色彩の極意
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さて、今回の話は短いですが、意味深なことが書かれています。今は意味が分からなくとも(原作をプレイされた方は分かるかもしれませんが)、頭の片隅に留めておくだけで、今後の展開が楽しめると思います。
ギャリーが廊下を進むと、青い鬼の人形が壁に寄りかかっているのが見えた。
(あら?元の場所に戻ったのかしら?)
「ねえ、なにしてるの?わたしも、一緒に遊びたい。」
ギャリーは後ろを振り返る。いつの間にか、後ろにも青い鬼の人形があり、ギャリーを見上げていた。ギャリーは走り出し、目の前の扉に飛び込む。
部屋の中には、本棚が並んでいた。ほとんどが美術関係のもののようだった。壁には、「書物の持ち出し禁止」と書かれた張り紙が貼ってある。
「なにか、ヒントはないかしら。」
ギャリーは、この美術館の謎を調べようとしていた。美術館の謎を明らかにすることで、出口も見つかるのではないかと考えていた。ギャリーは、本棚の中から一冊取り出してみる。
『ゲルテナ作品集(上)』
ギャリーが適当にページをめくると、この場所で何度も見た絵が載っていた。絵から上半身を乗り出して、追いかけてくるあの絵だ。
『赤い服の女』
当時はゲルテナの愛人をモデルにしたとも言われていたが、本人の口から否定の言葉が出た。実際は、ゲルテナの遺産を狙い、言い寄ってきた醜く傲慢な女性たちをイメージして、残したものとのこと。
「この絵に、こんな由来があったなんてね。絵に込められた想いが、正確に反映されているわね。」
他のページもパラパラとめくってみたものの、有力な情報はなさそうだった。ギャリーは、『ゲルテナ作品集(下)』を探してみたが、近くには見当たらなかった。ギャリーは、他の本を取り出す。
『この世の定理』
存在を交換することにより 空想が現実に成り得る
本の冒頭にこう書かれてあった。どうやら、美術関係の本ではないらしい。ざっと全体を目を通してみたものの、あまりにも現実離れした話で、とても信用できるものではなかった。
「意味分かんないわ。」
ギャリーは、『この世の定理』を本棚に戻し、隣にあった本を取り出した。
『恐怖』
一人でいると 恐ろしい
二人でいると 安心できる
三人でいると ・・・
「破れていて、読めないわね。―イヴたち、大丈夫かしら。まあ、二人でいるから、まだよかったわ。」
ギャリーは、さらに隣の本を手に取り、開く。
『色彩の極意』
「ん?」
ギャリーが本を開くと、何かが本からこぼれ落ちた。床を見ると、緑色の球体が落ちている。
「これ、絵の具玉だわ。」
ギャリーが絵の具玉を拾う。すると、絵の具玉はすぐに消えた。ギャリーが顔を上げると、重い音が部屋に響いた。音のする方に目を向けると、本棚がゆっくりと動いていた。
「まだ奥にも部屋があったのね。」
ギャリーは、部屋の奥に進む。