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神とともに歩む者  作者: mikibo
西国学園編
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西の学園2

記憶力高くても地図がなかったら意味ないよな……。

おそらく安全面を考慮してだろうが来客者には迷惑極まりないな。


どうしたらいいのか?


それにしても、


「広い……」

「何言ってんだよ。世界に4つしかない学園だぜ。少なくとも中心都市の人口を収容することは可能なくらいのものになっているんだぜ」


うんちくを語る柚木。


「で、どうしたら、校長室に着くんだ?」

「知らないわよ」

「破壊したら面白いことになるんじゃないですか」


明……ここでその発想はないだろ。


「……物騒」

「とりあえず、壁を登ろうとするなやめなさい」


どうやっているのかわからないが、壁に垂直に立っている百枝を止める。

やばい、俺より常識ないとか……。


ここ数日でわかってたことだが、このチームは危険分子の塊だよな。

国から狙われても仕方ないだろう、いや、もう狙われてるか……。


それにしても、静かすぎるな……。


「誰も居ないのか?」

「そんなことないと思いますよ。かなり多くの人の気配がします」


千花、気配の察知能力すごいよな。

そして、空魔術の使えない柚木が役に立たなすぎる。


「誰か、今俺を馬鹿にしなかったか?」


変な所で勘の働くやつだ。


「みんなじゃない?」


美咲が茶化す。

しかし、柚木の心には刃が刺さったらしい。

地面に手をついてうなだれている。





あれなんで?

いつの間にか皆からはぐれ、中庭と思われる場所立っていた。


この国に来てから見ることのなかった大樹。

青々とした葉の隙間から純白という言葉がしっくりくる花が覗く。




春をまとう大地に草花の香りを乗せた風が吹く。

花びらは散り、水面より飛沫が上がる。


-そこにあるのは刹那の命の世界-


形あるものはいつかは壊れ


形なきものはいつかは解け


永遠など存在するすべを持たない。


壊れぬもの解けぬものはいつか歪み


……取り巻く世界を壊すだろう。



「しっかりしなさいよ!」



その声が耳に届くとともに体が横へ吹き飛ぶ。

何回転かしたあと、前もあったなと既視感を覚えながら痛みを堪えて立ち上がる。


懐かしさと悲しみ、少しの闇を纏った気分から開放された感覚だ。


そして、やはり、俺は大事なことを思い出せないでいる。


「大丈夫ですか?」


千花が心配そうに覗き込んでいる。


「あぁ」


ちゃんと声がでていないのが自分でもよくわかる。

渚は知っている俺が知らない、俺のことを。

何故、俺に教えてくれない?

俺は知ってはいけないのか?


疑問ばかりが頭を巡る。


「客人か、迷ったとお見受けする」


声をかけられて、ふと顔を上げる。

顔を見た途端、俺はとっさに口を抑える。


「ぶほっげほっぐほっ!」

「大丈夫か……ん? 貴殿はどこかでお会いしたことが?」


あるなんて言えるわけがない。

ちょっと前に、あなたと戦っていたものですなどとは……。


「私は牙狼という、貴殿名はなんと?」

「浅葱です」


下手に風で声を変えてもバレそうなので、少し高く小さめの声で誤魔化す。

ああ、面倒だ……。

少なくとも学園にいる間は安全なんてことは……ないか。

やばいな、バレるのも時間の問題な気がするんだが……。


「そうか……案内しよう。そちらの方は龍炎殿の血縁とお見受けしますが」

「千花です。その節はどうもお世話になっております」


東と西の最強流派が出会う。

北と南は聞かないけど……南だといそうだな……。


歩きながら軽く挨拶を交わす。


神殿本来としての機能を持っているため、儀式場があり、学園と呼べるのは神殿の上に建設された3本の塔だけだということがわかった。

塔は下から最上階まで吹き抜けとなっていて、内壁にそって螺旋状の階段が最上階まで続き、その途中に教室があるような構造である。


「すごい……」


思わず言葉が漏れる。


「神の降臨される道です、当然のことですわ」


いつの間にか牙狼の代わりにさっき去っていったはずの生徒会長がいる。


『お主が見とれとるから気づかなかっただけじゃよ』

『で、お前がもし神ならこういうのは嬉しいものなのか?』

『もしではないと……言っても無駄じゃったな。そうじゃな、別にワシは自分のことを世界に広めたいわけじゃないのでな』

『そうなのか?』


その割には神を信仰する宗教がはびこっている気がするんだが?


『仕方あるまい、自身らの起源について言及したがるものは多いのじゃ』

『なるほどな』


「次へ行きますわよ!」


元気だな、あの人……。


俺達は後へついていくのだった。





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