空腹とあのこ
日にち。だれも知っていてだれも知らない当たり前の嘘。だれが数えているのだろう。だれも数えない。昨日も今日も明日もない。ずっと続いてきた。始まったその時からいままで。分けられたことなんてない。僕たちはいつも今日だった。だからもういわないよ。昨日とか明日とか。そんなのないんだから。
窓は空いている。空気の匂い。無臭。
「ここはどこなんだろうね」
「学校でしょ」
「だからここだよここ」
「教室でしょ」
「ちがうよここ」
「そんなこといったってわかるわけないじゃないか」
「ここって学校か」
「そうだよ学校だよ。いつもが放課後がっこうさ」
「変わり映えしない毎日。うまい棒食ってそとをみてちょっとおしゃべりして。チャイムがなったら下校して。わたしたちはいつからこうなったんだろう。どうしてわたしはうまい棒をくわなくちゃいけないんだろう。よくわかんないよわたし」
そうはいってもおれにもわかるもんか。
「ねえどこかいけないの。わたしいきたいな。ここ以外のどこか。放課後の教室とか廊下とか。わたしそれしかしらない。テトリスとか知恵の輪とかそんなんじゃなくて。夕焼け以外の景色わたしにみせてよ」
いけるのならとっくにいっているさ。
「わたしもう耐えらんないのこんなばかみたいな、、わたしどうしてもでていく」
「どうやってさ」
「もううまい棒くわない」
「えっ」
「空腹空腹でわたしを困らせて、あなたをくわせる。それだけじゃない。この学校を。わたしの胃袋は四次元だから。それぐらい可能。もっと食おうかしら、この街、街もくうわわたし」
「やめとけよ」
「なんで」
「そんなことしたらどうなるかわかんないぜ」
「あなたいまどうなっているかわかっているの?」
わからない。なにも。
「わたしはくうわ。わからないものぜんぶ。わたし以外のすべて。まずはあなたから」
なにか変わるとしてそれは喜ばしいことなのか。もうどうしようもなくなった昨日の妥協案として選ばれた今日。僕は既に死んでおりこの場所は妥協として存在していた。それを知らないふりをすることでしか僕は存在できなかった。そうでしか今日でいられなかった。
僕は食われよう。食われて今日になろう。今日という日を妥協によってしか迎えることしかできなかった僕を救ってくれるのだ。諦められるのだ。
「僕を食って」
「あなたってあまりおいしそうじゃないのね。テトリス弱いし」
そういって僕を頭から食っていったあのこ。