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カサをなくした乙女

 どうやら、また評価してくださった方がいるようです。ありがとうございます!拙い物語ですが、これからも少しでも楽しみながら読んでくださると幸いです。

 ここで、この物語について少し補足説明をしておきます。イヴとメアリーの二人は、ギャリーのいる階のちょうど真上にいます。私が原作をプレイしたとき、少し混乱した記憶があるので、一応指摘しておきます。そういえば、イヴとメアリー、階段上ってましたね。

 イヴとメアリーは、机の上にマネキンの頭部がいくつも置いてある部屋にいた。部屋には、崖の上に立っている女性の影が描かれた絵が飾ってあった。イヴは、その絵のタイトルを見る。

『カサをなくした乙女』

「これ、すごく重たいね。落としたら、危ないよ。」

 メアリーが、机の上に置いてあるマネキンの頭部を触っている。メアリーは、マネキンの顔を覗き込む。

「なんかこれ、生きてるみたい。」

「怖いこと言わないでよ、メアリー。」

 イヴがメアリーの方を見ると、不自然に傾いているマネキンの頭部が目に入った。イヴは机に近づく。鍵がマネキンの下に挟まっているようだ。その鍵は、木でできているようだ。

「あっ。イヴ、鍵見つけたんだ!でも、これ普通の鍵と違うみたいだね。」

 メアリーの言った通り、マネキンの頭部の下にある鍵は、普通の鍵よりも大きかった。とても鍵穴に入りそうにない。

「これ、机の上から落とそう。」

「え、これ落とすの?たぶん、割れちゃうよ。それに、この鍵、何の役に立つかもわからないし―」

 メアリーが表情を曇らせる。イヴも、美術品を壊すということはできる限りしたくはなかった。しかし、鍵を取るためには、マネキンの頭部を落とすことしかなさそうだった。

「この鍵、きっとなにかに使えると思うの。いままでも、そうだったし・・・。」

「まあ、イヴがそこまで言うなら、とめないけど・・・。」

 イヴとメアリーは、壊さないようにしながらマネキンの頭部をどかそうとしたけれど、案の定、マネキンの頭部が床に落ち、割れてしまった。

「あーあ。見てよ、イヴ。床にヒビ入っちゃったよ。しかも、変なガスみたいなの出てるし・・・。」

 マネキンの頭部が落ちた場所から、赤いガスが出ていた。そのガスに匂いはなかったけれども、部屋がわずかに暑くなってきたみたいだった。

「他に何もなさそうだし、他の部屋に行ってみようよ。」

 イヴは、メアリーに手を引かれ、部屋の外に出る。

 部屋の外に出て周りを見渡すと、赤いガスが床から吹き出しているところがあった。その向こう側には、扉があるようだった。

(さっきのガスと同じところから出ているのかな・・・)

「あれ?イヴ、なにか釣れてるよ!」

 メアリーが、『釣り人』を指差し駆け寄る。イヴが近寄ってみると、確かになにか釣れていた。表情が見えない『釣り人』だけれども、どこか誇らしげに見えた。

『釣り人』は、釣れたものを、絵の外に投げ出す。二人は上手くそれをかわす。

「傘?なんで、こんなのが釣れるの?」

 メアリーが首をかしげる。イヴはその傘を拾うと、さっき出てきた部屋に戻る。部屋に入ると、まっすぐ『カサをなくした乙女』の前に向かう。

「これ、あなたのカサでしょ?」

 イヴは、『カサをなくした乙女』に赤い傘を差し出す。しかし、『カサをなくした乙女』は絵の中から出てこれないのか、手を出すことはなかった。イヴは、思い切って傘を絵の中に放り込む。すると、傘は絵の中に吸い込まれていった。

 『カサをなくした乙女』は、絵の中に入っていった赤い傘を手にする。すると、ゆっくりと傘を開き始める。乙女が傘をさすと、イヴの肩に冷たい何かが落ちてきた。水のようだった。水は徐々にその勢いを増す。

「え?え!?部屋の中なのに、雨が降ってきた!?」

 部屋に入ってきたメアリーが、驚きの声を発する。イヴは上を見上げるが、雨雲はなく、雨は部屋の天井から降っているようだった。イヴは、絵のタイトルが変わっているのに気がついた。

『傘をさす乙女』

「このまま、この部屋にいるとカゼひいちゃうよ。早く外に出よう!」

 メアリーはイヴの腕を掴むと部屋の外に引っ張る。イヴは部屋を出るとき、床にできたヒビに、水が流れ込んでいるのを見た。


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