湖上の…… 4/4
短いな……
『湖上の……』近辺は改稿して再度サブタイトルもいじって組みなおす可能性があります。
昼ごはん後、ふと気がついた事を言う。
「何で、ここで言うんだ? もし俺たちが、ラナブまで来なかったら会えなかっただろ?」
「あなたたちが来るっていう手紙が来たのよ。ホントは私はファスティの店で待ってるはずだったの」
麻奈花でも読めなかったこの事態。
それを知っていた謎の人物。
「誰だ?」
「誰かわからないわ。手紙は私が座ろうとした席に置かれていた」
「それはおかしくないか? 座る席は自分で決めたんだろ?」
「……誘導」
「私だけに見えるような細工してあったから」
「そういえば、船で変な奴にあったんだが……」
乗員でも船員でもなかった謎の鬼族。
「まあ、いいじゃない。何が来てもなるようになるだけよ」
「それもそうだな」
楽観的に事態を捕らえる美咲と柚木。
「どう思います?」
「嫌な感じはしないが、妙な感じはするって所だ」
「同感です」
明と俺は言葉を交わす。
行くか、と立ち上がり皆外にでる。
俺もでようとすると麻奈花が近づいて耳打ちする。
「接触してきたのはギルドの名は『神と共に歩むもの』」
「……!?」
謎の多い種族じゃないか。
「そのまま聞きなさい、構成員不明、規模不明、拠点不明」
わからない事だらけだな。
「でもね、あなたたちは無関係じゃない」
「向こうから接触してくるということはそう言う事なんだろ」
「さ、行くといいわ。もう、船のでる時間よ……御武運を」
最後に何か聞こえた気がするが考える間もなく呼ばれる。
「俺はこれでもう船には乗らん!」
「帰りどうするのよ」
「歩きですかね、人族は厳しい気もしますが」
そうだな、南は砂漠、北は山岳。
「生きて帰れよ」
「船より致死率が上がるのは私の勘違いでしょうか?」
それにしても鬱陶しい。
「俺は男なのに見て楽しいのかあいつら」
「いまの見た目は完璧に女性ですからね」
「はあ、それに俺犯罪者の仲間入りだ」
手に持ってるのは、存在しないはずの浅葱と言う者のギルドカード。
恐らく偽造の罪だ。
「もう、諦めなさい」
そう、何いってももう変わらない。
湖はこの2,3日が嘘のように静かな水面を保っている。
「でもな、これで終わるなら苦労しないわな」
『そういうことじゃ、なんか来るんじゃよ』
湖面に浮かぶ影。
あまり大きくはない。
『これお前に惹かれてきた魔獣じゃないのか?』
『恐らくそうじゃな』
『はた迷惑な奴め!』
そうこうしてる内に水面から顔が上がる。
「……人?」
『おお、セイレーンじゃな。その歌声は魔力を持ち、聴くものを海に引きずり込むという』
『ここ湖だよな?』
生活用水としても使われていたはずだ。
『水なら問題ないんじゃろう』
適当だな、おい!
「まさか、こちらは浅葱様でいらっしゃいますか?」
「おい、俺の偽名どこまで行ってるんだ」
っていうか、魔獣にも広めるなよ。
『ふむ、なるほどな』
「神よ、ご機嫌麗しゅうございます」
『うむ、それとな。まだ、やつは目覚めてはおらぬのじゃ』
「!?……そうですか。では、またいずれ」
何が何やら理解しない内に潜っていってしまった。
「……?」
首を傾げていると、美咲がやってきた。
「柚木が死にそうなんだけど?」
「薬は?」
「とっくに使ったけど」
「気絶させれば?」
投げやりに言ってみる。
「なるほど、その手があったわね」
あ、ごめん、柚木。
反省はしてる、後悔もしてる、だけど帰りもやる。
船内からうめき声が聞こえたが気のせいだ。
気のせい、気のせいなんだ!
陸が水平線に見えはじめ、風が徐々に強くなる。
さあ、丘の傾斜に数並ぶ風車も見えてきた。
西の国はすぐそこだ。