な感じな気がするけど……)
多少の違和感を覚えるも、これが魔力というものだと直感的にテルスは理解していた。
一方、優秀な生徒に慌てているのは先生の方だ。
「え、え? うそ……早すぎない? ええと、じゃあ、その感覚を広げてみて。体の中心から手足の先までじわじわ~と染み込んでいくみたいな。人によって動かしやすいイメージは違うけど、大抵は水とか風とか、そういう流れるものをイメージすると分かりやすいよ」
そう言ってルーンはテルスの頭に手を乗せて目をつむる。
同じようにテルスも目をつむり掴んだ感覚を広げてみようとする。
(流れるもの……体に流れているもの……血、とか?)
「あらら、本当に魔力を掴めてる。あれかな、無意識に掴みかけてたのかな。それなら、魔物を倒せたことも納得かな……ま、ちょうどいいよね」
覚えが早いのを不思議がっていたが、ルーンはすぐに意識を切り替えた。
どうやら分からない問題に悩むより、一日しかない貴重な先生の時間を楽しむことにしたようだ。
「さて、次は魔法の使い方に飛んじゃおうか。ああでも、魔力を体に行き渡らせると速く走れたり、力持ちになれるから自由に動かせるように練習するんだよ。そうしておけば、【強化】って魔法が使いやすくなるから」
「はーい」
「おお、いい返事。夢中になって魔力を動かしているね……さて、魔法のことはこれを見せるのが一番いいかな」
ルーンがテルスの頭から離した手を翳すと、その手から緑光が溢れる。
森に溶け込むような緑の光は線を描き、やがて図形のようなものとなってテルスの前に展開された。
幻想的な光景に息を呑むテルスに対し、ミケとタマは慌てて声を上げる。
「ええ!? ルーン、こんなとこで『魔法陣』を展開しちゃっていいの!?」
「大丈夫。この辺りに人なんかいない、いない。だから、ここにきたんだし」
へーきへーき、と呑気にルーンは言うが、姉妹はその言葉を信用できないのか、しきりに周囲を気にしている。
「これ、危ないの?」
「危なくはないかな。これは『魔法陣』といって、私たちが魔法を使うもとのようなものなの」
ルーンに言われ、しげしげとテルスは緑光で編まれた魔法陣とやらを見る。
よく見ると円形の図形にびっしりと書かれているのは文字だ。
ただ、少し崩れている文字を読み取るのはテルスにとっては難しい。
なんて書かれているのか分からない――はずなのに、理解できる。
「あれ、なんか分かる……」
この魔法陣がどういう魔法か理解できる。
見れば見るほど、読もうとすればするほど、文字ではなく、イメージでそれが伝わってくる。『魔力を飛ばす』……『魔力を弾丸に形成』……『貫通力を上げ、狙いを精密にするために常時高速回転』……
「うん、その通り。分かったと思うけど魔法陣は見ただけでどんな魔法か分かるものなの。知識があればあるほど素早く、深く理解できる。それこそ、弱点とかも。今日は特別だけど、簡単に見せちゃ駄目なものだから、そこは忘れないように」
「う、うん」
軽く頭が痛み、テルスは魔法陣から目を逸らした。
ルーンの説明を聞くと、自分の頭がパカリと開かれ、脳へと直接情報を送りこまれている気分がしてくる。
「えー、『魔法とは願いである』って言葉があってね。遥か昔は長い呪文を唱えたり、道具を使ったりしたけど、今はこの魔法陣を作っておけば、その言葉通り、願えば魔法は発現する。ようは思うと同時に魔法が出るの。作り方はえーと、どこに入れてたっけ……うーんと、あったあった。この『魔導書記』を使えば初心者でも楽に魔法陣を書けるよ」
手渡された魔導書記という道具の見た目は指輪に近い。
ただし、指にはめるのではなく指先につけるもののようだ。
指輪から真っ直ぐに伸びるペン先に似た部品を加味するなら、指輪というより付け爪に近いかもしれない。
「【オープン】って言えば魔法陣が展開される。そうしたら、魔法陣に術式を書き込んで【クローズ】で終わり。書くのを間違えたら、消したい部分に【クリア】。慣れれば簡単だし、そのうち道具を使わなくてもできるようになるよ。詳しいことは教科書に書いてあるから、それを見ながら勉強してね」
「うん、分かった。頑張る」
「ふふ、頑張ってね。コツはどういう魔法にするのか願いながら魔法陣に向き合うことだよ。でも、今日は紹介だけ。魔法を使うにはまずは色々と勉強しないと。だけど、使いこなせれば……二人とも、ナイフを投げて」
少し離れたところで、ルーンの話に聞き入っていた二人は何も言わず、明後日の方向にナイフを投げる。
瞬間、立っているだけのルーンから緑光が閃き、ナイフが撃ち落とされた。
目を閉じてなどいない。それでも、目で追えない。
瞳に映るのは高速で射出された魔法が描く、緑の残滓だけだ。
「すごい……」
「そうでしょ、そうでしょ。魔法は慣れれば、手足のように自然に使えるようになる。それに、こういうのは得意なんだー。ミケとタマが入団するまでは、この魔法でナイフ投げみたいなことしていたからね」
目を皿のようにして驚いているテルスに、ルーンは得意気に胸を反らす。
しかし、すぐにミケとタマから先ほどのナイフよりも鋭い言葉が飛んできた。
「それより、ナイフ弁償して」
「ルーンはナイフ投げが下手だったから、魔法で誤魔化していたんでしょ」
二人の責めるような眼差しに耐えられなかったのか。
得意げな笑みから一転、ルーンは気まずそうにテルスの背に隠れた。
そんな格好良くも、頼りない先生にテルスは最後の確認をする。
「ねえ、ルーン先生」
「なんだい、弟子よ」
「《トリック大道芸団》がいない間は、さっきの魔力を動かすのを練習する。そうすれば、力持ちになるし、足が速くなる」
「うん」
「それと、この本で魔法の勉強をする。これを勉強したら魔法陣が書けるようになって、おれも魔法を自由に使うことができる」
「うんうん」
「それができるまで魔物に近づいたり、町の外に出ちゃいけないんだよね?」
「うん?……うん、そうだよ、危ないから約束だよ」
「そっかー、分かった。約束する。色々、教えてくれてありがとう、ルーン姉」
満足そうに微笑むテルス。
何か変だとは思ってはいるのだろう。
ルーンは少しだけ怪訝そうな顔をするが、『姉』の響きを聞いて相好を崩す。
「えへへ……」
「そうだ! 二人とも、どうやってあんな数のナイフを出してるの? やっぱ、隠しポケットとかが……」
魔法からナイフ投げに興味が移ったのか、テルスはミケとタマに突撃する。
その姿はテルスの年頃に相応しい無邪気な姿に見える。
興味が惹かれたことに一直線。
そんな、ただ素直なだけの少年に。