表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

NO.1  外



透視を上手く使いなんとか屋敷の外に出ることに成功した。


あとは、この広大なプロテア家の庭を

抜けることが出来れば外だ。


精神を集中させ庭全体を把握する。

すると、門に門番が立っているのが視えた。

庭の塀を飛び越えることは不可能。

見つかってしまっては

ダリアの元に連れてかれるかもしれない。

さて・・・どうするか・・・。


「仕方ないよね・・・。」


マリーは意を決して門まで走った。

銀色の髪が大きくなびく。


しばらく走ると大きな門が見えた。

とても大きな門はさすが三大貴族といったところだ。

装飾にはこの国の技術が惜しみなく使われている。


門番が走ってきたマリーに

気づき驚いた表情を浮かべた。


「マリー様?」


その瞬間 ごめんなさい マリーはそう呟いて

門番の肩に触れた。




『記憶操作』



触った対象の記憶を操作する能力。

触れる体の場所によって効果の範囲は変わる。

マリーは3分前までの門番の記憶を消した。

2連続で違う能力を使うのはマリーの体に多大な負荷がかかる。

それに人の記憶を消すというこの能力を

使いたくなかった。

でも仕方ない。ごめんなさい。


警備員はその場に倒れこむ。

気絶しているようだ。


マリーはその場で深々と頭を下げた。

向き直ると小さく門の外へ足を踏み出した。



________________



プロテア家の外に出るのは何年振りだろう。

マントを深々とかぶり下を見ながら足早に

商店街を歩く。

この国では私の顔は知れ渡っている。

見つかるわけにはいかない。

自分の心とは裏腹に盛り上がりをみせる商店街を

足早にとおりすぎた。


私はどこに行けばいいのか。

勢いで飛び出してしまったが

ダリアが自分の超能力を使えば私など

いとも簡単に見つけられてしまうのだ。


マリーはぎゅっと拳を握りしめた。

心臓に手を当てる。

心拍数が上がっている。


ダリアのことは尊敬しているし好きだが

私の中から彼の記憶を消そうと考えているなら、

あそこにいるわけにはいかない。


とにかく逃げなきゃ。

やみくもに走った。


しばらく無心に走ると

生まれた時からこの国に住んでいるマリーでさえ

知らないところにたどり着いた。

ここはどこだろう。

あたりを見回しても人っ子一人見当たらない。


コワイ


恐怖心が沸き上がる。

1人ってこんなにも怖いんだ。



”僕はマリーとずっと一緒にいたいよ”



こんな時にも彼の言葉を思い出す。

赤い美しい髪を持っていた彼はもういない。

悲しくなって自然と

マリーの紅色の瞳から涙がぼろばろ零れ落ちる。

私も一緒に居たかった。


あなたとの記憶がなくなるくらいなら・・・

私は・・・



_____________



日も暮れてきた。

あたりが暗くなってきた時

マリーはバーベナ国の大門の前に立っていた。

バーベナ国は国自体巨大な塀でおおわれている。

国の外に出るには大門を通過しなければならない。


この門をくぐったその先は

違う世界、壮大な荒野が広がっている。

この先を透視することはさすがのダリアにもできない。

門番が近づいてくる。


「キミ、国を出るのかい?

身分証明書を見せてもらえるかな?」


ごめんなさい。


マリー門番の肩に手をかけようとしたその時



「そこまでだよ、マリー。」


背後から声が聞こえた

聞きなれたその声・・・

振り返るとそこには悲しそうな顔をしたダリアと

記憶操作のオリジナルの使い手であるシオンが立っていた。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ