飴店のオッサンは愚痴を聞く1
ラズから通信が入った。
なんかストレスが~と言ってたな。
『アティウス!聞いてよ!ニフィロ君まで求愛行動取ったんだよ!』
ラズが言った。
「ニフィロも男になったんだな。」
あのチビでラズのあとをついて回ってたガキが求愛行動だと、俺も年をとるはずだ。
俺は、アティウス・ギーデル、ここギーデル飴店の店主だ。
ラズデアナ・カザフとは傭兵学校時代からの親友だ。
あいつは、高等剣士だか、
俺は下等戦士だ、
まあ、剣だの弓だの槍だの一通りしたが、
どうしても秀でるもんがなくてな。
俺も傭兵ギルドに登録しているが依頼はきたためしがない。
『ああ、ヨウカンが嬉しすぎて、ダウリウス様のところよるの忘れた!』
ラズが言った。
ダウリウス傭兵ギルド管理官長か。
あの人もラズに惚れてたな。
あいつは、まだ擬きだと思ってるらしいが。
「ダウリウス様、そのうち呼び出しか?それより行くな。」
俺が言うとラズが頭を抱えた様子が画面ごしに見えた。
『どうしよう、この間なんか、私の背中を任せられるのはお前だけだ、帰ってこいって言われてるのにー!』
ラズが言った。
そりゃ完璧プロポーズだろ。
グーレラーシャ人の女性が昔から言ってもらいたい言葉ナンバー1の。
「強制送還あるかもな。」
王都に来たのに顔見せないのは不味い。
『私は、デリュスケシの生活が気に入ってるんだよ。』
まあ、そうだろうな、昔から自分はニホンジンでこの肉肉しくてしょっぱい生活に耐えられない~。
魚~、リョクチャ~、薄味~ってたからな。
ま、戦闘訓練のあとはおとなしく食べてたが。
本当に日本人って人間がいたの知ったの
異世界の賢い黒ウサギが来たときだし。
それまで半信半疑だったな。
あいつは、れっきとしたグーレラーシャ人だけどな。
『謝っちゃおうかな、素直に。』
ラズが言った。
「良いんじゃないか?」
それを逆手に取られても俺は知らんが。
『そう言えば、アティウスにも会わなかったよ、ごめん。』
ラズがボソリと言った。
案外律儀なヤツ何だよな。
「ま、今度来たときで良いぞ、うちのヤツも喜ぶし。」
妻のミリシェルムはラズを傭兵学校時代から御姉様と慕っている。
『うん、よらせてもらうよ、ミリシェルムちゃん元気?赤ちゃんは順調なの?』
ラズが言った。
「ああ、ミリシュルムも元気だし、胎児も順調だ。お前も早く誰かとくっつきゃいんだよ。」
ダウリウス様でも、あった事ないが、リュケシウスさんでも、ニフィロでも
ま、くっいたら当分こいつ会うときは男に抱き上げられてだが。
想像がつかないな。
『遠慮するよ、坊っちゃんなんて争いのもとだよ。』
誰と争うんだよ。
第一お前は仮にも王宮に出入りが許された
カザフ家の跡取りのお嬢だろ。
上級貴族じゃないが貴族なんだから
相手は、どう転んでも貴族のぼんに決まってるじゃないか?
「ま、がんばれ。」
適当に応援しておいた。
おい、ラズ、俺はお前の愚痴きき係じゃないぞ。
まあ、良いけどな。