表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
気づかない内にそこだけ別世界  作者: あちゃま
第3章 最強の探索
36/50

現実:ガチャ

運営によって盛大にアップデートされ遂にガチャという新たな図鑑コンプリート方法が追加された。


今までは探索を何回も何回も行って様々な道具アイテムをゲットしていくしか方法が無かった。モンスターの図鑑をコンプリートは組合ギルドなどでの交換によって少しずつ埋める事は出来たけどさ。


探索で取って来た希少性の低いでもアイテム合成などで時には大化けする事もあるので簡単に捨てたりすることは出来ないし、かといって全ての合成レシピが掲示板やまとめサイトに掲載されているわけでもない。

掲載されていない項目は少しずつコツコツ自分で埋めていくしか方法が無かった。


だが今は違う。僕ちゃんにはガチャっていう強い味方がいるんだ。


DANGEONE MAKEという経営シミュレーションゲームは多くの人がプレイしている。

掲示板には如何にDPダンジョンポイントを消費せずにダンジョンを運営するかの方法が数多くのプレイヤーによって記述され、中には完全にバグを使ったかのような方法も掲載されている。

だが何故か俺のダンジョンは普通に、かつテキトーに運営していてもダンジョンはDPダンジョンポイントの消費が異様に少ない。自動で再配置リポップもしているしオート修理だってしている。通常であればもっとDPダンジョンポイントを使ってもいい様な気がするのだが、減るスピードより増えるスピードの方が速いのだ。


そこで俺は考えた……気にしないでおこう、と。つまりラッキーということで俺の頭では片づけたのだ。


さてそんなこんなで、俺は大量に余っている正直不必要とも言えるようなDPダンジョンポイントをこのガチャで一気に使ってしまおうと考えた。


迷宮主ダンジョンマスターが今回のアップデートでモンスターとしてカウントされる事になった。迷宮主ダンジョンマスターとはつまり俺の事。時には俺が攻め入って来る侵入者と対峙して戦闘を行わなければいけなくなった、という事なのだ。


だが俺は平和主義だ。暴力反対!いじめかっこ悪い。老人と子供は大切にしろ!ついでに俺にも優しくしろ!で生きているのだ。

いくらゲームだから死なないとは言っても痛覚、つまり触覚などは十分に再現されているから痛みは感じる仕様になっている。せっかく楽しくのんびり遊ぼうとしているのにどうして態々痛い思いを自分からしなくてはならいのか意味が分からない。


単純に強くなるにはレベルを上げればいいのだが、肝心のレベル上げるには戦わなければならない。つまり痛い思いをしなければいけないのだ。よって却下。

装備で強くもなれるようだし貴重で強力な装備を全身に纏って侵入者の攻撃を無効にしてしまおう大作戦に移行したのだ。


いや、一度は俺だってレベル上げは考えたんだ。

現実では剣を持って振り回したら一発で警察に捕まってしまうけどゲームの中ならそんなものは関係ない。生き物を殺しても無機物を壊しても一切問題にならないのだから。


だけど、それでも俺はやっぱり戦いたくはない。だって動きたくないんだもん。

ここは手っ取り早く強くなって無双してた方が運営に力も入れられるし一石二鳥じゃないか。


そう、これはダンジョン運営の為に時間を割くために仕方なくやっているのだ。決して楽しよう等とは考えてはいないのだ。


そんな言い訳じみた事を頭で考えながら、俺は早速設置されたガチャのポイントへと向かう。


20万ポイントを優に超え、もうすぐ30万に届きそうな程にまで溜まった俺のDPダンジョンポイント。ガチャを一回回すのに必要なDPダンジョンポイントは一回100ポイントであり、レアな道具アイテムが通常よりも出やすくなる十連ガチャをやったとしても1000ポイントだ。何より十連ガチャの方は☆☆☆以上の道具アイテムが確定で一個以上出るのも魅力的だ。

単純計算でも十連を200回以上出来るという事である。


そんなにはやらないけどさ。ガチャだけにDPダンジョンポイントを使ってしまうとその後の迷宮ダンジョン運営に支障が出てしまうから。


そうと決まればさっそく回してみよう。取り合えず100回回してみてどんな道具アイテムが出るか確認もしなくてはならない。


迷宮主ダンジョンマスタールームの一角、そこには今まで無かったはずの扉が一枚アップデートによって追加されていた。アップデート前は確か扉の前に何か置いていたような気もしなくもないが、一体何を置いていたのか思い出せないし今は放置しておこう。

扉の中は三畳ほどの小さな小部屋。中心にガチャマシーンが一つポツンと置かれ他には何もない、あまりにも殺風景な景色がそこにはあった。


「なんていうか……しょぼいな」


思わず口にしてしまった本音。しかし返してくれる人はいない。虚空に消えていく言葉が虚しく消えていく。


何ポイント使って何回回すのか、決めるのは何処なのか、そんな問題を抱えながらもガチャの前に立つといつもの様に一つの選択肢が目の前の空間に現れた。


『回す』と『回さない』の二つの選択肢。

俺は迷う事無く『回す』を選びタッチする。すると今度は『一連100ポイント』と『十連1000ポイント』の選択肢が現れる。これも迷わず『十連1000ポイント』を選ぶ。


『十連1000ポイント』の選択肢、それを押した瞬間目の前に置かれていたはずのガチャが一切触れてもいないのにガチャンと鳴り、ガチャの取っ手の部分が少しだけ光を放ち、早く回せと急かしているかのように点滅し始める。どうやら選択肢を選んだ瞬間にガチャが回されるわけではなさそうだ。

ガチャの醍醐味とも言えるガチャガチャと回すあの瞬間の感動、あれはゲームでも十分に再現されているようである。


光を放ちながら点滅しているガチャの取っ手、それをしかっり握って勢いよく回す。


ガチャガチャン……ゴトッ。


一回しか回していないのに落ちて来たガチャ特有のカプセルは全部で十個。十連だからと言って十回回すわけではなく、一回回すだけでいい様だ。

100回程十連を回そうとしていた俺にとっては朗報である。もしも一回一回回さなければならないのであれば単純に1000回も回さなければならず、ゲームの中であっても腱鞘炎になってしまうのではないかと危惧していたからだ。


記念すべき一回目の十連ガチャ。その成果は、

毒消し草(☆)

良薬草(☆☆)

上薬草(☆☆)×2

鉄鉱石(☆)

紅玉ルビーの指輪(☆☆☆)

肉(☆)

ハチミツ(☆)

大王イワナ(☆☆)

むれアジ(☆)


やっぱり一回目からそんなにレアな道具アイテムは手に入らなかった。


狙っていたのはもちろんレア度の高い武具であり、俺がレベルを上げなくても侵入してくる冒険者をケチョンケチョンに出来るやつだ。一回目で出て来た防具としては紅玉ルビーの指輪ただ一つで、他は探索でも幾度となく手に入れて来たものばかり。


レア確定で手に入れた紅玉ルビーの指輪は火属性の魔力を有している魔法防具らしく、『防御力+5』の『火属性耐性(弱)』が付いている初心者が最初に買うような装飾品アクセサリー

今の俺でも装備すれば多少なりとも効果は発揮するがすぐに焼け石に水になってしまいそうな防具。加えて俺のダンジョンは水と闇の属性を持つ迷宮ダンジョンであり水属性のモンスターは元々火属性に対する耐性を持っており、この防具は闇属性のモンスターにしか装備しても意味をなさなそうだ。


装備ですぐにでも俺自身の強化とあわよくば各階層のボス強化が出来るかな?などと思っていたので、正直ガッカリ感が強いが仕様がないのでここはいい方向に考えよう。

後99回も回せることを考えて、未だ見ぬ強い武具に胸を躍らせて俺は再びガチャへと向き直った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ