わたし
それはゆめだったのだろう。今日を迎えたくないものに訪れる希望だったのだろう。虚しさ、儚さだけが蔓延する嘘。わたしは感染していた。そうするしかなかった程度の強度。わたし自身の弱さ。
わたしはゆめをみていた。儚いゆめ。わたしはいつまでもいつまでも放課後を過ごしていた。ずっと夕焼け。くもりもあったかも。そんな夕焼け。男の子と二人。ずっとずっと…。
口からは血の味なんてしない。あれはゆめだったから。…もちろんうまい棒も。
でもわたしはああするしかなかったのだ。どうしようもなくゆがんだ末に産まれたゆめを終わらすにはああするしかなかったのだ。猟奇的。そうだとしても。
がぶっ
わたしは噛んだ。おもっきり。わたしの手を。
いたいっ
でもわたしがしたことに比べたら。こんなの、へっちゃらだ。わたし自身の至らなさ。ああやって歪んだせかいをつくることでしかいきることができなかったわたし。あんな日々なんて絶対ないのに。明日は訪れる。今日もまたしっかりある。なのにすべてなくしてしまって。
だめだ。だめだ。しっかりと。まえを。むいて。しっかりと。いきなくちゃ。
ふとんの生活おさらばだ。わたしは今日を生きる。生き続ける。もう嘘なんてつかない。わたしはわたしになる。わたしとして生きる。だから
「許してください。頭から丸かじりなんて…。ごめん」
許してなんてくれない。でも構わない。それがわたしの程度だったんだから。でもそれは昨日まで。今日からはわたしとしての精一杯。できる限り。
「まずは朝ごはんでもたべよっと」
目玉焼きとかいいなっておもっていたり…。