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覚醒世界のカタルシス  作者: 朝露 壱
第1章 ―Awakening―【覚醒】
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Episode:04 The world which ends 【終わりを告げる世界】

――そこに在ったのは絶望と闇。希望と呼ばれる何かは無かった。ただ、在るのは底知れぬ闇と絶望、そして目の前に広がる非現実世界だけだった。


【英雄カオスの記、第四章より。】





「毎度ありー!」


取りあえず売店で回復薬(ポーション)を買って街をうろついてみることにした。

初期のタウン(アイリスタウン)にいたほうが何かと安全という事で、此処からは動かないようにしている。

――寝床と化したギルド基地に向かおうとした最中、フッと、タウンの路地裏が気になった。

タウンの路地裏をソッと除いてみると、確か召喚師(サマナー)という職業の装備をした少年PCプレイヤーキャラクターと、その少女に何かを話している男性PCプレイヤーキャラクターが三人くらい居た。

一人は剣士ソードマスター、二人目は魔法使い(メイジ)、三人目は双剣士(ツインソード)だった。


「――だから、コレ以上ッ・・・」

「――・・・あ?何ほざいてんだテメェ。俺たちギルドメイトだろ?」

(言い争い・・・か?)


しばらく様子を見ていたが、なんだかどんどんヤバそうな話になっていっている。

・・・此処からでは、良く話が聞こえない。

もう少し近付こうとして、前へ進むとガランッという音が足元で鳴った。

足元を咄嗟に見ると何故かそこには【空き缶】のアイテムが転がっていた。


「しまっ・・・」

「盗み聞きしてたのかよ、コイツ」


顔を上げると目の前に立っていたのは剣士(ソードマスター)PCプレイヤーキャラクター

だが、タウンでは戦うことは出来ないはず・・・なんて思った俺が馬鹿だった。


「【雷撃】!」

「!?なっ・・・」


男の装備していた細身の剣に雷のエフェクトが纏い、俺に襲い掛かる。

咄嗟に避けたが若干ダメージを負って、痛みに耐えていると少年PCプレイヤーキャラクターが俺のところまで駆けつけた。


「だ、大丈夫ですか!?」

「だ、大丈夫・・・っていうか、何で攻撃、出来て・・・」

「此処はPKプレイヤーキラー可能な場所ですよ!は、早く路地裏から出れば――」

「そうはさせるかよ!」


今度は双剣士(ツインソード)が攻撃を繰り出してきた。

二つの剣には炎のエフェクトが纏っている。

俺は即座に頭の中で陣を思い描いた。


「【魔道砲】!」


掌から何か巨大なエネルギーが集まっている感覚を感じながら俺はソレを前方へ向けた。

光の一閃が男達に向かい、ソレは直撃する。


「す、凄い・・・」

「クッソッ・・・」


今度は魔法使いの(メイジ)PCプレイヤーキャラクターが杖を振り上げた。

その杖の周辺に黄色い粒子が集まる。


(ッ・・・来る・・・!)

「【大地の魔弾(アース・ボール)】!」


ドンッと言う音と共に発射された魔法は俺に向かって発動される。

直撃だけは避けないと、と思って俺は避けようとしたが。


「!?なんっ・・・」


足が動かない。

足元を見てみるとまるで縫い針のように俺の影を黒い針が刺さっていた。


「まずいっ・・・」

「【水霊の盾(アクエリア・シールド)】!」


――ドガァァッ


目の前で弾ける魔弾に俺は、その水で出来たシールドと精霊を召喚した少年を見る。


「だ、大丈夫ですか!?」

「チッ・・・」

「貴様等!闘技申請を行わず何をしている!」

「ゲッ・・・管理者だ!逃げるぞ!」


去っていく男達に俺はポカン、とする。

すると少年が俺のほうまで寄ってきた。


「よ、良かった・・・無事で・・・」

「あ、や、・・・スゲェな。お前、強いんだな・・・」


レベル表示を見てみると、少年はレベル60だった。

それなりに強い事がわかった俺は苦笑する。


「いや、それほどでもないです」


照れながら少年は笑った。

その後、何か言いたそうな少年に俺は首をかしげた。


「あ、あの。よ、良かったら・・・ギルド、入りたいんですけど・・・駄目、ですかね」

「え!?うーん。・・・別に俺は構わないよ」

(そのほうが情報も早く集まりそうだし・・・それに、メンバーは要らないって言ったけどやっぱり入りたいって言ってる人は入れてあげたいな)


俺は赤いクリスタルで出来た鍵を彼に手渡した。


「わぁー!アリガトウございます!」

「なぁにしてるのー?ソーヤ君?・・・と、《ラルク》?」

「あ、サクラさん!」

「え?知り合いなんですか?」


二人は楽しそうに話し合ってコチラを振り向いた。


「あ!えーとね。ラルクは現実(リアル)での友達なんだ!」

「へぇー・・・そうなんスか」

「で、さ。何々?ギルド作ってたんだ?ソーヤ君!」

「え?・・・ハァまぁ」


サクラさんは相変わらずハイテンションで、俺に急接近してきた。

俺はポケットから赤い鍵を取り出しながら、


「サクラさんも入ります?・・・ギルド」

「え?いいの!?わーいアリガトウ!」


鍵を貰って大はしゃぎするサクラさんに少年――基ラルクも苦笑してみていた。

――なるほど。現実(リアル)の友達、か。

有名なオンラインゲーム・・・なら、俺ももしかしたら知り合いが居るかもしれない。

マサト以外の、知り合いとなると、なんだか嫌気が差してきた。

記憶が無いだけに・・・俺は、会ってもきっと赤の他人としか認識できないだろうから。


「取りあえず・・・ギルド基地に行ってみます?」

「は、ハイ!」


ラルクとサクラさんは俺の後を付いてくる。

此処からは歩いて約1分で着いた。

ゲームなのだから、短縮されているといえば当たり前なのだけれど、違和感を拭い去れない。


「此処です」

「へぇー・・・。結構大きいんだね」

「あ、あの。他にもギルドメンバーって居るんですか?」

「一人だけ。俺の親友です。マサトって言うんですけど」

「ふぅん。今度会えたら話し掛けようかな」


サクラさんはウロウロとギルド基地を歩き始めた。

ラルクは・・・俺の隣でおどおどしながら立っている。


「・・・ラルクさん」

「あ、ラルクでいいです」

「じゃあ、ラルク・・・何でさっき、路地裏で揉めてたの?良かったら、話して欲しいんだけど・・・」


するとPCプレイヤーキャラクターの表情が硬くなった。

その表情に首をかしげながらも待っていると口をゆっくりと開いた。


「・・・僕、前まで【ナイトローズ】のメンバーだったんです」

「え?」


マサトから聞いた、あの最強巨大規模のギルドだっていう【ナイトローズ】。

男達は先ほどギルドメイトと言っていた。

つまりは――【ナイトローズ】のギルドメンバー。


「・・・その、今の【ナイトローズ】は治安が悪くて・・・僕も、ギルドメイトの人たちにゴールドとか・・・アイテムとか盗られてて・・・」

「……治安」

そうか、巨大に成ればなるほどギルド長の手も届かなくなって――治安が悪くなる。

「そうか。・・・って待て。俺、つまりはそいつ等のケンカを勝っちゃったって事・・・だよ、な?」

「・・・すいません」

「いやいやいや、謝らなくていいんだけど・・・」


どうしよう。

そんな風に考えていたら急に後ろから腕が回された。


「大丈夫!サクラも居るしそれに友達も居るんでしょ?だったら安心だよ!いつでも呼んで頂戴!手伝うからッ!」

「・・・ありがとうございます」

「ぼ、僕も手伝いますッ・・・元々、僕の所為でもあったんだし・・・」


ラルクはギュウッと杖を握る力が強まったのが判った。

きっと画面の向こうでコントローラーを強く握っているのだろう。

・・・俺はゲームから出れないことを話そうか、少し迷ったが。

・・・結局話してみることにした。

何か情報があるかもしれない。

俺は今まで自身に起きた、全ての事を話した。


「ゲームから、出れない・・・」

「そんなこと・・・」

「・・・普通は在り得ないけど、実際に、起こってるんだ。・・・現実の俺は倒れて、意識不明で、植物状態になってるらしくて」


するとサクラさんが何かを考えるそぶりをして、ポンッと手を打った。


「最近起こってるネット中毒による意識不明者・・・あれはもしかしたら・・・」

「・・・でも、確証は無いですよ?」

「そーなんだよねー・・・うーん・・・」

「あ、あの。別に俺は急いでる訳じゃないですし・・・もう少し、様子見して、情報を集めてくれれば・・・」

「うん。そうだね。・・・もし必要になった時、私を遠慮なく呼んでね。ソーヤ君」

「僕も・・・信じがたい話ですけど・・・でも、実際にソーヤ君がそういってるなら信じるしかありませんし・・・」

(俺の言葉だから、信じる・・・?)


その言葉に首をかしげていると、二人は何故か顔を真っ青にした。


「職業《魔術師》、PCプレイヤーキャラクター名ソーヤ。レベル不明。・・・バグと認識し、アカウントを停止する」


後ろを振り向くとそこに居たのは昨日、サクラさんと出逢った《管理者》。

ミナトと表示されたログに、騎士の様な白銀の鎧と【聖なる剣】と呼ばれる装備を纏った、PCプレイヤーキャラクター


「うわッ・・・昨日の・・・!」

「先ほど連絡を受け、駆けつけてみたら・・・貴様達だったか。・・・昨日のこともある。ただで済むとは思うな」


ブゥンッという音と共にミナトの前に画面が現れた。


「――アカウント停止――・・・何・・・?」


顔を歪めた彼は、、即座に画面を色々と弄ったがその表情は歪んでいくばかり。


「こんな事が・・・」

「・・・?」



――《―――♪》



「・・・あ・・・」


また、あの歌だ。

ザザ、ッという音と共に、世界にノイズが走る。


「・・・!」

「なんですか・・・?コレ・・・」

「あのときの・・・」


歌は全員に聞こえているようだった。

俺は顔を上げる。

そこに居たのはやはり、あの、銀色の長髪の少年だった。


「この様なBGMは存在しないはずだ・・・!」


ザザ、ザ、と。

一掃酷い、ノイズが走った。

蒼い文字の羅列が走る。



【世界は光を喰らい、闇を生み出す。いっそう強く輝きだしたのは、闇か・・・それとも、対抗せし光か。どちらにせよ、世界の真理(ルール)には逆らえない――、神は、存在するのだ】



――ドンッ


身体に衝撃が走り、まるで重力が全て自分に乗っているような感覚。

何とか眼を開けるとそこに広がっていたのは永遠だと思うような闇。


「ぐっが・・・」


ザザザ・・・というノイズの音が耳を劈く。

――世界は暗転する。

そして自身の意識は闇に沈んでいくのを――感じた。





「眼・・・覚めたか?」


目を覚まして、まだ虚ろな意識のまま周囲を見渡した。

此処はどうやら、ギルド基地らしく、男が目の前で立っていた。

見知らぬ男ではなく、見知った男だ。


「マサト・・・?」

「・・・オイ、どうなってんだよ。コレ」


それはマサトの声では無かった。

更に周辺を見渡してみると、見知らぬ男が困惑したような表情でサクラさんに聞いている。

何を、言っているのかイマイチのまま、身体を起こした。


「大丈夫か?ソーヤ。気分は?」

「・・・大丈夫。・・・マサト。今、どうなってる・・・?俺、気を失ってて――」


マサトの表情が変わった。

明らかに何かあった表情。

マサトは、しばらく沈黙してから、俺に口を開いた。


「――戻れねぇんだ」

「・・・え?」

「・・・幾ら、探しても見当たらない。《β(ベータ)》が・・・無いんだ」

「・・・それって――」


嫌な予想が頭を過ぎる。

自分が今置かれている状況と同じ。

マサトは、自らの右手を少しだけ切った。

そこからは、赤い血が流れる。


――ゲームの世界なら、直ぐに止まるはずの。



「――お前と同じだ。ゲームをやっていた人間全てが・・・ゲームの世界に、入っちまった」

一応ジョブ紹介しておきます。


魔術師(ソウルマジシャン)剣士(ナイトマスター)退魔師(エクソシスト)魔法使い(メイジ)双剣士(ツインソード)召喚師(サマナー)医療術士(ヒールマスター)


未登場

錬金術師(アルケミスト)銃使い(ガンナー)at・・・(増えるかもしれません。多すぎる気もしますが・・・(汗))

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