目玉焼きとわたしっていやだ
目玉焼き。それはおいしい朝ごはん。毎日たべたいぐらいに幸せな。たべたらわたし幸せで。電車のなかでもにんまりしちゃう。でもわたしはたべれなかった。子どものとき、短い期間すこししか食べれなかった。大好きなのに。食べられなくて。それで、それでもわたしたべたくて。つくって、たべたい。たべたいのって。あたりまえじゃん。あんなおいしいのたべれないなんて罪じゃん。ずっとずっといいつづけて。それでさ、もうどうしようもなくなっていっちゃった。目玉焼きってそんなものだったもん。もういやになっちゃったよ。あんなに目玉焼きすきだったのに。もうわたしからは消え去って。特に朝ごはんとか興味ないし。どうでもいいから。残しちゃった。
「ごはんは残すなー!!」
まあわかっていたの。昔からそうだったから。でもさ仕方ないよねそれぐらい。だってそうだもの。もういやだったんだ、朝ごはん。一番しあわせなあさごはん。食べてほっこり朝ごはん。食べたら幸せ朝ごはん。そんなの、もう無理なんだから。
「まずい」
とかいっちゃったっけ。べつにそんなのおもってなかった。でもそれぐらいしかいえなかった。
「ごはんはおいしいーー!!」
もうそのさきはどうでもよかった。忘れるとか憶えてるとかじゃなくて。もうなにもみてなかった。どうでもよかった。
ただそれだけだったならよかったんだけどね。もうわたしにはなにもなくなったようにおもう。それからのわたしなんてないも同然だったし。なんかどうでもよくなったしね。うん。目玉焼きなんて欲しくなかったんだよ。…うそ。でもそうおもうしかないじゃん。目玉焼きくいたかったけどそんなことなるんだったらくいたいなんておもわなかったよ。
「わたしっていやだ」




