オーバーホール
コチコチいってるロービートの機械が愛おしい(変態ぢゃないよ?)
男の子(自称含む)は機械モノが好きなんです。
ロービートが好きなのは「チッチッチッチッ」と、その音を口ずさめる速度であることも理由の一つです。
ハイビートには口がついて行けません(笑)
機械に少々サビがまわっていたものを修理した時計なんかは「シャンカシャンカシャンカ」と割と騒がしく動くものもありますけど……精度だけはそこそこですよ。
それと速度が約半分であることから理論的には機械の損耗にも強いと思われることもあります。
オーバーホールとは言っても、心や体のことではありません。
自称趣味人な私の趣味である腕時計のことです。
以前にも書きましたように、基本的に手巻や自動巻という機械式腕時計が好きでコレクションしていますので、電池交換は不要なのですが、長年使用していますと時折入院させる必要があるんです。
中の油は徐々に揮発しますしね。
時間(精度)も少しづつズレが大きくなってきます。
で、その入院させておりました時計が2本出来上がって参りました。
SEIKO Lord Marvel (初期後期型、23石手巻、SDダイヤル)
SEIKO Champion Carendar 860WP(防水ケース入り、17石手巻)
どちらも「手巻、ロービート、プラ風防」というオールドのお手本のようなお約束の出で立ち。
ロービートが好きなんですよ。
耳を近づけるとコチコチいってて実に安らぎます。
プラ風防は傷ついてもサンエーパールで磨けばすぐキレイになるし、独特のテラッとしたツヤ感も好ましい。
順番通りだと次の入院は44キングあたりかな。
ちなみにロービートと言うのは時計の振動数が少ないことで、ウチの時計たちだと殆どが5振動。
1秒間に5回振動しますので5振動とも言いますし、1時間の振動数で18,000振動と言う場合もあります。
時代が新しくなると振動数が増えて、10振動(36,000振動)なんてのも出てきます。
ロードマーベルも後期型がこれで、ハイビートと呼んだりします(クラウンベースに変わった中期型までがロービート)
どういう事かというと、一般に振動数が多いほど精度が出やすいという話です。
ちなみに、正確なことで定評のあるクォーツの振動数は32,768回です。
1時間にじゃないですよ、これは1秒間の値。
機械式はロービートだろうがハイビートだろうが全く太刀打ちできません。
そもそも勝負しようなんて思ったらいけません。
なので、クォーツの時計が世に出て欧州(特にスイス)の時計業界は大打撃を受けました。
俗に「クォーツショック」などと呼んだりします。
知ってる人には常識的な当たり前の話なので、そういう方はサラッと流して下さいね(笑)
しかしながら、そんな「クォーツショック」を経ても生き残ったメーカーは所謂高級時計。
彼の地の高級時計は今現在に至るも機械式です。
時計に求めているものが限りない正確性だけではないということなのでしょう。
私自身も普段から1分1秒にこだわって生活しているわけではありません。
大体合っていれば御の字です。
そもそも正確な時間なら、今どきはスマホで確認すれば良いわけで。
いたるところに時計があったりしますしね。
私の持ってる機械式時計では、まちまちですが平置きで(+ー)2秒~15秒、実際の装着時で(+ー)5秒~60秒くらいの日差(一日の時間のズレ)です。
姿勢差(置き方による差異)もありますが、実用上それほど困るような数値ではありません。
置き方も文字盤上、文字盤下、12時上、12時下、3時上、3時下で、それぞれ若干プラス気味だったりマイナス気味だったりしますので自身でそれを把握しておくと、それを利用した合わせ方もできますね。
まぁ大体出掛ける前に1分進めておけば何の問題もない。
クォーツとの振動数の差を考えれば超優秀でしょう(笑)
それよりもゼンマイ駆動でコチコチ音がする機械式が、一生懸命働いてる様子が感じられて好きなんです。
今回出来上がってきた2本の内、Championの方は防水ケース入り(今どきの防水ではありませんが)なので普段使いのローテーション入りは決定事項。
当時の大ヒットモデルである諏訪セイコーの「クラウン」のライバルな亀戸セイコー(第二精巧社)の「クロノス」ってのがありますが、その後継機であり実質は廉価版なのがこのチャンピオン(説明というか前フリが長いな)
当時の大卒初任給の三分の一強という価格だったようで、今なら6~7万円というところでしょうか。
Lord Marvelは当時の(グランドセイコーが出る前)セイコーの最高級機なので大切に、とも思いましたが初期後期型で裏蓋パッキン付いてますので、これもローテーションに入れときましょうか。
えぇ、初期後期型というのはクラウンベースになる前ってことです。
マーベルベースの最終型で、秒針規制(秒針停止機構)は付いてません。
元々一日に数秒ズレるので秒まで合わせる必要もありませんし(往年の鉄道員でもあるまいに)
ちなみに初期のマーベルベースの機械は優秀で、グランドセイコーが出た当時はこちらの方が精度で優っていたそうです。
少なくとも当時の通産省が行なった検定試験の結果ではそうなっています。
クラウン(グランドセイコーもクラウンベースです)の機械の方が大型になって、理論的には精度が出しやすい筈なんですけど、おそらく「負けるか!!」と意地になってたんでしょうね。
そんないろんな事に思いを馳せながら、今日も楽しく(暗くじゃないよ?)時計を磨いてます。
やっぱり少し変態入ってるんでしょうか……(汗