西の学園3
「こちらが、東の留学生ですの。以上!」
え!? この教室に放り出していくのか!?
他の明達は違う教室に行くらしく教室の外に連れていかれる。
『ひとりぼっちじゃな』
『何とかするしかないか……』
聞こうと思ったが、やめた。
結局、答えてはくれないのだろう。
いや、答えてくれたとしても、今の俺では理解できないのだろう。
「……大丈夫ですか?」
「え、あっ! はい。 東の学園から来ました。浅葱です、こちらのルールはあまりよくわかっていないので、失敗するかもしれませんがよろしくお願いいたします」
拍手と歓声が起こる。
ここで、突然、扉が開いて
「質問がある人は休み時間に聞くようにしなさいよ!」
と、言葉を残して生徒会長は去って行った。
間がいいな……。
しかし、質問か……そんな設定深く作ってないんだけど、大丈夫なのか?
……ま、なるようになるか。
『しかし、気が澱んでおるんじゃのう』
『ん? 風なら吹いているぞ』
『いや、こちらの話じゃ……』
授業に入る。
内容は、あっちではやらなかった法学である。
記憶能力が高くて助かったぜ。
これなかったら、ヤバいな……法学。
「お前、筋がいいよな」
「え? そうですか?」
「あ、わりぃ、わりぃ。俺は焰だ」
「どうも、浅葱です」
「いや、ホントにここに来てから法学勉強したんだよな?」
「ええ、まあ」
「その頭、羨ましいぜ。ま、適当にみんなと話してやってくれ。……ちなみに俺は学級委員だ、なにか困ったことがあったら言え」
去っていく焰。
だが、俺にそんな余裕はない。
どうやって切り抜ける!?
この質問軍団を!!
俺の力が今試される!
ホントにどうしよう?
『諦めて答えてやるんじゃな』
『いや、死ぬから。ボロが出て死ぬから! いろいろと、社会的に……』
『女装なんて大したことなどなかろう? 物事は本質で考えるべきなのじゃよ』
『お前はそうでも、みんなは違うからな!?』
『しかし、こう考えてもいい案は浮かぶまい。結局、諦めるしかなかろう?』
まあ、渚の言うとおりなのだが……。
好きな食べ物とか聞いてどうする?
食べに行くのか?
美咲あたりは喜びそうだが……ほっといても大丈夫かあいつら?
千花は問題無いだろう。
まあ、最悪あいつが助けてくれるだろう。
明は……女子の騒ぐ声はアイツのせいだな。
王女に切怒られても知らないからな。
美咲は不安だからもういい、放っておこう。
百枝は……あいつ喋らないけど、大丈夫か?
「……翔」
机の前に百枝が現れる。
「……人……軍勢……恐怖」
俺を連れて、転移した。
いや、怖いのはわかるけどな。
バレたらどうするんだよ。
「……大丈夫……結界」
「何が言いたいの?」
「……無問題」
こちらに親指を立てる。
いやいや、問題大有りだから!
どうやら、ここは屋根の上らしい。
なんかつくづく縁があるな。
っていうか、これどうやって降りるんだ?
窓もないし、適当な高さの他の建物もない。
もう一回転移するにしてもどこに行くかわからない以上……選択肢としては考えられない。
「……落下」
「あぶないでしょ」
「……飛行」
「いや、無理だよ。そんなことしたら捕まるのが見えてる」
「……必死」
「全くもってその通りなわけなんだけど、釈然としない!」
「……柚木」
「気は進まないけど頼むしかないわね……って、どうやって?」
「……気合」
「それができるなら、気合で飛び降りれるわよ」
「……」
無言で親指を立てる百枝。
「お困り?」
「ものすごく……!?」
気を抜いていたけど、危ないな……ま、いいか、ゼリー馬鹿だし。
「手を出して」
言われるままに手を出すと
掴んでそのまま飛び降りた。
って、おいいいいいいいいぃぃぃ!