戦闘文官は平和惚け2
今日は通常業務だよね。
2日連続の戦闘はきつい。
「さて、今日は手作りふりかけに目玉焼きかな?」
朝御飯は一日の活力源です。
「おはようございます。」
私は言った。
「ラズ、おはよう、昨日はお疲れ様。」
リュケさんが微笑んだ。
傭兵ギルドの仕事はよっぽどの事がない限り最優先だからな。
グーレラーシャ傭兵国だから。
リュケさんいつでも早いな。
「昨日はすいません。」
でも、謝るのが日本人だよね。
「いいんですよ。」
リュケさんが言った。
「カザフ外務担当官、漁協の人が来てますよ。」
漁協の人?なんの用だろう?
「昨日はご活躍だったそうですね。」
漁協の人...アーデギースさんは言った。
「...いえ、別にそんなことありませんよ。」
何か押し付ける気だ。
この狸親父。
「ご謙遜を。」
狸親父が笑った。
てっぺん禿げがキラリと光った。
「なんのご用ですか?」
私は言った。
「ええ、ちょっとギレマエリを港から追い出して頂きたいんですよ、戦闘文官様。」
アーデギースさんは言った。
ギレマエリだとー!
サメじゃないかー!
巨大ザメ....。
「専門業者に頼んでください。」
冗談じゃないよ。
「業者何か、近くにありませんよ。」
アーデギースさんは言った。
「ハア、私は、警護官じゃないですよ。」
警護官にさせろよ。
「警護官よりお強い、高等剣士様、お役人でしょう?」
アーデギースさんは言った。
税金払ってるんだからやりやがれって感じかな?
「...わかりました、やりますよ。」
ハア、平和主義者なのに今日も戦闘かぁ。
「僕も行きますよ。」
リュケさんが言った。
「こりゃ、悪いですね。」
アーデギースさんが言った。
さすがにリュケさんは引っ張り出す気はなかったらしい。
あー、でもリュケさんもお強いですよ。
ちゃんと茶色の一本みつあみのなかに何か武器仕込んでるし。
首守るために縦襟だし。
私よりよほどグーレラーシャの武人ぽいよ。
「では、行きましょうか。」
私が見てるとリュケさんが微笑んだ。
武器はドーリュムの伝統的な槍だったね。
「あ、剣取ってきます。」
また、ロッカーだよ。
ま、普段はいらないし。
ギレマエリは港をぐるぐるしてたよ。
「どうするかね。」
私は呟いた。
「追い出しましょう。」
リュケさんは微笑んだ。
「では、やりますか。」
漁協が用意した小船に乗り込んだ。
「ありがとうございます。」
アーデギースさんが言った。
ああ、もうこの狸親父に頼まれたくないよ。
服がぬれまくりだよ。
「ギレマエリは港の外側に追い出しました。」
リュケさんが言った。
「本当にありがとうございます。」
アーデギースさんが言った。
「これはお礼です。」
魚の干物セットを渡された。
ワイロか?
...違うな、単なるお礼だ。
「僕、もらっても困るな。」
ああ、リュケさん自炊じゃ無いもんね。
使用人いるんだっけ?
「スープに入れると美味しいですよ。」
アーデギースさんが言った。
私は、焼いて食べます。
塩が強いけど。
「カザフさんが作ってあげれば良いじゃないですか?」
アーデギースさんがニコニコ言った。
「それは良いですね。」
リュケさんが微笑んだ。
「私、料理下手なんで。」
正確にはグーレラーシャ人には合わない。
日本料理愛好者...なんちゃってだけど。
味がまず薄いのがネックかな?
「気持ちがこもってればどんな料理も食べられますよ。」
アーデギースさんがニヤニヤして言った。
「ま、機会があれば。」
私は誤魔化した。
帰り道濡れた体をバスタオルで拭きながら
歩いてたらリュケさんに抱き上げられそうになって回避した。
あー、ヤバかった。
一回でも許せば抱き上げられまくりがデフォだからな。
回避するのが一番!
明日こそ平和惚けするぞ