南の策略2
すいません、電車寝過ごして途中でてしまいました、お詫び申し上げます
あまり見る余裕がなかったが、改めて高いところからよく見ると東とは違うことがよくわかる。
南とは違って砂漠というわけでは決してないのだが、東のように森は一切なく、背の低い木々や下草などが広がっている。
「そういえば、南とここの国境はどういう基準なんですか?」
俺の記憶が正しければ、平地に点線で線が一本引かれていただけである。
「ない、昔は大きな川があったらしいが、それも数十年前に枯れてそれ以来は明確な基準のないままだ」
「焔?」
こいつ意外と勉強してるんだな。
外見と中身は別物ってやつだろうか?
「俺がこういうこと言うと大抵みんなそんな顔をしやがる! 俺そんなに勉強できなさそうに見えるか?」
「いえ、しなさそうには見えるけど……」
「浅葱、それフォローになっていないからな!?」
「もともとする気はないもの、お気になさらず」
「いやいやいや、気にするから気にするからなおい!」
おう、こいつ口開いてなかったら危なそうなやつだけど、口開いていたら開いていたで、柚木みたいな残念な奴だな。
本人が聞いたら怒り出しそうなので黙っておく。
「明日は俺たちは残り組だからな」
そう、明日は俺たちは残り組。
美咲と柚木だけが運悪く偶数クラスのため外に出ることになる。
まあ、当人はそんなこと気にしておらず、男の姿だから、周りに気にせず食べれるとふざけたことを抜かしていた。
まあ、食費は俺たちが持つわけじゃないし……っていうか、国破綻しないよな?
そんな馬鹿な話はないと分かっていても不安になる食欲だ。
あれで、巫女なのだからあれを許容する神という存在はどれほどに慈愛に満ちて……いや、むしろ俗物的なのか?
柚木は柚木で、ホームシックになっている。
「帝国って魔獣の侵略を今まで止めてきたんですよね?」
「そうだな、とはいっても、知識や技術は他の三国から集められてきているわけだがな」
この街はどうやって、攻撃を凌ぐんだ?
城壁もなければ、柵があるわけでもない。
「何か? 不思議そうな顔をしているが?」
「いえ、どうやって攻撃を防ぐのかな……と」
「結界だよ。この街はこの学園の……いや、教会の結界が防いでくれるんだ。もちろん、祈るのは俺たち学生の仕事だがな。学者よ」
この学園に来た時に与えられた俺の留学生としてのレッテルは戦闘はまったくだが、逃げ切るのと覚えることが得意なので『逃げ切り学者』。
何ともセンスのない……。
ま、定着したものを覆すのは難しい。
『諦めが早いのう』
『お前みたいに駄々こねてる暇なんてないからな』
『ワシが神なのは事実であって妄想ではないぞい!』
『はいはい……』
適当に流しておく。
でも、まあ、逃げ切り学者ね……。
実態とは程遠いな。
『暴れたい放題じゃからな』
『おい、それは……あれ? 否定できないぞ……』
さて、どうしたものか?