戦闘文官は前世の夢を見る。
身体が重いよくわからない...。
まぶたが空かない....。
見たくもない夢を見た...。
前世の記憶...。
『私』は一方的に罵られてる。
豪華な屋敷の居間で...。
今の実家の居間の方が上品で豪華だけど。
旦那はいるのに顔がわからない。
たしか旦那に良家のお嬢様との縁談が持ち上がったんだ。
それで元々『私』の事が気にくわないお義母様が最後通告出したんだった。
お嬢様と旦那をくっつければ
家の格が上がるからって。
別れるのいやがったら言われた。
『あなたのような女狐に○○○○の嫁は務まりませんわ。』
上品な奥様のはずのお義母様の顔の方が狐のようだと思った。
紫に染めた上品なパーマの髪の毛に狐の耳が見えるようだ。
いつも穏やかな目はつり上がり狐目だ。
『出ていきなさい!手切れ金は差し上げるわ!』
お義母様が分厚い封筒とボストンバックを『私』に投げつけた。
それから『私』はどうしたんだっけ?
ああ、逃げるようにその街を出たんだ。
子供もいなかったし。
旦那はおってこなかった。
離婚したかも覚えてない。
死んだ理由も...。
親がいたのは覚えてる。
超庶民だけどいい家族だったよ。
親の顔も兄弟の顔も覚えてない。
覚えてるのはお義母様の顔だけだ。
あの人嫌い!
なんだ、私が嫌だったのは...。
坊っちゃんじゃなくて...。
お義母様だったのか...。
悪かったな、拒否して...。
あとは...『私』なにしてたんだ?
職業なに?
資格取らなかったのかな?
なんか使える知識は....。
ないよー、日本料理は
自分用だし。
明日から使えない無駄知識ばっかり。
パソコンのエクセルの使用方法いらないや。
だって大型通信機もっと性能いいんだよ、
このまま死んだら記憶は残るのかな?
残らないといいな。
最後が誘拐犯人の腕の中なんて悲しすぎる。
残るのなら....。
楽しい事がいいな。
苦労して天ぷら擬きを揚げたとか。
傭兵学校の記憶でもいいよね。
ちび幼児時代でもいいや。
死んだらどこにいくんだろう。
日本人には戻りたくないな。
もう、辛い記憶は要らないや。
あれ?なんか聞こえる?
誰か話してる。
『悪徳王子だな、お前。』
悪徳王子ってなに。
『余計なお世話です。』
何?それ?
『まあ、いいけどさ。』
何がいいんだろう?
『ラズデアナ、可愛い。』
ラズデアナは今の名前だけど。
日本名はわからない。
なんだっけ?
まだなんか言ってる?
『着替えさせたんだ。』
着替えさせる?
『可愛すぎですよね。』
可愛すぎ?何が?
死に装束だったら嫌だな。
『そろそろ、起こしたらどうだ?』
....起こす?
『そうですね。』
「ラズデアナさん。」
遠くで聞こえた声が近くなった。
意識が深い底から戻る。
「気分はいかがですか?」
その麗しい顔がいつも以上に近くにあった。
.....あれ?私、覆面海賊に誘拐されたんだよね。
なんか術みたいなので眠らされて...。
あなた、悪徳王子なんですか~。
なんで誘拐するの~?
私は平和に暮らしたいだけなのに~。




