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神とともに歩む者  作者: mikibo
国外渡航編
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風車の都

「大きいと思ってたけど、これほどとはね」

「遠くから見た時もそれなりの大きさだった思ってたわ」


崎見、もとい、美咲の驚きに同意する。


「……巨大」

「ええ、僕も初めそう思いました」

「そうなんですか、私もここに来るのはじめてですね」


最強の二大党派、千花の神鎌流ともう一つの流派、魔弓流。

仲が良くとも悪くとも、それなりの交流はあったはずだ。


「交流なかった……ああ、そうだったね」


言いかけて、思い出す。


「そうです、父が外に出してくれなかったもので……」


千花から殺気が漏れてる。

ヤバイ、怖いよ、この子。

通りすがりの人たちは動けなくなっている。


「……強力」



「なあ?」

「何?」


柚木の疑問そうな顔に美咲が応える。


「いや、お前ら! 何故この存在に疑問を持たない!?」


百枝を指さす柚木。


「……失礼」


指をひねる。


「ぎゃああああああああ!」


悲鳴は空高く響く……と迷惑なので『天羽』で風の結界に閉じ込める。

声は一方通行、外側から内側にしかいかない。


「……感謝」

「感謝じゃねえよ! こっちが欲しいのは謝罪だよ!」


ま、当然のことながら、聞こえない。

九十九さん直伝の読唇術とその拙さを補う柚木のオーバーリアクションに理解しているも4名。

つまるところ、全員が理解しているわけだが……


些細な問題である。


「お前らさらっと流してるんじゃねえよ!」

「転移魔術も使わないとか義理堅いわね。さすがね、愛の力は」

「そうですね、葵さんに泣きつかれてましたからね」


笑う美咲と明。

ちなみに、俺も見ていた。


「……ちょっと待て、お前ら! 見てたのか!」

「……いえ、何にも」

「間があったぞ、おい!」

「いえ、聴きとるのに手間取っただけです」

「今のは間がなかったじゃないか!」


明がにこやかに笑う。


「おや? それでは言っていいのですか? 乗船前に葵さんと……「分かった、何が望みだ!」」

「今の流れでその後が予想できないとかいう人はいないわよ」


俺でもわかるくらいだからな。

振り向くと、オロオロしている千花がいた。


「どうした?」

「えっと、葵さんとの口づけは深い意味があったのでしょうか?」


おお、ピンポイントで撃ちぬいていくのはある意味才能か?


「ああ、柚木。(『天羽』未使用の)俺でも気づくことを千花が気づかないはずがないだろ?」

「……大変」


百枝が話に入ってくる。


「何が?」

「……介抱」


おっと、この展開は!


「もしかして、あの時の葵の?」


聞いてみた。


「……肯定」

「神は死んだ……」

『どいつもこいつもワシを殺すな!』

「…………」

「あははははっ!」

「フフフッ」


地面に手をつく柚木。


聞こえるはずもないのにツッコミを入れる()


自分のことじゃないのに無言で顔を赤面させる千花。


馬鹿笑いする自称淑女の美咲、いや、今は男だからありなのか?


忍び笑いする明、こいつが一番怖い。


俺の周りは混沌としているな。


『主もその混沌の元凶の一人じゃからな』

「って、あれ? 百枝が消えたな」

「人前出るのは疲れるんじゃない?」


美咲の指差す先にある細道への角からこちらを覗いている。


「……あれもあれで混沌だな」


と、ぼやいていたら、鎧を着た兵士が2人寄ってきた。


「お前たち! 通行の邪魔だ!」

「すいません」


反射で謝り、皆を百枝の近くまで連れて行く。

もちろん、柚木は引きずってである。


「すいません、忘れていました」


明が、紙を取り出す。


「これ何?」

「……法律?」


美咲の疑問に百枝の疑問系が重なる。


「異国人はあまり強くは問われないのですが、この国は法が厳しいんです」

「圧政ってことか?」


柚木の復活。


「いえ、礼儀に軽い罰則を、道徳に軽い説教を、みたいな感じです」

「へえ、じゃあ、この国全体、王宮みたいなもんだと思えばいいのか?」

「そうね、港のときも言われてたものね」

「王宮ほどではないのですが、まあ、概ねそうですね」


えええ~!

そんなところ長居したくないんだが……。


「交流は明後日から1週間だったわね」

「ええ、そうね」

「浅葱はもっと笑顔出してかないと百枝ちゃんと区別つかなくなるわよ」

「……嫌悪」


……単語だけも単語だけで心をえぐるな。


「あ、往来で喧嘩などをすると説教30分コースらしいですよ」

「教会の人がですか?」

「そうです」


千花への返答に明以外はげんなりする。


「そういえば、教会の人たちって、魔道具の管理とかで忙しんじゃないのか……ですか?」

「いえ、魔道具などは個数が少ないですし、禁呪などは表に出てくる人たちの仕事じゃありません」

「裏の人間って大げさな」

「……この話は後にしましょう、とりあえず、神殿へ忍び込みます」

「そうだな……え゛?」


柚木が声を上げる。

おいおい、気づいてなかったのかよ。


「あんた、まともに行って手紙渡したら、どうなると思ってるのよ!」

「そうですよ。神殿が一枚岩だとは限りませんし、それ以前にスパイがいる可能性があります」

「ああ、そうか……って、あのガキ(校長)何危険なこと生徒にさせてんだよ!」

「今更気づいたの?」


ま、船の時も寝てたしな。


「外国へものを送るには、必ず通らなければいけない場所があります」


明が指を3本立てる。


「まずは、出発点」


だから、学園にも侵入してきてたのだろう。


「次に、経過点。主に、関所や港の荷物検査などですね」


明がずっと神経を張っていた。


「最後に……「到着点か」……そういうことです」




じゃ、行きますか。

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