お母さん、心配する。
『ええ?いやだよ。』
通信機の向こうで
家の可愛い跡取り娘が言った。
「ヒフィゼ本家の先代ご当主様からのご指名よ、逆らえると思ってるの?」
私は言った。
『おばば様だけならいいけど。』
あの子は子供の頃から先先代ご当主の事が好きだった。
「ともかく、私もいくから帰ってらっしゃい。」
私は言った。
私はカザフ家の当主のローセアリア・カザフ。
娘がデリュスケシの生活をはじめて3年
どうしてるのか気になる毎日なのよ。
家の可愛い跡取り娘は昔は小さくて食が細くて言葉がおぼつかない。
心配事ばかりの子供だったわ。
文字も読めないし。
あんまりにもかわいそう過ぎて
幼年学校入学何年か遅らせようとしたのに
お母さんがいかせなさいってうるさいし。
「ただいま。」
大きくなった娘はテンション低く帰ってきた。
「お帰り、じゃあ行きましょう。」
問答無用よ。
「ええ~、休んでからいこうよ~。」
娘は文句を言った。
家の可愛い跡取り娘は
赤い長い髪、茶色の目の人並みの容姿のグーレラーシャの女性だ。
本人は冷静沈着のつもりでも
ダウリウス様も私達も
ラジュリアニャ時代知ってるしね。
「すぐ、いくの。」
私は椅子に腰かけようとしてた娘に言った。
「わかったよ。」
娘は渋々言った。
「おばば様、ラズデアナ・カザフです。」
娘が言った。
先代ご当主はまだげんきだわ。
「チュッチュちゃん来たんだね。」
先先代ご当主が言った。
いうに事欠いてチュッチュちゃん?
「おばば様、チュッチュちゃんはちょっと。」
娘が言った。
「じゃあ、ちびちゃん、いつ頃家の嫁に来るの?」
先代ご当主が言った。
跡取り娘なんだけど。
「予定はないです。」
娘は言った。
「ふーん、じゃあダウリウスが婿にいくんだね。」
先代ご当主がいった。
さすが、閃光の外務担当官長と
言われてた時のきらめきが残ってるわ!
「そんな、めっそうもないですよ、ダウリウス様は私にもったいにゃ...むった..みったいにゃ」
ああ、動揺してる。
「ちびちゃんが家の孫をもらってくれる時代が来たんだね。」
あ、決定ですか?
「御断りいたします。」
ラズデアナがはっきり言った。
よっぽど嫌なんだ。
あの子がはっきり言うなんて。
「...何が御断りなんだ、ちび。」
あー、本人登場!
「ダウリウス様を婿なんておそれ多いです。」
ラズデアナ、本音言った方がいいと思う。
「...わかった、いつでも婿入りしてやる、だからこっちにこい!ちび。」
ダウリウス様がラズデアナを抱き締めようとした。
あ、逃げた。
「ふーん、まだまだ、チュッチュちゃんは家の子にならないんだね。」
先代ご当主が呟いた。
ねぇ、ラズデアナ、いい加減諦めて
ダウリウス様婿にとりなよ。
嫁入りは絶対に阻止するからね。




