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プロローグ 

「マリー。僕はキミに・・・。」



ハッと目が覚めた。

薄暗くて何もない所で赤い髪をした彼が私に何か言おうとする。

いつもそこで目が覚める。

部屋のガラス窓からは朝日が入り込んでいる。

日の光に反射して机の上に置いてあるブレスレットがきらりと光った。

それを見て、一度は目を覚ましたもののまた目をつぶった。


もう彼には夢の中でしか会えない。


-----------------------------------------------


「マリーったら相変わらずまだ寝てるの?」


ここは人口数千万人の国バーベナ。

王様と三大貴族に護られ豊かに発展している大国。

三大貴族の中の1つプロテア家の食卓では

昼食をとるため人が集まっていた。


「私、マリーを起こしてくるわ。」


ショートカットの銀色の髪をした少女が

そういうと席を立った。


「まあ、まって。アザミ。

俺はマリーのしたいようにさせてあげた方がいいと思うんだ。」


アザミと呼ばれた少女は声を発した少年の方を見た。

ゴールドの髪をした長身の少年は

存在感をひたすら放っている。


「ダリア、あなたがそう言い続けてもう二年だわ。

私はマリーの双子の姉としてあの子を心配しているの。

あの日からあの子はまともに部屋から出ようとしない。」


「俺だって同じプロテア家のものとして、幼なじみとして

とても心配しているよ。

・・・そうだね、もう2年立つのか・・・。」


ダリアはふうと小さくため息をついた。

そして天を仰いで人差し指を自分のこめかみにあてた。


「あいつが死んだ後にさ、

超能力者たちの中ででマリーの記憶を消した方が

マリーは気持ちが楽になるんじゃないかって話になった時があったんだ。

その時はその話は無しってことになってけど・・・。」


ダリアはそういうと何か思いつめた顔をして席を立った。


「どこに行くの?」


アザミが声をかける。


「ちょっと話たい人がいるんだ。

会いに行ってくる。誰か外に馬車を用意してくれ。

みんなは昼食をとっていて。午後の公務の時間までには戻る。」


そういってダリアが微笑むとプロテア家の貴族たちや

使用人たちは頭をさげた。

ダリアが部屋から出て行ったのを横目で確認すると

アザミもこっそりと部屋を抜け出しマリーの部屋へと走って向かった。



--------------------------------------



部屋の扉を誰かが叩いている。

その音でマリーは目が覚めた。


「マリーいるんでしょ。ドアを開けて。」


聞きなれた声、アザミだ。

それにこの焦った声色。

マリーはベットから出て、ドアを小さく開けた。


「こんにちは。アザミ。」


「ええ。こんにちは。マリー。

あのね、もとはといえば私が悪いんだけど、嫌な予感がするの。

ええっと、そのダリアがね・・・。」


アザミは焦っているようで思考がまとまっていないようだ。


「どうしたの。アザミらしくない。」


「そうね。一回落ち着くわ。

・・・・・・あのね。ダリアがあなたの記憶を消すつもりかもしれないわ。」


マリーは不思議そうに首をかしげる。

記憶を消す?なんでいきなりその話になるの?


「・・・あの人がいなくなってから、あなた苦しんでる。

だからもしかしたらダリアは記憶操作の能力者に

マリーの記憶を消してもらうように頼みにいったのかもしれないわ。」


思わず後ずさりをする。

私と彼との思いでを消そうとしてる?

そんな恐ろしいことをこれからしようとしてる?

頭の中がグルグルする。



「アザミ・・・教えてくれてありがとう・・・。」


マリーはドアノブに手をかけた。


「まっまって、マリー・・・・・」


アザミは何か言いかけていたが強制的に扉をしめた。


ダリアとは長年ペアでやってきた。信頼してる。

でも今の話が本当だとしたら・・・もうここにはいれない。

ひとまずこの屋敷を出る。


そう思うといそいで身軽な服に着替え身支度をした。

マントを羽織ってフードを深々とかぶった。

この屋敷からひとまず出よう。

誰にも会わないようにこの屋敷を出なくては・・・


となると・・・

超能力を使うのは久しぶりだ



目をカッと開いた



『透視』



あらゆる物体を通り抜け屋敷全体の人の配置を確認する。

よし、透視を使って気を付けながら屋敷を出る。



そっと部屋の扉を開け、一歩踏み出した。










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